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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
  the days 崩壊 ~ほとんど説明だなこりゃ~



「・・・・大きな力を得ると思ってはいましたがね、まさか"翼人"。しかも銀白・・・ですか」

先ほどの白い空間で、影の男曰く「管理者」の女性が蒔風を見て唖然としていた。
少し懐かしい雰囲気を感じながら、それがなんなのかわからないままに記憶から薄れていく。

そして

「やはり、これはこうなるべき物語だということですか?」


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「くそ、もう少しだったってのに・・・管理者め・・・・」

「あ?管理者?あの人のことか?」

「・・・・お前なにも知らずに力を得たのか?」

「ああ、何も知らねえよ。あの人のことも、お前のことも、この翼のことも。けど、この力でおまえを倒せるのなら・・・・問題はない」

由縁などどうでもいい。
いま重要なのは、目の前の敵を倒すこと。

だが、相手の男はまだ相手を軽んじていた。

「・・・ま、確かにその力なら俺を倒せるかも、しれない。だが初めて手にした力をぶっつけ本番で使って、うまく勝てんのか?」

いきなり手にした力。
それをうまく扱えるものかと。

だが、蒔風はそれを詭弁で埋める。


「お前わかってないなぁ・・・いいか?こういう状況はな?大体パワーアップしたら苦もなく勝てるようになってんだよ」

「ぬかせ・・・・試してみろよ」

詭弁を言う蒔風に、相手が声に怒気を含み始めてきた。
まもなく、動く。



「「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!」」


咆哮と共に二人は一気にその距離を縮め、拳はぶつかり、すさまじい爆音を生み出した。
だがその場に二人の姿はなく、既に空中に舞い上がっている。


「おおおおおおっ!獄・炎!」

「なにッ?」

「弾!」

ゴヴッ!

蒔風の作りだしたバスケットボールより一回り小さい火球が打ち出される。
それを男は紙一重で躱すが、その瞬間火球が膨張した。

火球は一気に大きく膨れ上がり、男を飲み込んでいく。

その内部では炎がすさまじい勢いで渦巻いており、さらに中からはいくつものくぐもった爆発音が聞こえてくる。
そして大きくなりきった火球はついに大爆発を起こし、その空域を紅蓮に染めていく。


「~~~~~~~~~っ!」

爆発によって男はそのまま大地に叩きつけられ、言葉にならない叫びを上げる。



「どうした?まだまだ気が済まないんだ。とっととかかってこい!」

蒔風が地に降り、土煙の中の男に向かって叫ぶ。
が、男の返答は思いもよらないところからやってきた。

「この一撃だけで俺をノックアウトしたつもりか?」

蒔風の足元から声がした瞬間

ドゴッ!!!!

男が地面から飛び出し、蒔風の顔面に重い一撃を叩きこむ。
地面から飛び出してきたというのに、その拳は蒔風の顎に向かって真っすぐ伸び、重々しいアッパーカットを繰り出してきた。

「ブッ!」

蒔風が仰け反り、半歩後ろに下がる。
さすがに無傷ではなかったのだろう。男も血を流しているが、顔を抑える蒔風を見て大いに嗤った。

「調子に乗るからだァ!!直撃ならまずかったが、がんばってそれだけは避けてやったぜ!!」

「っつあ!てんめ、痛そうな声出しで悶絶してたじゃねえか!」

「何のことかね?オラッ!!」

「しらばっくれやがって・・・・くそ野郎っ!!」

悪態をつきながら、蒔風が手のひらを上に向け、大量の水の塊を作り出す。
腕の形は、まるで蕎麦屋が担ぐような状態だ。空手の型にも見えるそこから、蒔風が叫びとともにそれを叩きつける。

「おらあ!圧水掌!」

「うぉお!?」


ザッパァッ!!と月並みな水の音。しかし、その規模が尋常ではない。
手のひらを返し、地面に押し付けるかのように腕を下げた蒔風の動きと連動して、水の塊が男という小さな対象に向かって堕ちていく。

