転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1305話
「……どうなってるんだろうな」
ナデシコのブリッジに俺の呟く声が周囲に響く。
それは他の者にとっても同様の思いなのだろう。すぐにハルカが口を開く。
「多分、アクセルに受けた被害が大きかったから、それを補充するのに時間が掛かってるんじゃない? チューリップとかがどこか他の場所から戦力を送り込んできてるって言っても、その送り込んでいる側は無限にバッタとかを作り続けられる訳じゃないんでしょ?」
そう呟くハルカの言葉は、納得出来るものがある。
ナデシコがユートピアコロニーからオリンポス山にあるネルガルの研究所へと向かっている途中で木星蜥蜴の襲撃が全くない理由としては、純粋に向こうの戦力不足というのは有り得る話だ。
「それと、アクセルさんの……ニーズヘッグでしたっけ? あの凶悪なロボット。あの機体を相手にした場合、カトンボや大型艦、ましてやバッタを幾ら出しても無意味だというのが分かったんじゃないでしょうか」
「あー、なるほど。ユリカの意見も当たってるかもね」
「でしょ、ジュン君。だって私だったら、木星蜥蜴の兵器でどうやったらアクセルさんの機体に勝てるか、全く分からないもん」
艦長と副長の会話というにはちょっと緩い気がしないでもないが、そっちの意見も分かる。
分かるんだが……
「そもそも、ニーズヘッグに勝つんなら神くらいの相手を連れてくる必要があるぞ?」
まぁ、まんま破壊神と呼ぶに相応しいダークブレインも倒したが。
「あはははは。そんな、幾らニーズヘッグが神話に出てくるドラゴンから名前を取ったからって、幾ら何でも神なんて……」
艦長が笑い声と共に俺の方へと視線を向けてくるが、俺はそれに特に笑いもせずに受け止める。
『……』
そして、ブリッジの中に広がる沈黙。
微かに聞こえてくるのはナデシコが動いている事による音だけであり、それ以外は皆が沈黙を守ったままだ。
そして、俺の方に意味ありげな視線が向けられている。
30秒程の沈黙の後、それを破ったのは当然のように艦長だった。
「や、やだなぁ。アクセルさん。冗談なら冗談だって言ってくれなきゃ。どこで笑えばいいのか困っちゃうじゃないですか!」
「……冗談?」
「え? その、あの、冗談……ですよね?」
改めて真剣に俺の方を見てくる艦長以下ブリッジクルーの面々。
俺の本性を知っているハルカやエリナまでもが俺の方へとそういう視線を向けているのが印象的だった。
そんな視線を向けられながら、俺はそっと視線を逸らし……
「本当に木星蜥蜴が攻めてこないな。このままネルガルの研究所まで無事に到着すればいいんだけど」
「誤魔化したぁっ! それも思いっきりわざとらしく!」
艦長のそんな声がブリッジ内に響き渡る。
「何の事だ? 俺はただ、正直な思いを口にしただけだぞ?」
「……で、でも、きちんとむぐぅっ!」
何かを言おうとした艦長の口を慌ててジュンが塞ぐ。
「だ、駄目だよユリカ。ここで彼に妙な突っ込みを入れたら、きっと知っちゃいけない事を知ってしまう事になるから。だから、お願い。ここは黙ってて」
必死になって口を押さえるジュンに、艦長もやがて頷きを返す。
別にそこまで必死になる事はないと思うんだが。そもそもネルガルにしろナデシコにしろ、母体となっているのは日本の企業だ。
そして日本といえば神仏混合どころか、イスラム教やキリスト教なんかの行事も平然と受け入れる、宗教的な……良く言えば大らかさを持っている。
クリスマス、初詣、葬式、結婚式、ハロウィン、バレンタインデーもその一種か? お菓子会社の陰謀だけど。
……こうして考えるとイスラム教の行事とかはないな。俺が知らないだけかもしれないが。
ともあれ宗教に関しては大らかな日本人だけに、そこまで神とかを気にする必要はないと思う。それに……
「そこまで気にする必要はないと思うけどな。俺が殺したのは神は神でも邪神と言った方がいい存在だし」
ボソリ、と俺の声がブリッジの中に響き渡った。
「言った! 今、神様を殺したって言っちゃったよ!」
騒がしくなっているブリッジにいるのは色々と面倒臭い事になると判断し、そのまま影のゲートで……と思ったけど、出来るだけ使わないように言われていたのを思い出し、そのまま扉の方へと向かう。
そしてブリッジの扉が開き、そこから外へと出て扉が閉まる瞬間……
「鬼神リョウメンスクナノカミは中々に美味だったな」
その言葉と同時に扉が閉まり……
