サトシ「25歳」〜理想と現実の先にあるもの〜
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その後、ヒカリ達の鬼ごっこは
30分程続いたが、ヒカリとフジオは
とうとう路地裏の壁まで追い詰められた。
ヒカリ:「はぁっ、、はぁっ、、はぁ、、」
ヒカリは車椅子を押して30分も走った為、
だいぶ疲労していた。
ヒロシ:「ふぅっ、、、」
サトシ:(、、良くここまで走ったな)
フジオ:「、、、」
四人の間に緊迫な空気が流れていた。
サトシ:「、、みんな、どうなってるんだ?」
ヒロシ:「ちょっとヒカリちゃんに
誤解されてね、、、
安心してくれヒカリちゃん。
俺はサトシの友達だよ」
ヒカリ:「、、、へ?」
サトシ:「ヒロシは俺と同じ
カントー地方出身の古い友達なんだっ。
もちろん、あの話も知ってるよっ。」
ヒカリ:「そ、、、そうだったの、、」
ガックン
ヒロシ:「、、それより、サトシ。」
サトシ:「ん?」
ヒロシ:「今、目の前にいるこの老人、、、
この人が、俺たちが探していたDr.Kだ。」
サトシ:「そうなのか、、、えっ!?」
サトシは突然の衝撃発言に驚いた。
フジオ:「、、、」
ヒカリ:「嘘よ!そんなはずないわっ!
フジオさんは三ヶ月前からうちの施設に
入所してるけど、全然怪しい人じゃないものっ!」
ヒカリ:「三ヶ月前、、やっぱり、、、。」
ヒロシは、ポケモン消滅事件の資料を
取り出した。
ヒロシ:「フジオさん、あなたは三ヶ月前、
この資料を作成していましたよね?」
フジオ:「はて、何の事かの?」
ヒロシ:「あなたがこの資料を
ネットに載せたのは三ヶ月前。しかし、
ネットに載せた数日後、記事は抹消され、
あなたはポケモン消滅事件に
社会が関与していると気づき、
姿を隠すことにした。」
サトシ:「ヒロシ、お前何言ってんだ?」
ヒカリ:「そうよ!証拠もないのに
疑うなんて良くないわっ!」
ヒロシ:「証拠ならあるさっ。
この資料を含めて。」
ヒカリ:「、、えっ?」
ヒロシ:「Dr.フジ」
フジオ:「!」
ヒロシ:「フジオさん、、、
俺は今日、シオンタウンの
ボランティアハウスに行ってきました。」
フジオ:「、、、」
サトシ:「シオンタウンの、、」
ヒカリ:「ボランティアハウス?」
ヒロシ:「、、そのハウスにいた女性は、
今は亡き会長が元”科学者”だと
言っていました。それも、かつて
カントーに名を轟かせたと。ただ、その話は
俺たちが生まれるもっと前の出来事。
そんな昔のカントーで名を轟かせた研究者は2人。
1人目は、ポケモン図鑑を開発した
タマムシ大学元教授”オーキド博士”
そしてもう1人は、ポケモン学会初の
”ポケモン研究所”をグレンタウンに創設し、
ポケモン遺伝学を提唱して
一斉を風靡した人物、、、”Dr.フジ”。」
サトシ:「ドクターフジ?」
ヒロシ:「俺やサトシ達が旅をしていた時、
Dr.フジは既に研究を辞めて、
当時の研究所も閉鎖されていたから
ネットで調べない限り
存在を知らないで当然だけど、
その人は主にポケモンの遺伝子等について
研究してた人なんだ。」
フジオ「、、、」
ヒロシ:「そしてこの資料の仮説、
”.謎の光が、ポケモンに悪影響を及ぼす
何らかの危険ウィルスであり、人間や
原子形成が未発達のタマゴには反応せず
ポケモン特有の原子に反応する
物であった”、、、この”原子”を使った仮説は、
ポケモン遺伝学を使って説いた証拠。」
サトシ:「、、って事は
その資料を作った人はドクターフジか!」
ヒロシ:「いや、Dr.フジ(会長)は
数年前に亡くなっているから、
三ヶ月前にこの資料を作ったのはおそらく
Dr.フジをよく知る人物。、、それも
グレンタウンでDr.フジと同じ、
”遺伝学”を研究した研究者。」
フジオ:「、、、」
ヒロシ:「そして、ボランティアハウスで、
その女性と一緒にいた女の子が
この花を俺に見せてくれたんだ。
亡き会長の命日に、会長の”知り合い”が
差出人不明で送ってくれると、、」
ヒロシは借りてきたドライフラワー、
ジニアを取り出した。
サトシ:「なんだ?その花。」
ヒロシ:「ジニアって言う花だよ。」
フジオ:「、、、」
ヒロシ:「そして、
”毎年普通のジニアが贈られてくるのに、
何故か今年だけドライフラワーだった”と
言っていた、、。ジニアは元々、春に種を撒き
初夏から晩秋まで咲く花だけど、
今はまだ4月で会長の命日は昨日。
そこでおかしいのは、
”初夏に咲く花が何故4月に届くのか”、、
そして、”何故今年はドライフラワーなのか”」
サトシ:「確かに、、」
サトシ(研究者と花が何の関係あるんだ?)
