ドラゴンクエストビルダーズ:アレフガルドを復活させられてます(新リュカ伝)
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第1章:メルキド編
16:名は体を表す……事も無くは無い。稀にだけどね。
前書き
皆様お待たせ致しました。
遂にユキちゃんの登場です。
(ドムドーラ地方)
リュカSIDE
ユキちゃんを求めて牢屋の鍵を開けるイケメンな俺。
“キィ~”という甲高い音と共に牢屋の扉を開け、牢屋の中へ侵入。
中はそれ程広くは無いが、入って直ぐに右への曲がり角があり、その奥から人の気配が漂ってくる。
色んな意味で万が一と言う事も有るので、曲がり角から顔を半分だけ出して奥を覗く。
するとそこには、鎖で囚われてる人間が1人……
うん。ユキちゃんじゃない。人違いでした。だから帰りましょう。
「ちょっと待て、囚われてる人間を見捨てるのか!?」
帰ろうと出口に向かったら、少しだけ目が合った知らん人が話しかけてきた。
「人違いだったんで帰るんです」
俺はもう一度角から顔を出し、こちらの事情を簡単に伝える。
「ひ、人違いって……関係ないだろ、この状況では! 序手でに助けようとは思わないのか?」
案外細かいことを気にするオッサンらしい。
見た目とは裏腹に……
あぁ、その見た目なんだけどね……
ツルツルのスキンヘッドに、厳つい顔してて大きな傷がある。
それから、コントとかでよく見るドロボウの口髭を蓄えた男。
うん。絶対ユキちゃんじゃないよ。
でも仕方ないからオッサンの腕に嵌められてる鎖を切り、取り敢えずは助けてみる。
するとオッサンは「ありがとう」って一言言って、俺の持ってる鉄に興味を向けてきた。
あげないよ……俺が徹夜で掘り集めた鉄なのだから、簡単には譲らないよ。
「そんなに鉄を集めて如何するつもりだ?」
「そりゃ加工して、強力な武器を作るんだよ」
「ほほぅ……ところでお前さんが探してたのは誰だ?」
「ユキちゃん」
「ユ、ユキちゃんって……もっと具体的な人物像を言え」
「何で命令されなきゃならないんだハゲ! ヒゲ毟るぞコラ!」
何でヒゲがはえてる奴は命令することが当たり前になってるんだ?
このハゲヒゲ然り、ヒゲ然り、ヒゲメガネ然り……
「悪かった、そんなに怒るな青年。ワシはな、名を“ゆきのへ”と言いドムドーラで鍛冶屋をしていた“ゆきのふ”の子孫なのだよ。で、お前さんが探してるのが“ユキちゃん”で、鍛冶屋が必要になりそうな程鉄を持っているから、人違いなどでは無く、まさにワシの事を探してたのではないのかなと思ったのだ」
ゆきのへ……?
あぁそうか、そいつを探してたんだね俺。
人違いじゃなくて勘違いだったんだね俺。
「認めたくは無いが、どうやら僕の探し人はお前の様だ……だがな、二度と自分をユキちゃんだと言うなよ! 認めんぞ、お前みたいな厳ついユキちゃんは!!」
「ワシ自ら“ユキちゃん”と名乗った憶えはない」
「黙れ、そんな事はどうでも良いんだよ。これからお前を僕が復興してる町へ連れて帰るけど、“ユキちゃん”以外の渾名を考えておけよ。町の皆に自己紹介するときは、ユキちゃんと名乗るなよ、良いな!」
予想してた人物と違う事に怒りを感じ、その鬱憤をハゲにぶつけながら、建物の外へと共に出る。
そしてマントの端を掴ませるとキメラの翼を空に掲げた。
因みに、キメラの翼を両手で掴んでないとアイテムの効力を全身で受けられない。
つまり片手だと、キメラの翼だけが拠点へ戻ってしまい、俺は置いてかれる事になる。
だから誰かと一緒にキメラの翼の効力を得たいときは、その誰かの意思で俺の身体に掴まってもらわないと一緒に帰れない。
だから俺はハゲにマントの端を握らせる。
本物のユキちゃんなら兎も角、こんなムサイおやじに抱き付かれたくないからね。
リュカSIDE END
(メルキド)
ショーターSIDE
僕の情報を得たビルダーのリュカさんが、三日ぶりに町へ帰ってきた。
