英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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第7話
~旧校舎・終点~
「――――!」
リィン達を敵と定めた魔獣はその場で回転して巨大な尾をリィン達に振るったが
「!!」
「甘い!」
「ハッ!」
リィン、ユーシス、ガイウスはそれぞれ跳躍して回避した。しかし
「うわあっ!?」
身体能力があまり高くなく、3人と違って旧校舎での戦闘が初めてのエリオットでは対処できず、魔獣の尾を受けて吹っ飛ばされた!
「エリオット!大丈夫か!?」
「う、うん、何とか……!いてて……」
エリオットは身体から伝わってくる痛みに顔を顰めながら立ち上がった。一方魔獣の攻撃を回避したユーシスとガイウスは魔獣の懐に詰め寄り、同時に攻撃した。
「セイッ、セイッ……ハアッ!!」
ユーシスは華麗な連撃を敵に叩き込む剣技―――クイックスラストを、魔獣の身体に叩き込み
「竜巻よ!!」
ガイウスは槍に溜め込んだ闘気を竜巻と化して解き放つクラフト―――ゲイルスティングを魔獣の身体に叩き込んだが、二人の攻撃を受けた魔獣は怯んだ様子はなく、逆に二人の攻撃によって激情したのか咆哮した後、両足を地面に叩きつけて衝撃波を発生させて二人を怯ませた。
「グッ!?手応えがない……!?」
「チッ、見た目通り身体は石のように硬く物理攻撃は効かないという訳か……!なら……!アークス、駆動。」
魔獣の攻撃に怯んだガイウスは先程の攻撃の手応えのなさに驚き、ユーシスは舌打ちをした後すぐに攻撃手段を変え、オーブメントを駆動させた。
「――――――!」
対する魔獣も魔法を放つ為にその場で力を溜めると共に周囲に魔法の文字の円輪を発生させた。
「させるか!四ノ型―――紅葉切り!!」
そこにリィンが電光石火の速さで魔獣に詰め寄って強烈な抜刀を放って魔獣を怯ませて魔法の駆動を妨害した。
「えいっ!アクアブリード!!」
「そこだっ!ゴルトスフィア!!」
その時オーブメントの駆動を終えたエリオットが放った水の球体とユーシスが発生させた金色の球体が同時に魔獣を襲った!
「!?」
魔法による攻撃は魔獣の硬い鱗を貫いて怯ませ
「魔法が効いている!みんな、魔法攻撃を主体に一気に責めるぞ!」
魔獣の様子を見たリィンは号令をかけ、リィンの号令に応えるかのようにエリオット達はそれぞれオーブメントを駆動させ始めた。
「――――!!」
「クッ!?」
「グッ!?」
「チッ!?」
するとその時魔獣は咆哮を上げた後口から炎のブレスを解き放ち、後衛のエリオットを除いたリィン達は炎のブレスを受けてしまい、さらに火傷を負ってしまった。
「くっ……エリオット!回復を頼む!」
「うん!―――みんな、頑張って!!」
火傷に苦しむリィンの指示に頷いたエリオットは魔導杖に込められてある特殊治癒魔法―――エコーズビートを発動した。すると光の膜がリィン達を覆い、火傷の苦しむリィン達の傷を徐々に回復させ始めた。
「風よ!エアストライク!!」
「えいっ!ニードルショット!!」
「喰らえ!ゴルトスフィア!!」
そしてオーブメントの駆動を終えた3人は反撃代わりに魔法の一斉攻撃を解き放ち、3人が放った魔法を受けた魔獣は苦しみ
「―――貫け、炎閃!!爆炎閃!!」
3人がアーツによる攻撃をしている間に詠唱を終わらせたリィンは片手から炎の閃光を解き放った!解き放たれた炎の閃光は魔獣の腹の部分を貫いて炎の爆発を起こして魔獣の身体を焼いた!
「――――!!」
4人の総攻撃によって傷ついた魔獣は咆哮を上げた。すると傷ついた魔獣の身体はみるみる再生して行き、さらに魔獣は背にある翼を羽ばたかせ、滞空し始めた!
