転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1304話
エリナが何かを言おうとした、丁度その瞬間に鳴り響いたコミュニケの音。
その音に一瞬ビクリと震えたエリナだったが、すぐに小さく息を吐いて口を開く。
「私達の事はいいから、取りあえず出てみたら。今のナデシコの状況を考えると、何か緊急の用件かもしれないでしょ」
「そうか、悪いな」
今はハルカやエリナにとって非常に重要な話をしている時だ。
それが分かるだけに、話の邪魔をしてきた相手に若干の苛立ちを覚える。
だが、エリナが言う通り現在このナデシコは色々と危険な状況にあるのは事実。
そう考えれば、向こうにとっても何か用事があって通信を送ってきたのは間違いないのだろう。
「どうした?」
『あ、アクセルさん。えっとですね、ユートピアコロニーの地下にいた人達の収容が終わりました。それで、これからどうするかの相談をしたいので、ブリッジに来て貰えますか? その、そこにハルカさんとエリナさんもいますよね?』
艦長の言葉に無言で頷きを返す。
恐らく艦長権限か何かで、ここに誰がいるのかを理解して俺に通信してきたのだろう。
『じゃあ、その2人にもブリッジに来るように伝えて下さい』
それだけを告げ、すぐに通信が切れる。
てっきりテンカワの話でも出てくるかと思ってたんだけどな。
ちょっと予想外だった。
いや、この忙しい時にテンカワの話をするような真似は普通しないってのは分かってるんだけどな。
それでもやっぱり艦長ならそのくらいは普通にしそうというイメージがある。
ま、それはともかく……
「だ、そうだぞ」
ハルカとエリナの方へと視線を向け、そう告げる。
その言葉にエリナは少しの沈黙の後で溜息を吐き、口を開く。
「取りあえず私はアクセルとこれまで通りの関係のままでいさせて貰うわね。……少なくても今はアクセルとどうこうなるつもりはないから」
そう告げたエリナは、座っていた場所から立ち上がって扉の方へと向かう。
そのまま外へと出ようとして……不意に動きを止めて、背中をこちらに向けたままで口を開く。
「でも、そうね。あの夜からアクセルには不愉快な思いをさせたかもしれないと思うから、その辺は気をつけさせて貰うわ。これからは今まで通り……クリスマスの前のように接させて貰うから、よろしくね」
それだけを告げ、部屋から出て行く。
これは、一体どういう事だ? 振られたのか、現状維持なのか。
少なくても好きだと言われた訳じゃないのは分かるんだが。
混乱している俺の近くでは、ハルカが何だか面白そうな笑みを浮かべて俺の方を見ている。
「……今のってどういう事か分かるか?」
「さて、どうかしらね。その辺を私に聞くのは、色々とルール違反よ」
「ルールって、何のルールだよ。別に何かゲームをやってる訳じゃないだろ」
「男と女の関係は、ある種ゲームと言ってもいいかもしれないわよ? まぁ、とにかく。エリナがどんな気持ちでいるのかは、アクセルがしっかりと考えなさい。人に聞くんじゃなくてね。でなきゃ真剣に考えている向こうに失礼でしょ?」
「……言ってる意味がよく分からないが、取りあえず分かった」
「そ。ま、それ以外の事なら私に聞いてもいいわよ? アクセルの為なら、いつでも時間を空けるから。ただ……ま、今はそんな時間もない事だし、ブリッジに行きましょうか」
そう告げ、ハルカは俺の方へと手を伸ばしてくる。
引っ張って立ち上がらせろって事なんだろうな。
別にその程度は特に問題が……いや、どうせだ。このままからかわれっぱなしなのもちょっと面白くないし。少し仕返しをさせて貰おう。
ハルカの手を掴み、そのまま念動力を使ってハルカと俺の靴をハルカに見えないようにこっちへと運んでくる。
そうしてハルカが俺に引っ張られて立ち上がった瞬間……俺とハルカを囲むようにして影のゲートを展開し、身体が影へと沈んでいく。
「ちょっ、アクセル!? これ、一体何がどうしたの!?」
さすがにハルカも、影に飲み込まれるという経験はした事がなかったのか、慌てた口調で告げてくる。
……いや、影に飲み込まれる経験をした事がある奴がいたりしたら、それはそれで色々と驚きだけど。
ただ、今のハルカから上がっている声は悲鳴というよりは歓声とでも呼ぶべき声だ。
