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僕らの一年日記

作者:ザクロ
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4月22日 買い物

高校を出発してすぐの場所にあるホームセンターに、私たち二人はやってきた
「ジャイロ効果の説明のために大きなこまを作る。プラスチックの板、ゴムの棒のようなものが必要だ。それらしいものを探す」
「なんだか、才茂くん、必死だね。才茂くん、何に関してもだるそうに見えるのに、仕切り出すとすごくて・・・・代わりに部長になってもらいたかったくらいだよ」
でも、才茂くんは顎を突き出し、首をだるそうに横に振った
「いーや、俺は科学が好きなだけだ。好きな物に一生懸命になっててるだけだよ。ゲームとか、勉強とか、やればその分結果が出るから。だから、部活、人間関係に一生懸命になっているお前は、それに一生懸命になっていない俺に比べて、部長になるべきってこと。俺はお前のサポートはするつもりだ」
なんだろう、最初はあんまり好きじゃなかったけど。知れば知るほど、才茂くんっていい人かも
才茂くんと、もっともっと仲良くなれたらいいな
「それに、俺、お前の気持ちがちょっとだけわかる、中学校の頃のように、いじめられないようにするために必死になっているのは。でも、俺はもうそんなことすらめんどくさくなったから、諦めてる。お前は諦めんなよ」
それだけ言うと「あ、プラスチック見つけた」と言って、私より先に行ってしまった
「ちょ!ちょっと待ってよ!なによ!人がせっかく話を聞いてたのに!」
少し怒った。でも、私の顔は、少し笑っていた

5月8日 残り16日

ゴールデンウィークが開け、いよいよ、大詰めとなってきた
実験も成功し、いよいよ、準備を始めることになった
その頃には、放送部の手伝いを終え、由紀も再び参加していた
「実験と展示だけじゃ物足りないのよねー。それに、そろそろ文化祭PRのために放送部が撮影に来ると思うし」
由紀は指を口元に当て、斜め上を見て考えていた
「あ、そうだ、いいこと思いついた!科学者っぽく、白衣みんなで着ようよ!」
「でも、そんな白衣どこにあるんだ?」
由紀の考えの問題点を、才茂くんがつく。由紀は「あー」とつぶやいて苦笑いをした
「みんなの話、こっそり聞いてたよー!」
「うわっ!びっくりした!先生どこから!?」
いつの間にかにんじん先生が、私たちの後ろに立っていた
「この理科室、となりの理科準備室と繋がる扉の他にも、中庭とつながる勝手口もあるんだよー!実は先生、こっそり、みんなの名前入り白衣を注文してましたー!」
その声とともに、先生は、ダンボール箱を掲げる。そしてその勢いで机に置いた
ドンッ!
あーあ・・・・もっと大事に扱ってよ先生・・・・
ビリビリとガムテープを破り、先生は中から白衣を取り出した
私たちそれぞれのサイズをいつの間にか調べていて、そして胸のポケットの上に、名前が刺繍してあった
「すごい・・・・先生!」
私は先生を見上げた。思わず笑顔が出たと思う。その笑顔を見て、先生も笑った
「これで、放送部に恥ずかしくないくらい、総理研っぽくなったんじゃないか?」
「先生に、略称が総理研って言いましたっけ?」
「いや、ほかの生徒から聞いた」
少し疑問に思ったが、大したことじゃない。だんだん広まりつつあるのかな?
この総理研を広めるには、文化祭を成功させる必要がある。私は、部長になってみせる、うまくやってみせる

「先生、この総合理科研究部、略して、総理研に決まりました」
「おぉ、そうか!確かに長いもんな!」
「俺が言ったってことは、内緒にしておいてもらえませんか?」
「あぁ、いいけど、どうして?」
「俺が少しでも動いていることを、知られたくないんで」
覚元、お前は、何をやってるって言うんだ・・・・? 
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