液体だからと侮るなかれ。
重みを増した水は、もはや金属とそう変わらない。

「てめえが力を得たのがどれくらいかはわかんねえが、まだ扱いきれないんだろ?オレはこの力の使い方が、まあわかる。頭の中に流れ込んでくるんだ。俺とお前の力の総量はイーブンってとこか?だから扱える分、今なら俺のほうが強い!」

だが、わかってる。それは、あくまでも「今は」だ。


長引かせられない。
それはわかっている蒔風だが、男が水を払いのけながら姿を現して叫んできた。

「グッ、げホッ・・・・はぁ・・・はぁ・・・そうか、貴様は鍵によってその力を・・・・確かに、強い、わけだ。だがいいのか?・・・遊んでる暇なんか・・・あるのかねぇ・・・・」


バレていた。

そもそも、蒔風のこの力のこともそうだが、世界?とやらの状況もやばい。


確かに、そこらじゅうがビキビキといっているのが何となくとだが感じ取れた。
やはり、長引かせるのはまずいようだ。

「まだまだボコし足りないんだが・・・・チッ、この状況を考えると、終わらせないといけないようだ」

「確かにそうだろうな・・・・だがっ!」

「!」


話に応じていた蒔風が、いきなり動いた男に少し身じろぐ。

だがその一瞬を逃すことなく、男はその場から跳躍して蒔風に背を見せていた。
男は話の間に体力を少しでも回復していたらしく、それを逃走のために注ぎ込んだのだ。

「オレはこのままトンずらすんぜ!時間さえたてばこの世界はいずれ終わる!そうすりゃオレの勝ちだ。オレはこの世界を壊して食えればそれでいいんだからな!」

「待てこら!」

「はっはっは!アデュー!」

蒔風とのまだ距離はある。
大丈夫だ、逃げ切れる。どっかで身をひそめれば、それだけであとは俺の勝ち。


そう思ってた。


いよいよ本気で逃げようと、男が体を前に向け先に進もうとして


ガクンッ!!と、その勢いが止まった。
衝撃に男の首が少し揺れる。



(なんだ?どうした?)

男の頭に疑問が浮かぶ。
否、わかってる。

そんなものは「疑問ということにして、わからないふりをしている」に過ぎない。



わかっている。この原因はわかっている。
オレがこんなことになる理由はたったひとつしかない。

だが認めたくない。
認められるか。



二個目の世界でこんなことになるなんて、いきなり出鼻がくじかれるなんて!
駄目だ振り返るな、振り返ったら現実になる!


しかし男は振り返った。
本人も分かっていたのだろう。見ようと見まいとその脅威が迫っていることは間違ってないことを!


「ウオォォォォォォォオオオオオオオオオ!」

「あああああああああああああああああああああああああああ!」

蒔風が男の後襟をつかんで引き寄せる!

「これで――――終わりだッッ!」

「おおおおおおおおおおおおぉぉぉぉおおおおお!!!??」

堅く強く握られたその拳が男を砕かんと振り下ろされ、その拳はいかなる星をも打ち砕く――――

「打 滅 星!!」

ゴッシャァ!!!と、それこそ本当に星をも砕けそうな音がして、拳が男の顔面にめり込み、衝撃波を発しながら地面に飛んでいき、あろうことかバウンドしてまた蒔風の眼前に戻ってきた。それを蹴っ飛ばして距離をとった蒔風は確信した。


これでおわったな。


「ぐっふあ。げはっ、っづ。」

影の男がユラ~っと消えていく。
まるで、霧に映った幻影だったかのように。

「くっそ、てめえ覚えてろよ?別の世界を食らって、また戻ってきてやる。それとも、追っかけてくるかい?ふっふっふっふっふっふっふ。はははははははははは・・・・・・」

シュァァァァァァ

男が完全に消滅し、あたりが静寂に包まれた。



蒔風が地面に降りると、瞬間、周辺が再びあの白い空間に変わっていく。



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「終わりましたか」

「なんとか、な。じゃ、説明してもらいますよ。あいつのこと、この力のこと」

「ええ」


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ではまず、世界のあり方について説明しましょう。

世界は実に数えきれないほど存在しています。
それはさまざまな物語の数を見れば明らかです。

「物語?」

ええ、それはゲームだったり、マンガや小説などの書物であったり、アニメや番組などの映像作品であったりと、実に多く存在しています。
あなたもそういうのが好きでしょう?それらの世界は確実に存在しているのです。
作家や製作者というのは、これらの世界の情報を、電波のように受信して、それを形にしているのですよ。