怖さ半分、興味半分的な感じで。
その辺を考えると、やっぱりハルカって肝が据わってるんだよな。
まぁ、俺がハルカに対して何か酷い真似をする筈がないという確信を持っているというのも大きいんだろう。……多分。
俺に抱きつきながら騒いでいるハルカと共に完全に影へと沈み、次に姿を現した時には、俺とハルカの姿はナデシコのブリッジにあった。
「ア、アクセルさん!? それにハルカさんも! どこから出て来てるんですか!?」
俺達が転移してきた様子を見ていたのだろう。艦長が驚愕の声と共にそう尋ねてくる。
周囲にいる他の面子……俺がシャドウミラーという存在を露わにした時にいた面子も驚きの表情を浮かべていた。
火星側の代表なのだろう。イネスの姿もある。
イネスの護衛として一緒にいた2人はいなかったが。
「少し急いでって話だったから、影のゲートを使って転移してきたんだよ。影のゲートでの移動は木星蜥蜴が襲ってきた時にも見てるだろ?」
「……その、ですね。ちょっと言いにくいんですけど、このナデシコに乗ってる人は魔法とかそういうのにはあまり慣れてないので、緊急時以外は普通に入って来て貰えると助かるんですけど……」
艦長の言葉に、近くで話を聞いていたプロスペクターもまた同様に頷きを返す。
「ええ、ええ。こちらとしても出来ればそのようにして貰えると助かります。ナデシコの中の平穏の為にも……」
「そうか? 分かった。なら、基本的には緊急時以外は使わないようにしよう」
「……で、アクセル。私を驚かせるって目的だけでこういう事をしたのはいいけど、彼女の方にはきちんと自分で説明しておきなさいよ」
そう告げるハルカの視線の先にいたのは、何かを我慢しているようなエリナの姿。
まぁ、自分が部屋を出た方が早いのに、こうして俺達の方が先にブリッジにいれば驚くか。
しかも、部屋を出る時にああいうやり取りをしてるんだし。
「アクセル……後でちょっと話があるから」
何かを言い含めるように告げるエリナに、俺はただ頷くしかなかった。
そんな場の空気を読んだのか、艦長は手を叩いてブリッジにいるメンバーの注意を引く。
いや、艦長の事だから別に空気を読んだとかではないんだろうな。
ただ偶然そんな形になっただけで。
単純に俺達やエリナがここに呼ばれていた面子の中でも最後だったって可能性もある。……いや、そっちの可能性の方が高い。
そんな俺の思いを余所に、皆の視線が自分に集まったと判断した艦長は口を開く。
「はい、それで皆さんに集まって貰ったのは、これからナデシコがどうするかを考えて貰う為です」
「うん? 艦長、スキャパレリプロジェクトっつーのは火星に生き残ってた奴等を助ける事なんだろ? ……まぁ、ネルガルには何か別の目的もあったみたいだけどよ」
言葉を一端切ったウリバタケが、視線をプロスペクターの方へと向ける。
だが、言われた本人は特に気にした様子もなくいつものように胡散臭いように見える笑みを浮かべたままだ。
「とにかく生き残りを助けたんだから、後はもう火星から脱出して地球に戻ればいいだけなんじゃないか?」
ウリバタケの口から出た言葉は、この場にいる殆どの者達も同意見だったのだろう。
だが、その言葉に真っ先に否を唱えたのは当然の如く火星の生き残りを代表してこの場にいるイネスだった。
「ユートピアコロニーの地下は敵に見つかった可能性が高いから大人しくナデシコに乗ったけど、相変わらず地球に向かいたくないという人も多いの」
「何でだ? 木星蜥蜴に勝てないって話は、アクセルのおかげで心配いらなくなっただろ? あれだけの戦力を個人で倒すだけの力を持ってるんだから」
その言葉に若干不満そうな表情を浮かべるヤマダ。
いや、ヤマダだけではない。リョーコ、ヒカル、イズミの3人も表に出さないようにはしているが、不満そうな表情を隠しきれてはいない。……特に感情が表に出やすいリョーコは。
当然か。本来なら自分達がこのナデシコを守らなければならなかったのだから。
俺というイレギュラーがこのナデシコに乗っているのは、色々な意味で特殊な事情があるからに過ぎない。
……うん? 待てよ? 原作通りの流れだと、この場合どうなってたんだ?
そもそも、このユートピアコロニーで行われた木星蜥蜴の攻撃をどうにかして防ぐ事が出来たのか?
