戦国異伝
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第二百五十一話 周防の戦その十三
「意味がない」
「手早く倒し」
「逃げたあの者達を見付け出し攻める」
「そうしますな」
「そうせねばな、ではな」
長政はすぐにだった、信長に人をやり報をした。その報を受けてだった。
信長もだ、本陣においてこう言った。
「そうか、やはりな」
「敵はですな」
「主な者は全て逃げましたか」
「そして傀儡が残った」
「そうなりましたな」
「うむ、しかしじゃ」
それでもと言うのだった。
「逃げた場所はわかっておる」
「海ですな」
「そこに逃げましたな」
「あの者達は」
「やはりそこでの戦となるか」
こう信忠達に言うのだった。
「最後は」
「して上様」
平手が信長に問うた。
「ここはどうされますか」
「今の戦じゃな」
「はい、どうされますか」
「火じゃ」
信長がここで言ったのはこれだった。
「火を使え」
「火で、ですか」
「火で魔界衆の傀儡達を攻める」
「そうされますか」
「そうじゃ、あの者達の実体は紙や木じゃ」
そうしたものであるからだというのだ。
「燃えやすい、だからな」
「火で燃やし」
「そして一気に焼き滅ぼす」
「そうしますか」
「そうせよ、皆の者火矢を放て」
まさにだ、それをというのだ。
「多くな」
「そしてですな」
「この場の戦を」
「決めるのじゃ」
こう言ってだった、信長は軍勢に火矢を放たせた。すると信長の言った通り紙や木で出来た傀儡の者達は燃えやすく。
瞬く間に燃えていった、その燃える敵を見ながらだった。信長は言った。
「これが清めの火となる」
「魔界衆を滅ぼし天下を清める」
「その火ですな」
「うむ、そうなる」
こう平手と信行にも言ってだ、そしてだった。
彼は二人にだ、あらためて告げた。
「主な者達は全て集めよ」
織田家の家臣達だけでなく武田や上杉といった外様の者達もだ、まさに全ての者を集めさせよと告げてだ。実際に集めさせたのだった。
第二百五十一話 完
2015・11・9
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