英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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第17話
町で聞き込みをしていたリィン達は町の出入り口付近で酒を飲んでいる酔っ払いが突如解雇された自然公園の管理人だと知ったリィン達は驚いた後事情を聞くと、管理員の服を着た男達が昨夜木箱を抱えて走っている所を目撃したという話を聞き、自然公園が怪しいと睨んだリィン達は自然公園へと向かった。
~ルナリア自然公園・入口~
リィン達が自然公園の入口に到着すると、先日いた管理員達がいなく、無人であった。
「あれ……?誰もいないみたいだね。あの偉そうな人達、どこに行っちゃったのかな?本当に犯人だとしたらもうとっくに逃げたとか?」
「ふむ……木々が深すぎて人の気配まで捉えきれないな。」
「それに魔獣や野生動物も数多く生息しているみたいですから、これだと人がいても声が聞こえませんね……」
「そうだな……」
エリオット、ラウラ、プリネ、リィンは誰もいない門を見つめて考え込んでいた。
「あら、これって……?」
その時何かを見つけたアリサがその場でかがんで地面に落ちている装飾品を見つめた。
「それは……」
「ブレスレット……?」
「ほう……どうしてこんなものが?」
「もしかして昨日の管理員の方が付けていた物が本人達の気付かない内に外れて地面に落ちたのでしょうか?」
地面に落ちている装飾品を見たリィン達はそれぞれ不思議そうな表情をし
「―――やっぱりそうだわ。これ、あの帝都の商人が扱ってたのと同じデザインよ。」
装飾品の正体がわかっていたアリサは立ち上がってリィン達に説明した。
「ホ、ホント?」
「わかるのか?」
「ええ、同じデザイナーが手掛けたものに違いないわね。ラウラやプリネもそう思わない?」
「最近の流行には疎いが……うん、確かに装飾具としてのデザインの共通性はあるようだ。」
「私もラウラさんと同じ意見です。」
アリサに視線を向けられたラウラとプリネはそれぞれ頷き
「それがこんな所に転がっているってことは……」
「ああ―――”犯人たち”がこの中に潜んでいる可能性は高そうだな。」
ある事を察したエリオットの言葉に頷いたリィンは仲間達と共に公園の入り口を見つめた。
「ええ……」
「…………ゴクッ……」
「フン………」
「?ラウラさん?」
それぞれ緊張した様子で入り口を見つめる中、入り口に近づいたラウラの行動の理由がわからないプリネは首を傾げた。
「……この南京錠は内側から掛けたというわけか。ならば――――」
入り口に近づいたラウラは一歩下がって大剣を構え
「こ、壊しちゃうの?」
「だ、大丈夫なの?」
ラウラの行動を見たエリオットとアリサはそれぞれ不安そうな表情をした。
「ああ、かなり頑丈そうだが、私の剣ならば何とか―――」
「いや………―――俺がやろう。その大剣よりも静かにできるはずだ。」
そしてラウラが攻撃しようとしたその時リィンがラウラに近づいて申し出た。
「ほう……」
「あら……」
「ええっ……」
「ど、どうするつもり?」
リィンの申し出を聞いたラウラはその場からどき、リィンは太刀を抜いて入り口を見つめ
「―――八葉一刀流。四の型・”紅葉切り”。」
一瞬の間精神統一をした後凄まじい抜刀を放った!