『か、神様食べちゃってますよ、アクセルさん!』
そんな風にブリッジの中が混乱に満ちているのをそのままに、通路を歩く。
まぁ、食ったと言っても正確にはスライムで吸収したってのが正確なんだから、味なんか分かる訳ないんだけどな。
それでも能力的に美味かったってのは事実だ。リョウメンスクナノカミのおかげで俺は鬼神化なんてスキルを入手したんだし。……結果的にそれは混沌精霊に結びついたんだけど。
ともあれ、ブリッジの方は暫く騒がしいだろうから暫く戻らない方がいいだろう。
火星を移動している以上、いつ木星蜥蜴の襲撃があるか分からないという事でエステバリス隊の5人は格納庫で待機してるんだが、俺の場合は影のゲートがあるからどこにいても同じだ。
ちなみにナデシコでミロンガ改を運用する為に用意されたコンテナだったが、今現在は既に存在していない。
何しろ、ミロンガ改が俺の空間倉庫の中にあり、別にナデシコから出撃しなくてもよくなった以上、わざわざナデシコの運動性を落とすようなコンテナをくっつけておく必要もなくなった為だ。
避難民の荷物とかを入れたりする為に残して置いてもいいんじゃないかって意見もあったんだが、ぶっちゃけあのコンテナのおかげでナデシコの運動性はかなり下がっていたからな。
純粋に重量だけを考えればそれ程でもないんだけど、やっぱり外装部分にコンテナを……それもミロンガ改が入るような大きさの物があればナデシコを動かす上でかなり邪魔だったらしい。
正確にはサツキミドリ2号から火星にやって来るまでの間は邪魔じゃなかったけど、火星に降りて空気抵抗を受けるようになってからかなり厄介になったらしい。
操舵士のハルカが不満そうに言っていた。
いやまぁ、当然ナデシコだって空気抵抗とかそういうのを出来るだけ少なくなるように考えて設計してるんだろうから、そこにコンテナがあれば邪魔になるのは分からないでもない。
ナデシコの設計をしたというイネスも色々と思うところはあったみたいだし。
ともあれ、もう必要がなくなったコンテナはユートピアコロニーの跡地へと捨ててきた訳だ。
空間倉庫に収納してもよかったけど、別に使い道があった訳でもないしな。
そんな風に考えながらナデシコの通路を歩き、やがて展望室へと到着する。
そこにはユートピアコロニーの地下に潜んでいた火星の生き残りが何人か固まっている。
ここだけにいるって訳じゃなくて、食堂にいたりもするんだが、やっぱり火星の地下で暮らしていただけあってどこか居心地が悪いんだろう。
そんな火星の生き残りを眺めつつ、その近くを通ろうとすると……
「待ってくれ!」
不意にそんな風に呼び止められる。
ここにいるのが火星の生き残りである以上、誰に呼び止められたのかというのは考えるまでもない。
俺の視線の先にいたのは、当然のように火星の生き残りの面々だった。
人数的には5人。
全員が男で、年齢も20代から40代くらいまでと幅広い。
一瞬喧嘩を売る為に呼び止めたのか? とも思ったが、こっちへ向けてくる視線を考えるとそういう訳でもないのだろう。
縋る……というのはちょっと言い過ぎだが、それに近い色がある。
何かを俺に頼みたい。それも、相当な厄介事を。そんな風に思わせる男の様子を見れば、何となく頼みたい内容は理解出来た。
話の出所はイネスか? いや、そう簡単にペラペラと人の重要な情報を喋るようには思えない。だとすれば……ああ、護衛として一緒にいた2人の男か。
話していないのでどんな性格かは分からないが、それでもヤマダとテンカワに銃を突きつけていたのを考えれば、結構強引な性格をしているように思える。
これはあくまでも予想でしかないが。
「何だ? 一応これでも忙しい身なんだ。用事があるなら、出来るだけ早く済ませてくれ」
いや。本当は全く忙しくはないんだけど。
そもそも木星蜥蜴が襲ってこなければ、俺にはやるべき事はない。
にも関わらず、木星蜥蜴が襲撃してくる様子は一切ないのを考えれば、暇なのも当然だろう。
……それを素直に言えば面倒な事になるのは確実なので言わないが。
「あ、ああ。その、あんたがアクセル・アルマーだよな?」
確認するように尋ねてくる言葉に頷きを返す。
ここで否定してもいいけど、向こうは俺をアクセルだと知っての上で話し掛けてきてるんだろうし。
「じゃあ、あんたが、その……別の世界に国を持っているって話は本当なのか?」
「本当だ」
『うおおおおおお!』
俺が頷いた瞬間に、その場にいた者達が歓声を上げる。
そう簡単に異世界とか世界の狭間とかいう言葉を信じてもいいのか?