「そ、そんな!?傷が……!」
「チッ!再生能力まであるとは、さすがは伝承の存在と言った所か……!」
傷が回復して行く様子を見たエリオットは不安そうな表情をし、ユーシスは舌打ちをし
「……どうやらあの様子だと本気になったようだな。」
「ああ……―――気を引き締め直して行くぞっ!!」
魔獣の様子を見て呟いたガイウスの予測に頷いたリィンは再び号令をかけた。
「――――」
「うっ!?」
「くっ!?」
「ぐっ!?」
「うわあっ!?」
魔獣は翼を羽ばたかせて突風を起こしてリィン達を吹き飛ばし
「――――」
さらに翼で空を飛びながらリィンに詰め寄って巨大な爪を振り上げてリィンに振り下ろした!
「グッ……!?」
振り下ろされた爪をリィンは太刀で間一髪で受け止め
「リィン!」
リィンの様子を見たエリオットは心配そうな表情で声を上げ
「援護する!」
「チッ……!」
ガイウスとユーシスはそれぞれ挟み込む形で魔獣に詰め寄ってそれぞれの武器を振るい
「えいっ!!」
エリオットは魔導杖を振るって導力波による弾丸を放った。すると放たれた弾丸は運よく魔獣の顔に命中し
「――――!?」
弾丸を顔に受けた魔獣は怯んで悲鳴を上げ、その隙にリィンは魔獣からオーブメントに装着しているクオーツに指を走らせて駆動させながら距離を取った後一端太刀を鞘に収めて力を溜め込み
「斬!!」
抜刀をし、その瞬間に発生した刃を魔獣に向かって解き放った!抜刀によって発生した刃で敵を斬る八葉一刀流の剣技の一つ―――弧影斬は硬き鱗を持つ古の守護者の石の鱗を貫き
「アークス駆動!ファイアボルト!!」
更に駆動を終えたオーブメントから炎の弾丸を解き放ち、解き放たれた炎の弾丸はリィンの抜刀技によってできた傷に命中した!
「―――――!!」
リィンの攻撃によって激怒した魔獣はその場で魔法を放つ準備をし、魔獣の行動を見たリィン達は行動を妨害すると同時に空に飛んでいる魔獣を撃ち落す為に次々と駆動時間の短いアーツを発動して撃ったが、妨害はできず、魔獣はアーツ―――エアリアルを発動し、魔獣が発動したアーツによって巨大な竜巻がリィン達を襲い、リィン達を瀕死の状態にした!
「う……く……な、何今の……強すぎるよ……」
「魔獣の中にはアーツを使う魔獣もいるが……これ程の威力とは……!」
「クッ、こんな所で倒れてなるものか……!」
エリオット達はそれぞれ瀕死の状態でありながらも何とか立ち上がったが傷の影響でそれぞれ表情を歪めていた。
「みんな、今助ける!―――それっ!!」
その時リィンは懐から学院に来る前に携帯していた回復薬―――”治癒の羽”を空へと放り投げた。すると”癒しの女神”教の信徒の癒しの祈りによって癒しの加護を受けている翼は傷つきし者達を癒す為に光輝き、リィン達の傷を回復した!
「ありがとう、リィン!」
「傷が……助かった。」
「フン、さっきはよくもやってくれたな。反撃を開始するぞ!」
そしてリィン達は反撃を開始し、苦戦しながらも協力して魔獣を戦闘不能にまで追い込み、エリオットが発動したアーツを顔に受けた影響で地面に叩き落とされた瞬間を狙ったリィン、ユーシス、ガイウスがそれぞれ総攻撃を仕掛け、総攻撃を終えた3人が離れると魔獣は地面に崩れ落ち、2度と起き上がらなくなった!
「よし、これで……!」
地面に崩れ落ちた魔獣を見たユーシスは口元に笑みを浮かべたが
「いや、まだだ……!」
魔獣がまだ生きている気配を感じ取っていたリィンが警告すると魔獣は再び起き上がった!
