ドラゴンクエストビルダーズ:アレフガルドを復活させられてます(新リュカ伝)
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第1章:メルキド編
13:大空と大地の中で
(メルキド)
リュカSIDE
石の守りとは、堅い石垣で防壁を築き足下のトゲ罠で石垣を崩そうとする者にダメージを与える代物だ。
仕組みは簡単だし、材料も石垣とトゲ罠だけ。
でも広範囲を守ろうとすれば労力は果てしなくなる。
俺もどうせ造るのならばと、当初の予定より範囲を広げたら、気が付けば徹夜仕事になっており、完成したときは夜が明けていた。
万年曇り空だけど、朝日は気持ちいい。
完成した石の守りの上に乗ってると、この雄大な自然を讃える歌を歌いたくなるね。
そう松山千春の“大空と大地の中で”を……
う~ん……何時ぶりだろうか、こんなに気持ちよく歌うなんて?
妻に先立たれてからは歌わなくなってたなぁ……
やっぱ寂しかったのかな?
(パチパチパチ)
歌いきると後ろから手を叩く音が聞こえてきた。
振り返るとそこにはピリンが居り、真剣に拍手をしてくれてる。
「リュカは歌が上手いのね」
未だ他の野郎ズは起きて居らず、俺の歌に誘われた感じでピリンだけがここに居る。
俺が起こしてしまったのだろうか?
「ゴメン、起こしちゃった?」
「ううん。私はもう起きる時間だから……」
ホントこの娘は良い子だ。気を遣ってくれるんだもん。
これは堪らんね。
朝だけど、起きたばかりだけど、またベッドに誘っちゃうよ。
そう思って石の守りの上から降りようとした途端、拠点に向かってくる多数の殺気を感じて振り返る。
そうです。
敵さんの襲来であります。
やってしまいましたね、ワタクシ。
歌った所為で敵を呼び寄せてしまったわけですな。
「ピリン、また部屋に戻りなさい。暫くの間、ここは戦場になるからね」
「え……あ、うん!」
どこからか現れたケッパーに連れられ、ピリンは部屋へと戻っていった。
……アイツ(ケッパー)何処に居たんだ?
まぁいいか。
今は兎に角、敵の撃破を優先せねば。
早速石の守りを活躍させようと思ったけど、これ……俺の趣味じゃないんだよね。
俺が不在の時に敵が攻めてきた時用に設置したけど、それ以外の時は使用しない様にしよう。
だから俺は剣を掲げて突撃する。
リュカSIDE END
(メルキド)
ロロンドSIDE
朝になって起き町の様子を確認すると、何も無かった場所に石の守りが完成しておった。
リュカが我が輩の為に徹夜で完成させたのだろう。
感心なことだ。
そのリュカに労いの言葉をかけてやろうと、周囲を探したが見当たらない。
石の守りに身体を隠す様に身構えてるケッパーに問いかけると……
「リュカさんでしたら、あちらで戦っております」
と、町の外を指差す。
示す方に目を向けると、離れた場所で大量のモンスターを相手に戦ってるリュカの姿が……
正確に言うと、我が輩に戦ってる姿は見えない。
リュカの攻撃は早すぎて、シロウトの我が輩には何も見えないのだ。
程なくして敵の姿が見当たらなくなり、リュカは大きな赤い石版の様な物を拾い上げる。
遠目では断定出来ぬが、多分あれは新しい旅の扉だろう。
色が赤いから“旅の扉・赤”と名付けよう。
「あれ……誰か希望の旗を手直しした? なんか豪勢になってない?」
気が付くと町の中に戻ってきてたリュカが、中心地にある旗の変化を気にしてる。
誰も手を加えておらんが、確かに変化しておるな。
そんな事より、新たに手に入れた旅の扉・赤を含め今後の事を話し合いたかったので、リュカに声をかけようと近付いた。
だが急に在らぬ方向を見たと思ったら、急ぎ足で町の外へ出て行くリュカ。
その行動が気になったので後を付けると、人気の無い物陰に姿を隠してしまった。
かなり怪しい行動なので、我が輩も気が付かれない様に近付く……
すると誰かと会話するリュカの声だけが聞こえてきた。
「あれ、お前が手直ししたの? 何で今更?」
「……………」
「竜王軍の攻撃を撃退したから、少しずつ豪勢になってるの? なにそれ?」
「……………」
誰も居ないのに、リュカは誰かと会話し、話を進めていく。
そう言えばピリンが言っておったが、リュカはルビス様と会話出来るらしい。
彼女が初めて会ったとき、リュカは突然独り言を言い出したそうだ。
今のアレは、ソレか?
う~む……神との対話となれば邪魔立てしては失礼になるだろう。
何やら町の方も騒がしいし、今はソッとしておく方が良いな。
ロロンドSIDE END
(メルキド)
リュカSIDE
希望の旗はルビスの力をこの世界に広げるアンテナの様な役割をしてる……らしい。
その為、竜王軍を撃退すると敵の影響力が弱まり、ルビスの力を強く発生させることが出来る……らしい。
だから竜王軍を撃退すると、少しずつ希望の旗がバージョンアップするのだ……と言ってた。
まぁ如何でも良いけどね。
拠点に戻ると、希望の旗周辺が何やら騒がしくなっている。
トラブルではなさそうだけど、気にはなるので俺も近付いてみる。
すると見慣れぬ顔が一人増えていた。
「あ……貴方がこの町を復興させてるリュカさんですか? 初めまして僕はショーターと申します。長い月日を彷徨い歩いておりました……」
「ああそう」
明るく人当たりの良さそうな青年だ。新しい住人と言う事かな?
