世界をめぐる、銀白の翼
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
クウガ ~接触~
皆さん、こん、にち、はー!蒔風舜でーす!
今ぼくは警視庁の中にいます。今目の前にいるこわいかおの刑事さんに招待してもらいました!
やったね!!
今は小さい窓のある暗い部屋にいます。両手に金属のリングをはめています。ファッションだね!
さっきまで目の前の刑事さんとお話してました!
単刀直入に言おう。
現在取り調べられ中だコンチキショー!
不幸だ。なんでこーなるの・・・?
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「ここかな」
警視庁の前で一人つぶやく俺、蒔風舜。
この世界に着いたとき、まずしたことは身の回りを確認ダァッ!!
服装はスーツになっていて、なんと警察手帳を持っていたんダァッ!!
所属は「未確認生命体合同捜査本部」だそうダァッ!!
未確認生命体・・・・グロンギという名称の彼らは、「ゲゲル」と称した殺人ゲームを長期間にわたって行い、大量殺戮を繰り返した。
そのために、警視庁に未確認生命体合同捜査本部が設置され、未確認生命体と戦っていた・・・らしい。
その時点で「クウガの世界」だと言うことはわかった。
クウガが何だかはわからないが。
そうして警視庁に来たオレは受付の人に「未確認生命体合同捜査本部ってどこですか」って聞いたんだ。
そしたら怪訝そうな顔されて、お待ちくださいと言われて待つこと15分。こわいかおの刑事さんに連れられてここにいる。
身の回りの物は没収された。
虚偽の疑いで逮捕だそうだ。
たしかに虚偽なんだからなにも言い返せない。
だからと言っていきなりこれか?
世界め・・・・・謀りおったか!?
ガチャ
思い悩んでいると取調室の扉が開き、一人の男性が入ってきた。
「おお、悪いな一条。あいつが帰ってくるってのにな」
「大丈夫ですよ杉田さん。五代が帰ってくるまで、まだ時間があります」
一条、と言う名を聞いて、この人が主要人物であることがわかる。
便利だなおい、世界。
一条 薫
未確認生命体合同捜査本部にて、幾度となく未確認生命体と戦ってきた刑事。
現在は長崎県警に所属・・・か
情報が流れて来るトリガーはまちまちのようだ。
もっとサクッと来てくれるかな?
いちいち驚くんだけど・・・・・・
「で、この人が?」
「ああ。受付に「未確認生命体合同捜査本部はどこですか」って聞いたらしい」
「そうか・・・・だが、未確認生物による事件は終わった。だからもう捜査本部はない。ただの勘違いだろう?それだけで逮捕か?」
「いや、逮捕の理由は違う。こいつが警察手帳を持っていて、所属が捜査本部になっていたってところだ」
「それは・・・だがしかし、さっき彼の所持品を見てきたが、すべてしっかりとした本物だった・・・所属をのぞいてな」
「ああ。だからとりあえず虚偽ってところで連れて来たんだ。なにかあると思ってな」
「あの・・・・オレが対策室にかつていたっていう可能性は・・・」
「「ない」」
「即答ですか・・・」
「って言うのも、オレも一条も、捜査本部にいたからだ。そしてお前のことは知らない。なのに所属が捜査本部。怪しむのは当然だろ?」
「君が何を考えているかは知らない。だが決して悪い事は考えてないんだろう?」
「どうしてそう思うんだ?」
「この人の目が、なんとなく五代に似てるんですよ。見た目じゃなく、雰囲気が」
「あいつに?そうかぁ?」
「で、だ。正直に話してもらえないかな。未確認生物なんてものを相手にしてきたから、少しくらい突拍子もない話でも、理解できると思うけど」
・・・ふぅ、どうやら話さなければ解放してもらえないかな。
そうしてオレは話しはじめた。
異世界から来たこと、敵がいること、この世界の人間が狙われること。
一通り話終わってから、杉田さんが口を開いた。
「どんな話かと思えば、かなりぶっ飛んだ話だな。新しい未確認と戦いに来ましたって方が説得力あるぜ?」
「だが、それが本当なら・・・誰が狙われる?」
「おいおい一条!信じんのかぁ?」
「あ、そうだあともう一つ」
「なんですか?」
「クウガって、なんのことか教えてもらえますか?」
「「!!」」
「?」
「・・・その名を、どこで?」
「この世界に着いた時に、クウガの世界って情報が」
「・・・・なあ一条」
「ええ・・・狙われるのはその「クウガ」なのか?」
