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真田十勇士

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巻ノ三十九 天下人の耳その四

「貴殿達もです」
「殿のお供で」
「そのうえで、ですな」
「上洛して」
「そして、ですか」
「そうです」
 まさにというのだ。
「関白様の御許に」
「まさかと思いますが」
「我等も関白様へのお目通りとか」
「そうなりますか」
「そうなるやも知れませぬな」
 兼続は十勇士達のその言葉に笑って答えた。
「それは」
「そうですか」
「我等が天下人にお目通りが適う」
「殿と共に」
「そうなるのですな」
「そうなるやも知れませぬ」
 まただ、兼続は十勇士達に述べた。
「その時はどうぞ」
「ううむ、何か凄いことになっていますな」
「殿だけでなく我等も天下人にお目通りとは」
「若しかしたらにしても」
「それでも」
「では貴殿達もです」
 また言った兼続だった。
「上洛について来て下さい」
「はい、では」
「それではです」
「我等も上洛します」
「これより」
「殿と共に」
 十勇士達も応えてだ、そしてだった。
 彼等も上洛することになった、幸村は彼等と共に上洛することになった。そのことを決めてからそのうえでだった。
 彼等はその用意に入った、その中で。
 ふとだ、幸村は十勇士達に言った。
「思えば拙者は前にもな」
「はい、上洛されていますな」
「我等と出会った旅」
「あの時に」
「そして御主達と共に都に入り大坂にも行った」
 この時のことをだ、幸村は笑みを浮かべて語った。
「今もよく覚えておる」
「そして再びですな」
「上洛ですな」
「そしてまた都を見ますな」
「大坂も」
「あの豆腐屋は元気であろうか」
 この店のことも言うのだった。
「そして大坂もな」
「あの時は城は築いている最中でしたが」
「その大坂城もですな」
「既に完成しております」
「一体どんな城になっているか」
「見てみたいな」
 是非にと言うのだった。
「あの城も」
「はい、それでは」
「これよりですな」
「あの城にも行くことになりますし」
「是非見ましょう」
「天下の城になっていると聞いておる」
 その大坂城はというのだ。
「それならな」
「その大坂城をですな」
「是非見たい」
「それが殿のお考えですな」
「うむ」
 その通りという返事だった。
「だから楽しみじゃ」
「やはりこのままです」
「天下は羽柴家のものですか」
「随分固まってきましたが」
「このまま」
「うjむ、跡は三好秀次殿が継がれるという」
 幸村はこのことから述べた。 
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