そしてこれらの世界・・・物語には必ず主人公、我々管理する者からは「最主要人物」と呼ばれ、またそれを取り巻く人物などを「主要人物」と言います。

「ん?確かあいつ俺のこと・・・・」

はい、あなたもまたこの世界の最主要人物、主人公なんですよ?
ほかの世界ではあなたを取り巻く環境が何らかの形で作品となっているんです。

「なんか、恥ずかしいな」

まあまあ。
そしてそれらの世界は主人公と中心に構成されて行きます。いわば主人公は世界の中心なのですよ。

こう思ったことはありませんか?
『なんで主人公はこんなにも事件、きっかけ、状況が色々とあるのだろう』と。


しかしそれは逆です。『そのようなことがいろいろある人間が主人公となる』のです。
つまりなろうと思えば誰でもなれるのですよ、主人公には。


それで彼のことになります。
彼は自分の世界でそれなりに普通に暮らしていました。しかし彼はある時、これらの世界の構造に気付いたのです。

「それって・・・凄くないか?」

ええ、異常といってもいいですね。
そして調べた結果彼自身は・・・・


脇役でした。


「脇・・・・役?」

ええ。
そうですね、さしづめ「学生G」とか「通行人Z」とかそんなものですかね。

「GとかZって」

それほどまでに彼は脇役だったんですよ。
いえ、そういう風に振られるだけの脇役ですらなかった。


そして思いました。なんで俺は主人公じゃないんだ?と。

「待ってくれ。あいつはそんなに駄目な奴だったのか?」

いいえ?彼は決して悪い人間ではなかったんですよ。どこにでもいるようなごくごく普通の人間でした。
しかし彼はそれを知ってしまったのです。


そして――――

自分のほうが優れているんじゃないか?
ほかの世界で自分は適当にあつかわれているのはなんでだ?
もしかしたら俺だけでなく俺の友人たちもないがしろに扱われてるんじゃないか?

だれも・・・俺のことは知らないんじゃないか?

――――そんなことを、考えたのです。


「それは・・・・奴の勘違いだし、どうにかできるんだろう?主人公と友人にでもなればいいじゃないか」

そうであることは彼も知っていたでしょうがもう止まりませんでした。
結果、彼はその世界の最主要人物を殺し、世界を壊してしまいました。

「あれ?主人公が死んだら世界が崩壊するのか?主人公が死ぬような話はたくさんあるけど、その後も物語・・・世界は続いてるぜ?」

いいえ、ただ最主要人物が死ぬだけでは世界崩壊のトリガーにはなりません。
重要なのは世界はそのように成り立っていることを理解し、その意図を持ったうえで殺害することです。


彼の世界は崩壊し、そして彼はその世界を、自らの内に取り込んだのです。彼のすべてを含めた、世界を。
そして世界を取り込み、彼もまた、壊れました。今はただあらゆる世界をとりこんで、それを再構築して、新たな世界を作り出そうとしています。

世界一つのエネルギーは莫大です。それこそ翼人一人に匹敵するほどの、ね。

「そうそう、でさ。この力とあの鍵はなんだったん?あいつも翼人とか言ってたけど」





世界は大まかに分けると五つに分類されます。
すなわち

『何の変哲もない日々がただ淡々と過ぎていく世界』
『人が何らかの特殊な力を得ている世界』
『科学技術が異常に発達している世界』
『基本的には普通の世界だが、人の強い想いが奇跡を起こす世界』
『秩序を失った黒い世界』

これらは順に

"no Name" "フォルス" "ライクル" "輝志(きし)" "LOND"