「ひゃああっ……!?」
「力を取り戻したのか……!?」
起き上がった魔獣を見たエリオットは悲鳴を上げ、ガイウスは驚き
「チッ、厄介な……!」
ユーシスは舌打ちをした。
(くっ……みんなの体力も限界か。―――こうなったら……)
仲間達の状態を見てリィンは自分にとって忌まわしき力であると同時に”奥の手”である力を使う事に決意した。するとその時
「下がりなさい―――!」
女子の声が聞こえると同時に導力エネルギーによってできた矢が次々と魔獣に命中し、さらにそこにエマがかけつけて魔導杖を振るって導力波の弾丸を次々と魔獣に命中させ、更にラウラがかけつけて大剣を魔獣に叩きつけ、そしてアリサがかけつけてきた!
「き、君達は……!」
「追いついたか……!」
アリサ達の登場にエリオットとガイウスは驚き
「ふう……どうやら無事みたいね!」
「す、すみません!遅くなりました……!」
リィン達の状況を見たアリサは安堵の溜息を吐き、エマは申し訳なさそうな表情で謝罪した。
「いや、助かった……!」
援軍の登場にリィンは安堵の溜息を吐いた。
「石の守護者……暗黒時代の魔導の産物か。どうやら凄まじく硬いようだ。」
「ああ、しかもダメージを与えても再生される……!」
ラウラの言葉にユーシスは厳しい表情で頷き
「だが、この人数なら勝機さえ掴めれば――――」
リィンが呟いたその時
「まあ、仕方ないか。」
少女の声が聞こえ、声を聞いたリィン達が振り向くと―――
「よし、間に合ったか。」
そこには散弾銃を持ったマキアスと左右の手それぞれに銃口がある特殊な大型軍用ナイフを構えているフィーがいた!
「お前は……」
マキアスの登場にユーシスが目を丸くしている中マキアスはショットガンを魔獣に向けてエネルギーを溜め込み
「導力銃のリミットを解除――――喰らえ――――”ブレイクショット”!!」
溜め込んだエネルギーを解き放って魔獣に命中させた!更にフィーが魔獣に詰め寄った瞬間跳躍して魔獣の背後に着地して斬撃を尻尾に叩き込んで魔獣を怯ませた!
「勝機だ……!」
「ああ……!」
そして魔獣の様子を見たガイウスの言葉にリィンが頷くとリィン達全員が装着しているオーブメントから青い光が放たれ、その瞬間リィン達はまさに息ピッタリと言ってもおかしくない連携攻撃を次々と魔獣に叩き込み
「今だ……!」
リィンの号令を合図にリィン達はそれぞれ魔獣から距離を取り
「任せるがよい……!はああああっ!!」
力を溜め込んだラウラが跳躍して大剣を振るって魔獣の頭を斬り落とした!すると斬り落とされた魔獣の頭は石となった後消滅し、また残った魔獣の巨体も石となった後消滅した!
「あ……」
「やった……!」
魔獣の消滅を確認したエリオットとアリサは安堵の溜息を吐いた後リィン達と共に武器を納めた。
「よかった、これで……」
そして安堵の表情のエマが呟き
「ああ、一安心のようだ。」
エマの言葉にガイウスが頷いたその時
「!!」
「……どうやらまだ安心はできないみたいだよ。」
何かの気配に気付いたリィンは血相を変え、フィーが静かな口調で呟いた。
「え――――」
フィーの言葉を聞いたエリオットが呆けたその時、先程消滅した魔獣と同じ魔獣の姿をした石像が魔獣と化して、リィン達の目の前に現れた!
