戦国異伝
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第二百五十三話 最後の合戦その五
「いや、これはそれがしも」
「とてもか」
「適いませぬか」
「まさに鬼ですな」
こう言うのだった。
「鬼の権六の通り名は伊達ではありませぬな」
「あれではな」
また言った前田だった。
「魔界衆の者達も敵ではないわ」
「むしろです」
蒲生は槍でその魔界衆の者を一人海に突き落としてから言った。
「この者達、忍の動きをする者もいますが」
「それでもじゃな」
「はい、いくさ人の動きではありませぬ」
「そうじゃな」
前田も蒲生のその言葉に頷いた。
「この者達は」
「どうにも」
「これがか」
「はい、どうやら」
蒲生は戦いながら言った。
「陰謀や妖術は使いますが」
「武士の戦には長じておらぬな」
「左様ですな」
「ならば勝てる」
前田は勝ちを確信した、ここで。
「魔界衆を滅ぼせる」
「はい、間違いなく」
「ならばじゃ」
それならと言うのだった。
「ここで一気に攻め滅ぼしてやろうぞ」
「是非共」
蒲生も可児もだ、前田に応えてだった、そのうえで。
魔界衆の者達を攻めていった、そして。
他の者達も同じだった、魔界衆の者達を四方八方から攻めて一隻一隻と沈め魔界衆の兵達を倒していっていた。
そしてだ、謙信もだった。
刀を振るって戦う、その後ろには二十五将がいるが。
その彼等の先頭に立ってだ、こう言った。
「ここはです」
「はい、一気に」
「攻めそのうえで」
「魔界衆の者達を滅ぼす」
「そうします」
「特にです」
謙信は強い声でさらに言った。
「狙うのは棟梁達です」
「魔界衆を動かす」
「それぞれの家のですな」
「あの者達こそ天下を乱す元凶」
それ故にというのだ。
「ここで、です」
「倒しそして」
「天下泰平への憂いを断つ」
「そうするのですな」
「そうです、ではわたくしが狙うのは」
その棟梁達の中でもというのだ。
「今前にいる者です」
「あの者は確か」
「忍の一人である」
「そうです、楯岡道順です」
彼だというのだ。
「今からあの者の首を取ります」
「ですか、では」
「我等はその殿と共にです」
「魔界衆を倒していきます」
「天下の為に」
「お願いします、天下の長い泰平の為に」
是非にとだ、謙信は刀を構えて言った。
「そのうえで」
「はい、それでは」
「共に参りましょう」
こう話してだ、そしてだった。
謙信と二十五将は魔界衆の者達を倒していった、その後ろに二十五将も続いてだった。上杉家の軍勢も戦っていた。
信玄もだった、自ら刀を手にして戦いつつだ、二十四将達に言っていた。
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