と呼ばれてます。

「統一性ないな」

そもそもがバラバラの世界の区分ですからね。世界はこれらの属性をいろいろと組み合わせているのです。

そうですね、いくつか例をあげてみましょう。
たとえば、『涼宮ハルヒの憂鬱』という世界があります。

「あ、知ってる知ってる」

でしょうね。
この世界は上っ面は"no Name"ですが、それに"フォルス"、"ライクル"が入り込んでいます。
あとはほんの少しの"LOND"ですかね。

「あの世界はそれなりにしっかりしてるぞ?それでも"LOND"があるのか?それに宇宙人とかの存在はどうなんだ?」

宇宙人や異世界人は日本人とアメリカ人の違いのスケールアップにすぎません。
この境界を越える方法によって分類されます。

あと、大体の事件が起こったりするようなものは"LOND"に分類されます。



もうひとつの例を
『ひぐらしのなく頃に』という世界では、"輝志"と"LOND"がすべてを占めていますね。

「なるほど」

あなたがいた世界は"no Name"です。そこにおいてあなたのように力を得るとはどのようなことかわかりますか?

「そういう世界なんじゃないの?もともと"ライクル"が入ってたとか」

いいえあなたの世界は純粋な"no Name"です。それはあり得ません。
人は本来力を持っているのです。ただ生まれ落ちた世界によってそれは変わってきます。

"no Name"にいる人は、みな扉が閉じている状態なのです。そこで渡したあの鍵を使ってあなたの扉を開けたのですよ。
力をすんなり使えたでしょう?それはもともと持っていた力だったからですよ。

「ああ、だから代償は世界の理から外れるだったのか」

はい

「でもほかの世界の奴に頼むこともできたんじゃないか?なんで世界の理を外させてまで俺に?」

それは、彼の正体が・・・・・


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管理者が口を開いて「奴」名前を言う。

その名はよく知る「あいつ」だった。

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「・・・・・なるほど、そりゃ俺が適任だな」

ええ、そしてその翼、翼人についての説明をいたします。


そもそも、翼人の翼は、力を使役するもののひとつのリミッター解除装置なのです。
莫大なエネルギーを使う時にはその反動を吐き出すための「なにか」が必要になります。

「車の排気口みたいな?」

そうです。それがあの翼です。翼人になる人間は限られており、誰でもなれるようなものではありません。また、生まれも関係ありません。

翼人の翼は物理的なものではないので、翼が生えていてたあなたの服の背にも、穴は開きませんので、衣服代は気にしないでくださいね?
まあ、使いようではそれで攻撃することもできますけど。

翼人はいくつかの世界に一人という低確率で現れます。しかもその持ちうる力の大きさ、さらには生まれ落ちた世界にもよるので、一生のうちにその力に目覚める者は、ほんの一握りです。

「まあさっきの説明だと、俺なんか一生なかっただろうしな」



そして翼人となるものにひとつだけ共通点があります。
それは

「それは?」

何らかの人の感情を司っているからか、良くも悪くも、人に意思を尊重するものです。ただ一方的に叩くにしても、相手の意志を知った上で、理解したうえで否定してきます。
故に翼人は素晴らしい善人とも呼ばれますし、とんでもない悪人ともいわれることもあります。

「つまりはすべての理解者ってこと?だからどっちにも転ぶ?」

ええ、理解なしには否定も共感もできませんから。
そして翼人の翼はそれぞれ色が違い、またつかさどる人の想いも異なります。

あなたの色は確か銀白でしたね?


