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レインボークラウン

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第三百二十二話

            第三百二十二話  博士のコメント
 小田切君のボーナスの使い方を小田切君自身から聞いてだ、博士はこう言った。
「よいのではないか」
「別にいいんですか」
「君に渡したものじゃ」
 だからというのだ。
「君がどう使おうがよい」
「だからですか」
「うむ、君が貯金をしても寄付をしてもな」
「いいんですね」
「そうじゃ」
「何か博士って寄付はお嫌いかと思いましたが」
「いや、わしは寄付はせぬがな」
 しかしという返事だった。
「誰が寄付しようが何も言わぬ」
「そうdなんですね」
「止めもせん」 
 それもしないというのだ。
「別にな」
「それじゃあ」
「またボーナスを出すじゃろうが」
 臨時のそれをというのだ。
「好きに使うとよい」
「わかりました」
「その様にな、しかしわしは寄付はせぬ」
「それはどうしてなんですか?」
「わしはマッドサイエンティストじゃ」
 それも人類史上いや宇宙開闢以来最凶最悪のだ。何しろビッグバンと共に誕生した存在なのだから。
「それでじゃ」
「マッドサイエンティストは寄付はしないんですか」
「全てを己の研究と開発に費やすものじゃ」
「それと実行にですね」
「他のことには使わぬ」
 例えどれだけ金があろうともというのだ。34
「だからじゃ」
「寄付にもですか」
「使わぬ、まあ生活は楽しんでおるがな」
「楽しんでいても何か」
 博士の楽しんでいる生活についてはだ、小田切君はこう述べた。
「贅沢はされていませんね」
「洒落た生活はしておるがな」
「イタリアとかスペインのお料理を楽しんでいて」
「和食もな」
 刺身や天麩羅も博士の好物だ。あとはすき焼きや寿司、蕎麦もである。
「好きじゃ」
「けれど贅沢はされませんね」
「そこまでは興味がない」
「お金は殆どですね」
「研究と開発、実践に向けておる」
 つまりマッドサイエンティストの活動にというのだ。
 博士はこう言って小田切君のお金の使い方はよしとしたうえで自分の使い方も話した、そうしてその通りに使うのだった。


第三百二十二話   完


                     2016・3・4 
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