「あら……?」
「???」
すると南京錠は真っ二つに割れて地面に落ち
「ええっ!?」
「すごい……!真っ二つだ……!」
「――見事な抜刀ですね。」
その様子を見ていたアリサとエリオットは驚き、プリネは感心していた。
「ふう、上手くいったか。」
「――見事だ。八葉の剣技、この目でしかと見届けさせてもらった。」
「はは……初伝クラスの技だけどね。―――時間もない。犯人たちの追跡を始めよう。」
「ええ、そうね……!夕方くらいまでに犯人たちを捕まえられれば……」
「何とか実習期間中に一通り片付けられそうだね。」
「うむ―――行くとしようか!」
(領邦軍が妨害しに来ないといいのだけれど……)
それぞれが決意をしている中、プリネは警戒の表情でケルディック方面を見つめていた。そしてリィン達は公園の中へと入って行った。
「…………………」
リィン達が公園の中に入って少しするとレーヴェが入口の前に姿を現し
「―――やはり来たか。まさか『特別実習』が始まって早々放蕩皇子がユーゲント皇帝に約束させた”例の権限”を使う時が来るとはな……”氷の乙女”も動いているようだが……一足遅かったな。メンフィルは”今回の件”を盾に取って、アルバレア……いや、エレボニア帝国に対して何らかの形で”謝罪”させるだろうな。アルバレア公爵もまさか自分が考えた”策”によって強力な”手駒”を手に入れるはずが、逆に痛手を被る事になるとは夢にも思うまい。カリン………――いや、メンフィルを利用しようとしたのが運の尽きだったな。」
ケルディック方面を見つめて、遠くから近づいて来る何かの気配を感じて呟いた後不敵な笑みを浮かべた。
「副隊長!御指示をお願いします!」
その時レーヴェに多くのメンフィル兵達が近づいて敬礼をした。
「―――これよりアルバレア公爵家によるプリネ皇女誘拐・拉致の阻止作戦を開始する。皇女……いや、皇女に同行している生徒達に気付かれない程度に皇女達を追うぞ。」
「ハッ!」
そしてレーヴェはメンフィル兵達と共に公園内に入って行った。
その後リィン達は公園内の探索を開始し、時折襲い掛かってくる魔獣を協力して退治しながら奥地に到着した。
~奥地~
(……!)
(いたか……)
奥地に到着したリィン達は物陰に隠れて、数個の木箱の近くにいる偽管理員達の動きに注意していた。
「へへっ……何気にいい稼ぎになったな。」
「これでも連中が陳情を下げなけりゃ、もうちょい稼げるってことか。」
「ま、程々にしとけ。報酬だって用意されてるんだ。普段の稼ぎからしたら十分だろ。」
「しっかしあいつら、いったい何者なんだろうな?領邦軍の兵士にも顔が利いてるみてえだし。」
自分達が手に入れた成果に喜んでいる中、ある人物の事が気になった偽管理員は首を傾げた。
「さてな……何を考えてるのかさっぱりわからん男だったからな。まあいい、いつでもここを離れるように準備を―――」
「――甘いな。」
そして偽管理員の一人が撤退の準備を提案しかけたその時リィンの声が聞こえ
「なに……!?」
「なんだぁ……!?」
声を聞いた偽管理員達が振り向くと武装したリィン達が偽管理員達に近づき、偽管理員達を睨んだ。
「てめえら、昨日の……!?」
「ちゃ、ちゃんと門に鍵はかけたはずなのに……」
「まさか突破してきたのか!?」
予想外の敵の登場に偽管理員達は驚きの表情でリィン達を見つめた。
「うむ、その通りだ。」
「それも、どうやら大市で盗んだものみたいだし……」
「この場合、現行犯逮捕が認められる状況なのかしら?」
「そうですね。後はその木箱の中にある中身を屋台を壊された商人達に見せれば、あの者達が犯人である事の証拠となりますね。」
「くっ……」
ラウラ達の言葉を聞いた偽管理員達は唇を噛みしめ、そして
「ハッ、やっちまうぞ!」
「所詮はガキどもだ!一気にブチのめしてやれ!」
「クク、幸い目撃者もいないことだしなぁ……!」
「覚悟してもらおうかぁ!」
銃を構えてリィン達に銃口を向けた!
「それは此方の台詞だな。」
「”ARCUS”の戦術リンクを何とか使いこなせれば……!」
「ええ、この程度の者達なら制圧は容易に可能です……!」
「ああ―――行くぞ!」
「――来て、ミルモ!!」
そしてリィン達は偽管理員達との戦闘を開始した!
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