「おそらくは。「クウガ」とは?人の名前ですか?」
「いや、だが・・・」
「我々とともに戦った男の別の呼び名だよ。・・・会いに行くか?」
「一条!?」
「大丈夫だ。杉田さんだって、そこまで本気ではないんでしょう?こんな逮捕。だから調書も取らず、話を聞こうとした」
「・・・・・・・・・まあ、な」
「確かあいつはあと二時間後にはポレポレにいるはずだ。行こうか。えっと・・・」
「蒔風です。蒔風舜」
「蒔風さん。ではいきましょう」
「はい。ありがとうございます。杉田さん、お騒がせして申し訳ございませんでした。それと、本気で逮捕してくれなくて、ありがとうございます」
ペコリ、と一礼してから私、蒔風舜は一条さんに連れられて、「クウガ」なる人物が来るという喫茶店、ポレポレに向かった。
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山道を一台のバイクが走っている。
乗っている人間は二十代前半くらいの男性。
ヘルメットの下の顔には、ウキウキとした笑顔があった
(一条さんにおやっさん、それにみのりに桜子さんは元気にしてるかな)
彼の名は五代雄介。
ここだけの話、彼がかつて多くの怪人たちと戦ってきた、仮面ライダークウガである。
彼は今、冒険の旅から帰ってきたところだ。
ちなみにおやっさんとは彼の居候する喫茶店、ポレポレのオーナーで、みのりとは彼の妹である。
さらに桜子とは本名、沢渡桜子。彼が変身するクウガに関しての古代文字の解読をして、彼の戦いをフォローした人物だ。
そんな久しぶりの友人との再開に、彼は胸を膨らませていた。
「この分なら予定通りに・・・・・ん?」
道の真ん中に人がいる。
こんなにもよい天気で、視界ははっきりしてるのに、良く顔が見えない。
おかしいと思いながらも、基本お気楽な彼は特に気にせずそのまま通り過ぎようとした。
そして
男を抜こうとしたとき、男の手にいつのまにか大きな剣が握られていて
その剣が五代の愛車、ビートチェイサーごと真っ二つにしようと襲い掛かってきた。
轟っ!!
「っ!?うわぁ!」
寸でのところでかわした五代だったが、敢え無く転倒し、身体が道に投げ出された。
とっさに受け身をとって軽い擦り傷だけで済んだのはさすがはクウガといったところだろうか。
片膝をつき、軽く構えながら五代が叫んだ。
「な、なんだお前!?」
その声には若干の怒気が含まれている。
それはそうだ。
剣が本物でなくても大惨事だったろうし、本物なら自分は死んでいた。
しかし多くのグロンギと戦ってきた感性が、剣は本物であり、目の前の人物が自分の命を狙っているのは明らかである、と告げていた。
だから何をするんだ、ではなく相手の正体を知ろうとした。
目の前のジンブツは、得体が知れなさすぎる。
「オレのことはいい。貴様、仮面ライダークウガだろ?それだけで十分さ」
そう言って男が近づいて来る。
五代は驚愕した。
「仮面ライダー」が何だかは知らないが、「クウガ」は間違いなく自分のことだ。
自分がクウガであることは特に隠してはいなかったので、一条を始めとした警察関係者や友人の何名かは知っている。
しかし、彼らがそのことを他人に簡単に言うとは思えない。
「お前、未確認の生き残りか!?」
だからこの問いに行き着いた。
そもそも自分をクウガと最初言ったのは未確認、グロンギたちだったからだ。
だが男は即座に否定した。
「未確認?あぁ、グロンギのことか。違う違う。オレはただお前を殺し世界を喰らうだけだ」
その言葉に五代は再び驚愕する。
未確認=グロンギであることを知っている?
確かに、未確認に関して調べていた桜子は古代文字から奴らを「グロンギ」と命名した。
だが世間一般、マスコミでは「未確認」としか呼称されていないし、警察内でも「未確認〇号」という名称だった。
それを一発で未確認=グロンギだと呼んだこいつはいったい何者なんだ?
さらには世界がどうのこうのと言っている。
何を言っているんだ?
五代は次第に混乱してきた。
しかしそれ以上に命の危険が迫っている。
戦おうにも自分の腹部にあるアークルはまだ0号、最強のグロンギ、ダグバとの戦いの破損から回復していない。戦うつもりもなかったから特に気にしてなかったが、このままでは自衛もできない。
ビートチェイサーには警棒がついているが、あの剣に対抗できないだろうし、取りに行くにも距離が離れ過ぎている。
「ま、クウガといっても今はただの人間だな。終わらせようか」
まずい!