いや、疑われるよりはいいのかもしれないが。
「じゃあ、俺達をあんたの国に亡命させてくれないか!」
だよな。やっぱりこう来ると思った。
地球に見捨てられた以上、連合軍や連合政府、それとネルガルには頼りたくない。
特にネルガルなんかは研究所を見れば分かる通り、火星でそれなりの勢力を持っていたのだろう。
そのネルガルは、とっとと自分達だけで撤退してしまった。……この辺は俺の予想であって事実ではないのかもしれないが、ナデシコに対する態度を見る限り、少なくても火星の生き残りは似たように感じているだろう。
そしてこのまま火星に残っていてもジリ貧以外のなにものでもない。
そんな時、急に降って湧いた異世界の存在。そこにある国の代表でもある俺がいるとなれば、亡命を思いつくのは少し頭脳があれば分かるだろう。
ただ……
「難しいな」
「何でだよ!」
向こうにとっても断られるとは思っていなかったのか、反射的に叫んでくる。
「当然だろう。確かにお前達の境遇は可哀相だと思うが、だからってシャドウミラーに迎え入れる訳にはいかない。そもそも、お前達はシャドウミラーに入りたいんじゃなくてここから逃げ出したいだけだろ? そんな状況でシャドウミラーに亡命したいって言われても頷ける訳がない」
向こうも必死なのかもしれないが、こっちだってそう簡単に亡命を受け入れる訳にはいかない。
正直なところ、現在関係を持っている全ての世界でシャドウミラーに所属したいと希望している人数は大勢いる。
だが、今のところ交流区画でならともかく、本格的に迎え入れるつもりはない。
少数精鋭を旨としている……というのはちょっと言い過ぎだが、だからといって役に立たない存在を引っ張り込むつもりは全くないからだ。
まぁ、亡命って訳じゃないが、避難誘導的にシャドウミラーの一員となったエルフ達という前例はある。
だがエルフ達は何を思ってか、俺を崇拝している。
それにホワイトスターの観光資源的な存在になってくれてもいるし、精霊魔法という特技を持っている者も多い。更には精霊の卵という実働班の下部組織として傭兵団を結成もした。
そこまでシャドウミラーに――正確には大部分が俺なんだろうが――尽くしてくれているのを見れば、迎え入れても良かったと思う。
他にもネギま世界の元3-A組の大学卒業に合わせて勧誘はしているが、それだって特別な能力を持っているからこそだ。
そこに全く何も特別な能力を持っていない奴がシャドウミラーに所属したと聞けば、他の世界から不満も出るだろう。
また、現状でそれなりに上手く回っているシャドウミラーに潤滑油ではなく異物を入れれば妙な軋みを産みかねない。
その辺を考えると、どうしても火星の生き残りを迎え入れる事は出来なかった。
ただ……だからと言ってここで目の前にいる奴等を見捨てれば、このナデシコ世界で俺達の評判が悪くなるのも事実。
だとすれば、何らかの手段を考える必要はある訳だ。
こいつ等を見捨てず、シャドウミラーに迎え入れるような事もしない手段を。
一応腹案はある。
ただ、SEED世界やギアス世界のようにどこか一ヶ所の勢力に味方をして世界を支配、あるいはそれに準じた地位に就けるというのは、このナデシコ世界では難しい。
そもそも、それが出来たのは俺に原作知識があった為だ。
Fate世界に召喚された影響で原作知識の殆どがなくなってしまった現状では、どこの国が優良なのか全く分からない。
それ以前に、基本的にこのナデシコ世界は連合政府が大きな力を持っている。
どこかの小国とかに力を貸すにしても、そこがどんな国かは分からないしな。
かと言って、ネルガルなんかの企業に協力しても世界を支配下に置けるとは思えない。
「取りあえず、俺はお前達をそのまま見捨てるつもりはない。一応考えている事はあるが、もう暫く待ってくれ。悪いようにはしないつもりだ」
「……本当か?」
「ああ」
『ネルガル研究所が見えてきました。それぞれ下船の準備をお願いします』
タイミング良く、ブリッジからメグミの通信が周囲に響くのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1188
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