「な、ななななななっ!?」
「ひゃあああっ!?ま、また出た……!」
「しかも3体もいるぞ!?」
新手の登場にマキアスとエリオットは混乱し、ユーシスは厳しい表情で声を上げ
「クッ……(不味いな……フィーとラウラ以外のみんなは体力が限界だ……”あの力”を使っても3体はいけるか……!?)」
リィンは仲間達の状況を見て、状況は圧倒的に自分達が不利である事を一瞬で悟り、唇を噛みしめた。するとその時
「―――どうやらあたし達が最後のようですね。」
なんとそれぞれの武器を構えたツーヤとプリネがかけつけてきた。
「あ……!」
プリネとツーヤの登場にアリサは驚き
「―――皆さん、下がって下さい。皆さんは先程の戦いで疲れているでしょうから、残りの石の守護者は全て私達が排除します。ツーヤ、行けるわね?」
「はい!」
プリネはリィン達に警告した後ツーヤに視線を向け、視線を向けられたツーヤは力強く頷いた。
「ええっ!?む、無謀すぎるよ……!」
「わ、私達も戦うわ!」
プリネの言葉にエリオットとアリサは驚き
「フフ、心配してくれてありがとうございます。ですが、この程度の修羅場なら慣れていますので、大丈夫ですよ。」
「こ、”この程度”って……」
「フム……二人の実力は私達より明らかに上である事は察しているが……幾ら何でも2対3は不利だろう。せめて一体は私達が受け持つ。」
微笑むプリネの言葉を聞いたエマは冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、ラウラは考え込んだ後プリネを見つめて助力を申し出た。
「フフ、心配してくれてありがとうございます。でも、大丈夫ですよ。私達以外にも共に戦ってくれる心強い味方もいますから。」
「……その”味方”は俺達以外の人物を示しているのか?一体どこに……」
プリネの話を聞いたガイウスが不思議そうな表情をしたその時
「―――ペルル!フィニリィ!アムドシアス!パラスケヴァス!!」
「はーい!やっとボク達の出番だね!」
「うふふ、そんな下級の石象兵、私一人で充分ですわ!」
「さあ!奏でようではないか!我らの美しき調べを!」
「――――――!!」
プリネが自分の周囲に鳥翼族の娘―――ペルル、精霊を統べる精霊の中でも秀でた力を持ち、王族種でもある精霊――――”精霊王女”フィニリィ、ソロモン72柱の魔神の一柱にして芸術を愛する”一角候”アムドシアス、鯨の姿をした巨大な幻獣――――パラスケヴァスを召喚した!
「な、ななななななっ!?い、一体どうやって現れたんだ!?」
「ひゃあああっ!?また新手が……!」
「大きいな……」
突如現れたペルル達にマキアスは混乱し、パラスケヴァスの姿を見て新手の魔獣と勘違いしたエリオットは悲鳴を上げ、パラスケヴァスの大きさにガイウスは呆け
「しかも全員から只ならぬ気配を感じるな……」
「―――少なくとも全員、”達人”クラス。正直わたし達の援護は必要ないと思う。」
ペルルたちの強さを感じ取ったラウラは真剣な表情でペルル達を見つめ、フィーは冷静にペルル達の強さを分析した。
「!!この気配は……!あの槍の乗っている女性はまさか……妖精……!?」
「ええっ!?よ、妖精!?それって伝承の中でしか出てこない存在じゃないの!?」
フィニリィを見つめて何かに気付いたエマは目を見開いた後信じられない表情でフィニリィを見つめ、エマが呟いた言葉を聞いたアリサは驚き
「!彼女達が噂に聞くプリネ姫と契約している使い魔にして守護者達か……」
「使い魔……?」
ペルル達を見つめて何かを察して呟いたリィンの言葉を聞いたユーシスは不思議そうな表情をしてペルル達を見つめた。
「―――パラスケヴァス。貴方は一人で一体を相手して!」
「―――――!!」
「ペルル、フィニリィ、アムドシアスは協力して一体を!」
「はーい!」
「了解しましたわ!」
「うむ!」
「残りの一体は私達が受け持つわよ、ツーヤ!」
「はい!」
ペルル達に指示を終えたプリネがツーヤと共に武器を構えて自分達が相手する魔獣を見つめると二人のオーブメントから青い光が放たれ
「みんな、速やかに終わらせるわよっ!!」
プリネの号令を合図に戦闘が始まった!
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