決戦!!天本博士VS超時空天下人ヒデヨシ
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4部分:第四章
第四章
「聞いたこともないですけれど」
「向こうの歴史ではそうなっておる」
しかし博士はこう小田切君に答えるのだった。
「そして禿山だらけにし三百年間ペンペン草も生えない程焼き尽くし素晴らしい建築物を全て跡形もなく破壊し尽し」
話のスケールはどんどん大きくなっていく。
「そして偉大な歴史を書き残した歴史書も全て焼き尽くし人類の進歩に大きく貢献した技術も破壊し尽し技術者を根こそぎ日本に拉致し」
「何か東映の特撮ものの悪役より凄いですね」
最早その域すら凌駕してしまっていた。
「戦では常に大勝し敵を寄せ付けず戦の余興に半島の象徴である虎をはじめとした多くの野生生物を狩り尽くし嘘の歴史書や劣った技術を置いてその朝鮮文明を根絶したのじゃよ」
「ええと、何か滅茶苦茶強過ぎません?」
小田切君はここまで話を聞いてとりあえずそれが現実の世界であるとしたうえで博士に問うた。
「それって」
「コルテス?ピサロ?甘い甘い」
悪名高き中南米のコンキレスタドール達だ。彼等が根絶した文明は今だにどれだけのものであったのかよくはわかっていない。そこまで徹底的に破壊してしまったのだ。
「あのヒデヨシの前にはな」
「ですよね。まさに化け物です」
「そうじゃ、化け物じゃ」
ヒデヨシを差しての言葉であるのは言うまでもない。
「それがあの男なのじゃよ」
「そんなに凄い人だったんですか、太閤様って」
小田切君もはじめて知る事実であった。
「歴史の教科書で読むよりずっと偉大ですね」
「歴史の教科書は普通に嘘を書くぞ」
博士はこのことを小田切君に告げた。
「それも平気でのう」
「まあ最近の学者やマスコミ関係者は全然信用できませんけれどね」
実右派小田切君はマスコミがあまり好きではない。
「特に夜の十時や十一時からはじまるニュース番組は」
「そんなものを観る位ならドラマでも観ていればよい」
博士にしろこう言うのであった。
「テレビは楽しんで観るものじゃよ」
「それはその通りですね」
「そうじゃ。まあそれよりもじゃ」
「はい、あの人ですけれど」
ここで話がそのヒデヨシの方に戻るのだった。
「それで何でこの時代に蘇ってきたんですか?」
「蘇ってはおらんぞ」
ところが博士はこう答えるのだった。
「時空を超えて来ておるのじゃよ」
「だから超時空天下人なんですか」
今ここでわかったその通称の由来である。
「それでですか」
「そうじゃ。あの男は時空を自在に移動することができる」
とりあえずまともな人間の能力ではない。
「確実にのう」
「そこまで物凄い人なんですか」
「一応一五九八年に死んだことになっておるが実はこうして時空を自由自在に行き来できるから」
話はどんどん大きくなっていくのだった。
「実質的には不老不死なのじゃよ」
「不老不死ですか」
「わしは不滅じゃ」
そのヒデヨシの方からの言葉である。
「決して死ぬことはないのじゃ」
「それはわかりましたけれど」
小田切君は不死身とかそういうことに関しては博士という実例を知っているのでとりあえずは納得した。博士にしろ宇宙開闢の頃から生きているのである。
「それでどうして大阪城に戻っておられるんですか?」
「おかしなことを言うのう」
しかしヒデヨシは小田切君にこう返すのだった。
「わしが大阪城にいて悪いのか?」
「あっ、そういえば」
小田切君もヒデヨシに言われてふと気付いたのだった。
「ここって貴方のお家でしたよね」
「左様。大阪城は我が居城」
そうなのである。大阪城は他でもないこのヒデヨシの居城だ。彼がその持てる力を尽くして築城した天下の名城なのである。難攻不落とさえ謳われていた。
「この城にいて不自然ではあるまい」
「そうですよね。それは確かに」
小田切君も博士の言葉に頷く。
「じゃあ特に驚くことはないか」
「しかし。天本博士よ」
「何じゃ?我が強敵よ」
この場合強敵と書いて『とも』と読む。
「そのわしの城を勝手に基地に改造しようとはいい度胸をしておるのう」
「悪いか?」
「悪いに決まっておる」
ヒデヨシの側から見ればまさにその通りである。
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