「ん?あぁ。で、この色は何の想いなんだ?」

色で想いは決まりません。欲人の翼に同色はなく、似た色でも個人で全く異なります。
だから、それが何であるかはあなた自身で感じ取ってください。

「んじゃ、ちょっと待ってくれ・・・・ハァっ!」

なにもここでやらなくても・・・・


「いーじゃんいーじゃん。んーっと、俺の翼は・・・希望、人の願い、悪く言えば欲望・・・らしい」

ふむ・・・・やはり、あなたは規格外です・・・・ね

「これで説明はおわりですかな?」

ええ・・・・「んしょっと」


「そういえばなんでさっきまで響くように話していたんだ?」

「神さとの会話っぽいでしょう?」

「なるほど・・・・ノリいいな」

「ではあいつが向かった世界に行ってきてもらいましょうか」

「まってくれ、そこまでやんなきゃいけないのか?!」

「何を言っているのです。そうしなけれがあなたの世界は本当に崩壊してしまいますよ?」

「・・・・なんでさ」

「一度「奴」のような脅威にさらされた世界というのは、その後にワクチンのような防壁を張るのです。「奴」ならば破れるでしょうが、それには莫大なエネルギーがかかります。世界によっては新たな物語によって再度入れることもありますがね。そこであなたは世界を守ろうとしていくのですから、その世界にはすんなり入れます。その状態で戦えば・・・」

「あっちは疲れて、俺は全開。俺が勝つから無駄になる。だからあいつは一度失敗した世界には入り込まないって?」

「その通り。ですが彼がほかの世界を食らい強く・・・つまりはバージョンアップしたらその防壁は効きません。彼は素通りしてしまいます。しかもあなたを遥かに凌ぐ力を持って」

「それじゃ、オレは、」

「ほかの世界まで「奴」を追い、勝ち続けなければなりません。ただ一度の敗北も許されません。負ければあなたの世界だけではなく、ほかの多くの世界の崩壊につながります」

「・・・・いいぜ」

「え?」

「なんだ?その意外そうな顔。いいぜってのよ。やってやるさ。「奴」が「あいつ」だってんなら俺に勝てない道理はねえ。世界を救ってやるさ」

「いいのですか?どれほどの旅になるかもわからないのですよ?」

「・・・・俺さ、昔からヒーローが好きでさ、それでも救いきれないキャラとかが居るのとか見ると悔しくてさ。もしヒーローになったら絶対こうしようってきめてるんだよな」

「どのようなことを?」

「いいか?よーく聞いとけよ?「救えるものは根こそぎ救う!」ってな」

「・・・あなたの覚悟。確かに聴きとどけました。ではこれが世界へのゲートです」


すると白い光に包まれたゲートが現れ、[Gate Open---the days]という声が聞こえてくる。

「おおすげえ」

「それと・・・・ああ、来たようですね」

「なにが?」

「あなたの武器です。どんな武器だかはわかりませんがきっとそれなりのものが来ますよ」

「あそこまで強くなってさらに武器かよ」

「あなたは勝ち続けなければならないのですよ?強すぎて悪いことはありません」

「む、たしかに」


そんな風に話していると、刀が四本落ちてきた。日本刀である。柄のところにそれぞれ「風」「林」「火」「山」と書いてあった

「四本も?こりゃすげえ・・・・」

「これは、まさか・・・気を付けてください。おそらく、まだ来ますよ!」

「へ?」

ひゅんひゅんひゅひゅん ととととっ


間抜けな声を出した蒔風の目の前をさらに四本の刀が落ちてきた。
あと数㎝前に出ていたら彼の旅はここで終っていただろう。

「あっぶね!」

今度のはトンファーの形をしていて、本来相手を殴るための横の棒の箇所には、刃が付いていた。
簡単に言うと、日本刀をトンファーと合体させたような形をしている。殴りさまに相手を切れそうである。
取っ手の先についている球にそれぞれ「天」「地」「陰」「陽」と書いてある。