行きは一人だったが、帰ってきた彼は厳ついオジサンを一緒に連れている。
多分あの人がゆきのへさんだろう。
彼の姿を見たロロンドさんが、真っ先に近付き話しかけている。
だがそのリュカさんも、ロロンドさんから話しかけられ、あからさまに顔を顰めて対応している。
気持ちは解る。あの人……なんだか何時も偉そうなんだよね。
この町で一番の権力者はリュカさんだろう。
だって彼が危険がいっぱいの町の外へ赴いて、色々な素材やアイテムを回収してきて、それらを町の発展に還元しているのだから。
しかも町へ攻めてくる竜王の軍勢を撃退してる最大の功労者もリュカさんだ。
色々な素材で防壁を築いてるけど、圧倒的な戦闘能力で敵を滅してるのはリュカさんだ。
リュカさんが町の外へ行く事を拒み、竜王軍と戦う事を拒んだら、我々は直ぐに滅びるだろう。
そう言う意味でもリュカさんがこの町の長なのだろうが、何故だかロロンドさんが一番偉そうにしている。
彼は事ある毎に町の発展を口にする。
でもそこに住む人々の事にまでは気が回ってない感じがする。
そうなると、ロッシさんの方が町の発展よりも人々の生活の事を考えてる様に窺える。
ただ彼は、竜王軍の影に怯え逃げ隠れしようとしてるだけにも思える。
長き年月を放浪してきた僕には、落ち着ける安住の地が心から必要だ。
だからロロンドさんの【町発展】案にも賛成だし、ロッシさんの【目立たない】案にも同意したい。
そのへんをリュカさんは如何考えてるのだろうか?
町発展派のロロンドさんを敬遠してる感じはあるが、ゆきのへさんを連れ帰った事で更なる発展は確定だろう。
僕はこの町で暮らしていきたいし、彼の動向は凄く気になる。
なのでリュカさんとロロンドさんを遠目で眺めてる……
するとリュカさんは、「うるさい黙れ、お前のお願いなんぞ一番後回しだボケ!」とロロンドさんのヒゲを左右へ引っ張りながら暴言を吐き付け、空き地に新たな部屋を建て始めた。
ロロンドさんは新顔のゆきのへさんと共に、鉄の加工に関する利点をリュカさん説明してるけど、新たな部屋造りを優先し彼等の事は無視している。
因みにリュカさんが今造っている部屋は、察するに……食堂だろう。
僕の情報でドムドーラに居た美食家の情報を得られたらしい。
つまり、一番優先してるのはピリンさんの依頼らしい。
彼女と仲良くした方が良さそうだ。
でもなぁ……
彼女の料理はなぁ……
アレなんだよなぁ……
仲良くしててアレを食べさせられるのは、ちょっと……
ショーターSIDE END
(メルキド)
リュカSIDE
拠点に帰り着くなりヒゲが話しかけてきて、『早速、鉄を加工して町を強化せよ! その為に今一度ドムドーラ地方へ戻り、“火を噴く石像”を持ち帰るのだ!』と命令してきやがった。
だが俺はピリンの為に新たな料理を完成させなきゃならないから、奴の指示は無視。
何が『火を噴く石像を持ち帰れ』だ!?
名前にヒネリが無いんだよ!
名前からして火を噴くだけの石像じゃん!
でも待てよ……
つい最近、名前がユキちゃんなのに全然ユキちゃんじゃないオッサンが居たし、もしかしたら火を噴く石像って名前の、全然火を噴かない石像なのかもしれない。
いやいや関係ない。
火を噴こうが噴かまいが、今の俺には関係ない。
今の俺はピリンの為にハンバーガーを作るのだ。
その為に煉瓦料理台を作る。
本格的な料理台を作るので、部屋も専用にしようと思い、拠点内の一角に食堂を造るのだ!
皆で仲良く食事するスペースを造れば、絆が深まるだろう。そしてピリンは喜ぶだろう。
そうなれば『ありがとうリュカぁ♥』ってな感じで、共に良い汗をかけるに違いない!
だから火を噴く石像が、本当は火を噴かないとしても、俺には関係ない。
リュカSIDE END
後書き
ユキちゃんが何なのか解らない方は、
『始まりはこの日から……』を読んで下さい。
そして感想も下さい。
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