ヒロシ:「もし、初夏に咲くジニアを
春に送るのであれば冬に種を蒔き、
育てる条件として
太陽の日光がよく当たり
雪が降らず気温も暖かい、
温暖地でなければならない。
もちろん、カントーに雪が降らない
場所は存在せず、季節にとらわれないで
ジニアを育成するには不可能。」
サトシ:「じゃあ、どうやって今まで
春にジニアを送っていたんだ?」
ヒロシ:「季節に関係なくジニアを
育成する方法、、それはおそらく、
ポケモン遺伝学を応用した
”種子の遺伝子組換え”、、。」
サトシ:「種子の、遺伝子組換え、、」
ヒロシ:「その種子の構成要素を分析し、
種子の遺伝子を組換える事によって
常識では考えられない耐寒性の持った
種子を作る。そして、
それが可能な場所と言えばポケモンを始め
遺伝子研究の
研究所があったグレンタウン。」
サトシ:「って事は、ジニアを送った
”知り合い”もグレンタウン出身って事か?」
ヒロシ:「そう。
、、何故今年はドライフラワーなのか。
それは、送る側として
本来普通のジニアを送るはずが
何かの理由でグレンタウンの研究所から
離れなければならなくなったから。
三ヶ月前の冬にグレンタウンで種を蒔き、
春にジニアを取りに戻ろうとしても
戻れない理由が、、、。
そこで俺は思ったんだ。
・遺伝学を使い資料の仮説を立てた
Dr.フジをよく知る”研究者”、
・『遺伝学を提唱したDr.フジ』に
ジニアを送る”知り合い”、、、
そして、出身がグレンタウン。
ジニアを送った知り合いは、Dr.フジと同じ
研究をしていた”研究者”で、
三ヶ月前にこの資料を作った研究者と
同一人物なんじゃないかって、、」
サトシ:「、、そうか!もし同一人物で、
三ヶ月前に資料を作った研究者(知り合い)が
社会の動きを恐れてグレンタウンを
離れたとすると、今年に送るジニアは
ドライフラワーでしか送れない!、、でも、
研究所を設立したなら
複数の元研究員がいるだろ?
同一人物だとは限らないんじゃないか?それに、
研究所だって大分昔に閉鎖されたんだろ?」
ヒロシ:「、、”不在の友を想う”」
サトシ:「え?」
ヒロシ:「ジニアの花言葉だよ。この意味から、
ジニアを送った知り合い(研究者)が
研究員の中でもDr.フジと対等の立場、
或いは同じ歳である事がわかる。
そして研究員がいたと言えど、閉鎖後に
ポケモン遺伝学を個人で”実践”出来る人物は
Dr.フジ、又はそれと対等の立場にいる
人物だけ、、、それと、
閉鎖された建物を取り締まるのは
その街の市役所。
ただし、グレンタウンのような郊外で
町に市役所が無い場合は
ポケモンジムのジムリーダーがその権利を
持つことが出来る。研究所が閉鎖され、
ポケモン消滅事件以降
各ジムも閉鎖されていったけど、
もし、元ジムリーダーがジムを失った現在でも、
”建物を管理する権利だけ”持っていたら、、。」
サトシ:「ジムリーダー、、、!」
ヒロシ:「そして、俺がフジオさんをDr.Kだと
決めた決定的な証拠、、」
ヒロシはドライフラワーと一緒に
借りてきた包装紙を取り出した。
ヒロシ:「ドライフラワーを買ってまで
現在(今年)も送り続けているとすると、
グレンタウンを離れた”Dr.フジと対等の人物”は
今もどこかで身を隠し、社会に狙われないよう
身柄を隠す事が出来る場所に居るに違いない。
25歳の俺たちが生まれる前に
ドクターフジと共に研究していたとすると
現在その人物は高齢。、、そして
高齢者が怪しまれず身を隠せる場所としたら、
老人ホームか介護施設。」
ヒロシは包装紙を広げ皆に見せた。
包装紙には、
シオンタウン2丁目ボランティアハウス、
”フジ老人様”と書かれており、
差出人の欄には、
タマムシ介護ステーション、フォーレトス
フジオ。と書かれていた。
ヒカリ:「えっ、、、」
ヒロシ:「ボランティアハウスの女性は、
毎年差出人不明で送られてくるので
包装紙は基本捨てていると言っていた。
しかし、その人物が毎年差出人不明で
送っていたとしても、現在介護施設等に
利用者として身を隠しているのなら
利用者の支援をするのは当然
その施設の職員になる。送り先だけ伝えられ、
ジニアを以来された職員はドライフラワーを
買った後そのまま差出人の欄に
施設名と住所を記入し、今年の命日には
差出人の欄に記入された状態で
ボランティアハウスに届いた。
ボランティアハウスの女性は毎年の事だから
包装紙の後ろに記入された差出人の欄に
気づかなかったんだ。」
ヒカリ:「、、、そんな、、、」
ヒロシ:「サトシはわかっただろ?
、、、三ヶ月前に資料を作りジニアを送った
人物がグレンタウン出身、
そして、研究所を管理する元ジムリーダー、、」
サトシ:「、、まさか、、、」
ヒロシ:「そう、この資料を作った人物は
あなたなんだ、、そうですよね?Dr.K。
、、、いや、元グレンジム
ジムリーダー、カツラさん」
サトシ:「!」
ヒカリ:「!」
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