さらに四本、最後に三本、落ちてきてそこで終ったようだ。


追加で落ちてきた四本は、小ぶりだが反りの強い剣で、それぞれに青龍、白虎、朱雀、玄武の意匠が彫りこまれている。
円を四分の一にしたら、こんな感じの形だろう。

最後の三本は、幅が二十センチほどの、ありきたりな西洋剣の形をしていて、それぞれに獅子、天馬、麒麟の意匠が彫りこまれている。


「十五本!?なんでこんなに・・・」

「・・十五天帝。まさかこの刀の持ち主がこんな形で、しかも何もなけれな"no Name"で・・・」

「じゅーごてんてー?」

「ええ、この剣は十五本一刀の合体剣です。その一つ一つもすごい性能を持っているのですが…」

「・・・・そのとおりです」

「「!!」」

驚く二人だが、そこにいきなり男が現れるものだから二人は更に驚いた。

「・・・・いきなり失礼いたします・・・・あなたが我らが主ですか?」

「我らが主?何の主?」

「ああ・・いきなりでわからないのですね。・・・わが名は青龍。主よ・・あえて光栄だ」

「えっと」

「・・・私はそこに刺さっていた青龍の絵のついた剣の変化体です」

「ふえ?」

「・・・ほかにも、白虎、朱雀、玄武がおります。大きな獣の姿の獣神体・・・このような人型の人神体・・・待機状態の剣神体の三つの体系がございます」

黙々と語る青龍に圧巻されてしまう蒔風は

「お、おう」

としか言えない。なんかさっそくヘタレてきている。


「・・・我ら四刀、龍虎雀武(りゅうこざくぶ)・・・よろしくお願いいたします」

「説明下手だな、青龍よ」

と、そこにまた男が一人。

「・・・獅子か」

「またでた!?」

「また出たとは失礼な。私は獅子。そこにあった西洋剣の体をした三本の剣のうちの一つだ。まあ、青龍たちと形が違うだけで同じだ、そうだな・・・召喚獣だと思ってくれていい」

「ああ、なるほど」

「ほらな?青龍。このように簡潔に言うのだよ。だがまあ三形態の説明はめんどくさかったからな。その手間は省けた」

「・・・・気にするな」

「ふっ、寡黙で謙虚な奴よ」

「えっとさ・・・」

「では挨拶も済んだので我らはこれで」

「・・・必要となった時、呼びたいと思った時。お呼びください」

「ああうん・・・・えっと、わかった」

「「では」」

二人はそれぞれの形に戻ってしまった。
初対面だからか、いやにあっさりした面々である。

「では武器も手に入れましたね。しかし十五天帝となると、相手も今頃は対となる剣を得ているでしょうが」

「これでまたイーブンってわけか」

「やめますか?」

「じょーだん・・・・・じゃ、行ってくるぜ」

「ちなみに向こうの世界に行ったら、あなたの世界で得た作品世界の知識は消させていただきます。おもに登場人物とか、話の流れとかですね」

「えー?知ってたほうが有利じゃない?」

「向こうの世界の人間も生きています!プライバシーの侵害、ダメ、絶対」

「納得。そりゃ確かにいけねえ」

「でも必要な情報は送ります」

「どうやって?」

「頭に」

「頭に?」

「ええ」

「わかりやすいなそれ」

「ああ、それと、向こうでの移動手段としての足はどうしますか?」

「なんとかしてくださいよ」

「・・・では必要な時に支給で」

「りょーかい。んじゃぁ・・・」


そして彼は旅立つ。
まずは最初の世界へと。


現れた光のゲート。その先は・・・・・・・・・・・・・


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光のゲートをくぐってついた先は坂道のふもとだった。
その両側に桜の木がたくさん植えてあり。

「満開になったら凄そうだな」

そう思えるほどの並木だった。

今、季節は秋ぐらいだろうか。
気づくと服装はどこかの高校ものに変わっていた。
内ポケットをまさぐると転校手続きの用紙が入っておりクラスは三年D組となっている。
学校名は・・・・

「私立光坂高校、か」

そして頭に情報が流れ込んでくる。


「CLANNADの・・・・世界か」


to be continued
 
 

 
後書き



さて、やっと来ましたよ、ほかの世界!

蒔風
「本当にな。ここっからいくつもの世界をめぐるんだよな」

でも次にはお前の能力の設定を出すつもりなんだ。

蒔風
「まあ確かに俺の能力はめんどくさいからな」

管理者さん
「あのすみません、わたしの出番はもう?」

本編では長らくなくなる!!!
だが大丈夫だ。
今までがそうだったように、こちらでも活躍してもらう!

アリス
「よっしゃ!!アリスのあとがき無双始まりですよ!!」

アリス の なまえ が きまった !!


アリス
「ついに旅立った蒔風、さてこの世界でどのようにたちまわるのでしょうか」

ではまた次回









この街の、願いの叶う場所へ・・・ 
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