「僕も身を落ち着ける場所がほしいと思っていましたので、ここに住まわせて貰って宜しいですか?」
「別に良いんじゃね? 町ってのは人が住む為に存在するんだから」
何で俺に聞くんだよ?
「ありがとうございます。各地を巡り見聞きしてきた知識が町の復興のお役に立てば幸いです」
「それはそれは……では早速、何か情報はありますか?」
どれ程情報を持ってるのか判らんから、役に立つのかも判らん。
「おお、その事で相談なのだがリュカ」
俺は新顔のショーターに話しかけてるんだけど、何故だかヒゲが食いついてきた。
ホント鬱陶しいよね。
「ショーターの情報を先程聞いたのだが、ドムドーラ地方の土中には鉄が豊富に存在するらしい。しかも、有名な鍛冶屋だった“ゆきのふ”の子孫である"ゆきのへ"が、ドムドーラ地方の牢屋に囚われているらしい。鉄を手に入れ、ゆきのへを救出すれば装備も強化出来、町の発展に大きく寄与出来るだろう」
「ドムドーラねぇ……あの砂漠の町だろ。ここからだと遠いじゃん。一日二日で往復出来る距離じゃねーよ! 如何やっていくんだよ?」
「リュカよ……先程の戦闘で、おヌシは新たな旅の扉を取得しただろう。それを使えば簡単に行けるはずだ」
あぁ、そう言えば手に入れてたな、そんなモン……
これを使えば、今必要とされてる物や事柄の場所にワープすることが出来る、とてもご都合主義的な装置だったな。
「色は赤だから……旅の扉・赤……かな?」
「リュカもその名前が良いと思ったか! 我が輩と同じ考えとは流石よのぉ」
お前の思考回路が単純馬鹿だから、合わせやすいんだよ。
そんな事考えながら、旅の扉・青の隣に旅の扉・赤を設置。
早速ドムドーラ地方に出かけようとしたら……
「リュカよ、もう一つ伝えておきたいことがある」
とヒゲに止められる。
「ドムドーラ地方に行ったら、鉄の取得とゆきのへの救出を頼むのだが、もう一つ手に入れてほしい物があるのだ」
「何だ……エロ本か?」
「……有れば手に入れてこい。だが本命は違う。“火を吐く石像”を手に入れてほしいのだ」
「名前からすると火を吐くのか……その石像は?」
ヒネリのない名前だ。
「そうだ。それがあれば石の守りを強化出来るのだ」
「何処に有る……って判ってたら苦労はないか」
どうせ“探せ”って事だろ。
「いや判ってる。ショーターの情報だと、ドムドーラ地方にあるピラミッドの中に2体有るのだが、お前の持ってる装備では土台から外して持ち帰れないのだ」
「……矛盾してるぞ。持ち帰れって言っておいて、持ち帰れないって言う」
「二度手間を嫌うおヌシに、先に情報を与えておるのだ。鉄で装備を造れば、今まで壊せなかった物も壊せる様になる……そうなれば火を噴く石像も持ち帰れる様になるのだ」
なるほど~……だから先に鍛冶屋と鉄を持ち帰り、武器を揃えてから再度ドムドーラに行けって事かぁ!
「結局二度手間じゃねーかよ!」
「致し方有るまい。我が輩だって、二度手間をさせたくはないのだが、こればかりは……」
本当にそう思ってるのか?
「リュカ。二度も行く必要なんてないさ!」
ヒゲの言葉に疑いを浴びせてると、ロッシが突然吠えだした。
一度で済ませる方法があるのかな?
「そんな物騒な物を持ち帰ったら、余計に竜王軍から狙われてしまうだろ! これ以上発展なんかさせず、ひっそりと暮らしていくのが一番だ」
「何を言うか馬鹿者! 既に竜王軍からは目を付けられているのだから、町の強化は必要だろう。それに良きメルキドの町を復活させるのだから、これからも発展させるのは当然!」
「馬鹿かお前は! 人間が竜王軍に勝てるわけがないのだから、大人しく暮らして行くのが長生きの秘訣だ。これ以上目立つことは避けるべきだ!」
「黙れ愚か者。これまでも竜王軍を撃退してきたではないか! メルキドの栄華を取り戻すのは絶対なのだ!」
「これまでの出来事は運が良かっただけだ! これからも運の良さが続くなんて思うな!」
「では貴様は出て行「如何したのピリン? 何か僕に用かな」
ヒゲとロッシの口論が激化してきたが、何か言いたげなピリンを見つけ口論を中断させる。
「あ……う、うん。でも……後でも良いよ。リュカも皆も忙しい……みたいだから……」
ヒゲとロッシの口喧嘩が怖かったのか、寂しく立ち去ろうとするピリン。
俺は思わず彼女の腕を掴んで止めた。
だってピリンは、皆が楽しく生活出来る町を造りたいんだから……
リュカSIDE END
ページ上へ戻る