エステバリスが数機出撃したくらいではどうにもならない程の数だったが……
だからってディストーションフィールドを展開していれば、ユートピアコロニーの地下にいた奴等は全滅してただろうし。
ああ、もしかして原作だとここまでナデシコで来なかったのか?
それならディストーションフィールドを張って撤退するくらいなら何とか出来たかもしれないな。
グラビティブラストは……って、もしかして敵がディストーションフィールドを展開するようになったのも俺の仕業じゃないよな?
ミロンガ改があまりに強過ぎたから、それに対抗してとか。
原作の流れが分からないと、こういう時の判断に困る。
でもぶっちゃけミロンガ改もそうだが、ナデシコが地球でチューリップに頭から突っ込んでグラビティブラストを撃ったってのもかなり大きいと思うんだが。
ま、どっちが理由なのかは今更俺が考えても仕方がないか。
「そうね。確かに戦力的な意味では全く問題がなくなったと言ってもいいわ。けど、私達が地球に行きたくないと言っているのは戦力的な問題以外にもあるのよ」
「それは何ですか?」
艦長の真っ直ぐな質問に何か感じるものがあったのだろう。イネスは薄らとした笑みを浮かべる。
「いい? 私達はこの火星に住んでいた。そこに木星蜥蜴が襲い掛かって来たのに、地球の人達は自分達の事だけを考え、あっさりと火星を……私達を切り捨てたの。自分達を裏切った相手が再度手を伸ばしてきたからといって、それをすぐに信じられると思う? どうせまた何かあればすぐに切り捨てるでしょうね」
そう告げるイネスだったが、ふとそんなイネスの様子に疑問を抱く。
いや、言っている内容はもっともであり、なんらおかしなところはない。
一度裏切られたという意味では間違ってないのだろうし、それを恨みに思っている者が多いのも当然だろう。
だが……その割りに、イネスの言葉には殆ど恨みや憎しみが存在していないように思える。
それどころか、イネス本人はまるで恨んですらいないような……
「それは! あのまま火星を戦場にしていれば、補給線の問題もあって地球は今よりももっと被害が大きくなっていたんですよ!? 寧ろ、あそこで退いたおかげで、まだ今地球は戦えていると言ってもいいんです」
連合軍贔屓のジュンとしては、どうしても連合軍を庇う形になってしまうのだろう。
また、それは事実でもある。
俺がこのナデシコ世界にやってきた時に図書館で調べた限りでは、火星から撤退して防衛線を後退していなければ今よりも地球の被害は増えていただろう。
下手をすれば既に地球は木星蜥蜴に占領されていた……という可能性すら皆無ではない。
だが……
「そうね。確かにあそこで火星を見捨てたからこそ、地球はまだ戦えているのかもしれない。でも、見捨てた方はそれでいいかもしれないけど、見捨てられた方はそれで済むと思う?」
「それは……」
言葉に詰まるジュン。
まぁ、イネスの言っている事は理解出来る。
特に今まで生き残った火星の生き残りは連合軍や連合政府に対して……それどころか、地球にいる全ての者に対して不信感を抱いていてもおかしくはない。
寧ろ当然と言えるだろう。
「ですが、このまま火星に残っていてもいずれどうにもならなくなるのでは? ユートピアコロニーの件を考えると、向こうも本格的に偵察行為を行うでしょうし」
「そうでしょうね。ナデシコが来たから余計にね」
プロスペクターに対して当て付けのように告げるイネス。
このままだと平行線だな。
そう判断し、イネスに向かって口を開く。
「それで、お前達は結局何を望むんだ? 地球に向かうのも嫌、火星に残ったままだといずれ死ぬ。……もう考えようがないんだが?」
実はあるんだけどな。地球にいかず、火星で殺される事もない方法が。
ゲートを設置して、ホワイトスターに迎え入れるという手段が。
ただ、そう簡単に決断出来る事でもないのは事実。
シャドウミラーに迎え入れるというのも、ちょっと悩みどころだ。
「そうね、どうしたいのかしらね」
イネスの言葉に、火星の生き残り達も自分達がどうしたいのかというのははっきりと分かっていないんだろうと理解する。
「じゃあ、一旦ネルガルの研究所に行きませんか? 向こうにはシェルターもあるって話ですし、ここにいるよりは何をするにしてもいいと思いますけど」
結局先送りだというのは理解していながらも、艦長のその言葉が採用されてナデシコはオリンポス山にあるネルガルの研究所へと向かうのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1188
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