そう五代が身を強張らせる。
しかし、そのとき不思議な事が起こった。
一切の前触れもなく、突如として五代の腰に、アークルが完全回復した状態で現れたのだ。
「なに?」
「くっ。(バッ)変身!」
とにかく戦うにしても逃げるにしても、変身するしかない!
そう思った五代は迷わず変身した。
そして彼は光に包まれ、立ち上がる。
なぜアークルが再び復活したかはわからないが、また戦わなければならないのか。
彼はマスクの下で一瞬悲しげな顔をして、まっすぐ相手を見据える。
悲しげな顔はマスクには表れず、凛々しい姿の古代リントの戦士がただ構える。
彼の名は、仮面ライダークウガ。
皆の笑顔のために、悲しむ顔をつくらぬために、戦ってきた戦士。
「っち!厄介な!」
ブワッ!!!
奴が接近の速度を速め、一気に近づいてきた。
奴の振るう剣がクウガの腹部を貫こうと突っ込んで来る!
それをギリギリのところで避けるクウガだが、掠めたらしく、うっすらとその装甲に傷がついている。
奴はさらに攻撃を続けてくる。
「くっ、おわっ、はぁっ!」
クウガは避け続けていくが、奴の猛攻に、ただえさえかわせるかどうかの攻撃が、さらにかわすのが困難になっていく。
しかし相手も決定打が決まらないのに業をを煮やしたのか、大きく剣を振り上げ、叩き落としてきた。
だがクウガもそれを避けられないわけではない。
むしろその瞬間が来るかどうかが勝負だった。
バガァっ!
と荒くコンクリートでならされた道路を砕いた剣は、地面にめり込んだ。
引き抜くのに一秒程かかる。
そしてその一秒がクウガの狙いであった。
クウガは奴が振り上げだ瞬間からビートチェイサーの方に駆け出して行く。
今は逃げるしかない
その考えからクウガは一切の反撃をしなかったし、ひたすら回避に専念していた。
そしてチャンスがきたらビートチェイサーを最高速度まで走らせ、一気に逃げるつもりだったのだ。
そうしてクウガは自らの考えのとおりに、ビートチェイサーに乗り込み、一気に最高速度まで上げ、その場から逃走した。
逃げるが勝ち。
三十六計逃げるにしかずである。
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「奴」は遠くなっていくその姿を見ている。
こいつが本気で追えば追いつけるだろう。
しかし乗っているのは人間体ではなく変身したクウガだ。
ビートチェイサーのスピードを惜しみなくフルで出しているにちがいない。
五代のバイク、ビートチェイサー2000の最高速度は時速420㎞である。
生身では耐えられなくとも、クウガに変身した今ならおそらくそのスピードで走っているはず。
それでも追いつけるには追いつけるが、追いつく途中で都内に入り、警察が出て来て、最悪蒔風を相手しなければならない。
つまり奴のこの計画は
「ちっ、失敗か・・・」
というわけである。
しかし、奴は残念そうでもなく。
「んじゃ、第二計画に移行しますかね」
呟き、その場から消えた。
to be continued
後書き
・仮面ライダークウガ
この世界に「仮面ライダー」という呼称は存在しない。
戦った戦士も、ただ「クウガ」と言われていたのみである。
最初にクウガと呼称したのは、その姿を見た敵のグロンギ。それを聞いて、五代は戦士の名を「クウガ」とした。
ちなみにこの呼び名はこの世界において一般的ではなく、世間一般には「未確認生命体4号」と認知されている。
・アークル
五代雄介の腰に、彼の意志に応えて現れる。要は仮面ライダーの変身ベルト。
最初の装着と共にこれはその者の体内に溶け込み、一体化する。
アークルとはベルトその者のことを指し、その原動力は埋め込まれている「霊石・アダマム」である。
この霊石の力で彼は変身し、また肉体も強い物へと変貌していくことになった。
・ベルトの復活
敵首領、ン・ダグバ・ゼダとの最終決戦の時に、壮絶な殴り合いの末このベルトは破損している。
(めぐ銀設定)
本来自己回復するこのベルトだが、五代はなかなか元に戻らないなぁ、そこまで壊れちゃったのかな?と回復の遅さになんとなく納得していた。
だがそれは彼の勘違いであり、戦いが終わり、そして本来戦いを望まない五代の意思が反映されていたためである。
次回予告
アリス
「いきなりの「奴」の襲撃から何とか逃げ延びた五代。そして蒔風との出会い。さらに「奴」の第二の計画とは?」
ではまた次回
だから見ていてください。俺の、変身!
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