転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1301話
異世界の国家の代表。そう口にした瞬間、最初に口を開いたのは予想外な人物……ルリだった。
「一番偉い人が何で護衛もいないでここにいるんでしょう?」
「色々と理由はあるが、一番大きいのは俺を害せる存在は殆どいないというのが大きいな。恐らくこの世界の人間に俺に危害を加える事は……少なくても、肉体的にどうこうするような真似は出来ない」
「……自信過剰?」
表情を変えずに尋ねてくるルリだったが、俺はその言葉に対して小さく肩を竦める。
「今の話だけを聞けばそう思うだろうな。理由の1つとして……」
そこで一旦言葉を止め、視線を俺の生身での実力を知っているパイロット組へと向ける。
だが、その視線を向けられた中で真っ先に口を開いたリョーコは、どこか戸惑ったように話し出す。
「いや、確かに生身のアクセルは強いぜ? それこそ、あたし達5人で挑んでも手も足も出ない。けど、それはあくまでもあたし達が生身だからだろ? それこそ銃とかがあれば……」
「普通はそう思うんだろうな。けど……そうだな。ゴート、お前銃を持ってるな? それで俺を撃ってみろ」
『なっ!?』
驚愕の声がブリッジの中に響く。
それは、ゴートが銃を携帯しているという事に対してか、それとも俺に向かって銃を撃ってみろと言った事か。……どう考えても後者か。
「ちょっと、アクセル! 貴方一体何考えてるのよ! 死ぬ気!?」
「エリナの言う通りよ。お願い、馬鹿な真似は止めて!」
エリナとハルカが即座に叫ぶ。
まぁ、普通に考えればそんな反応をしてもおかしくはない。
ゴートも懐から拳銃を取り出してはいるが、まさか銃口を俺の方へと向ける訳にはいかないと躊躇している。
ブリッジにいる他の面子も同様に俺の方へと意識を集中しているし、それはこの映像を見ているナデシコの他のクルーも同様だろう。
……そうだな、このままだと埒が明かない。ゴートには悪いが、少し驚いて貰うか。
そう判断すると、これ見よがしに腕を上げる。皆の意識がそちらに映った瞬間……パチンッと指を鳴らし、同時に俺の影から影槍が1本、真っ直ぐに……それでいながら視認出来る程度の速度でゴートの方へと伸びていく。
まさかそんものが姿を現すとは思っていなかったのか、ゴートは驚愕に目を見開き、反射的に銃口のトリガーを引く。
パンッ、といった軽い発砲音が周囲に響き渡り、誰が上げたのか悲鳴も聞こえてくる。
だが……惨劇の類は一切起きなかった。
俺が伸ばした影槍は槍の先端がゴートの1m程手前で止まっているし、ゴートの拳銃から放たれた銃弾は俺に命中する寸前に白炎を生み出して瞬時に溶かしている。
「なっ、何だこりゃぁっ!」
周囲に響き渡ったのは、ヤマダの声。
何が起きたのか全く理解出来ないといった風に叫ぶその声は、恐らくこの光景を見ている全ての者に共通した驚きだっただろう。
それを確認し、再び指を鳴らす。
その音に、また自分が攻撃されるのかと思ったのだろう。ゴートはその厳つい顔に鋭い視線を俺の方へと向けてくる。
だが指を鳴らした音が生み出した結果は、影槍が消えるというもの。
いきなり目の前にあった影槍が姿を消した様子に驚くゴートに向かって口を開く。
「悪いな、今のはちょっとしたデモンストレーションだ。もう攻撃する気はないから安心してくれ」
それにしても……予想外に魔力の消費が少ない。
いや、予想外って程でもないか。この火星には少なからず自然がある。
少なくてもネギま世界の火星よりは大分マシだろう。
こうして考えると、ナノマシンって奴の効果は凄いんだろうな。
ただ、俺自身がどうしてもナノマシンに対しては拒否反応がある。
IFSも便利だと分かってはいるが、シャドウミラーで導入するつもりはない。
それにIFSは副作用があるって話だし。
「今は白炎で銃弾を溶かしたが、俺の身体に対して物理攻撃は一切の効果を持たない」
「……アクセルは人間じゃない、のか?」
リョーコの言葉に、俺は頷きを返す。
「そうだ。正確には元々人間だったのが、とある世界で人間以上の存在になったというのが正しいな。混沌精霊。それが俺の正式な種族名だ。……まぁ、俺以外に混沌精霊なんて存在がいるとは思えないけど」
そもそも、俺が混沌精霊になった道筋が色々な意味で特殊過ぎる。
リョウメンスクナノカミを吸収し、悪魔を吸収し、エヴァから習得した闇の魔法によって白炎化を身につけて、その副作用でモンスター化して暴走し、数多の精霊を貪り食らい、あやか達のおかげで何とか暴走を止める事が出来た。
……もし混沌精霊になる条件がこれだとすれば、俺以外に混沌精霊になれる奴がいるのかどうか。
「混沌精霊?」
オウム返しに尋ねてくるリョーコに頷くが、今のこの状況で混沌精霊としての俺の姿……角が伸びたりしているのを見せる訳にはいかないので、取りあえず先程同様に右手を前に出す。
それを見たゴートが再度顔を強張らせるが、そんな様子を気にせずに右手を白炎化させ、同時に炎獣を生み出す。
白炎で出来た犬や猫、鳥といった小型の炎獣がブリッジの中を走り回る光景は、幻想的と表現してもいい。
ブリッジにいた面々はその幻想的な光景に目を奪われる。
「きゃっ! ……あれ? 熱くない? 炎なのに熱くないなんて」
ヒカルが子犬の炎獣に擦り寄られて驚きの声を上げるものの、触れても熱くないことに再度驚きの声を上げる。
そんな光景がブリッジのいたる場所で繰り広げられていた。
この光景を映像を通して見ているナデシコのクルーの中には、恐らく悔しい思いをしている者もいるだろう。可愛い物好きとか。
ハルカやエリナも炎獣に眦を緩めているのを見ながら、このままだといつまで経っても話が進まないと判断して指を鳴らす。
同時に、ブリッジの中に溢れていた全ての炎獣が白炎と化して姿を消す。
「ちょっと、アクセルさん! あの子達はどうしたんですか!?」
子猫の炎獣を可愛がっていた艦長が、責めるように俺へと告げてくる。
「艦長……今は炎獣じゃなくて俺の話だろ。炎獣は俺が人間じゃないというのの証明でしかない」
「……あ、そう言えばそうでしたね。で、えっと、何の話でしたっけ?」
「何で国の長である俺が1人で別の世界に来ているかって理由だろ。まぁ、詳しい事は秘密だが、他の世界にランダムで転移する場合はどこに転移するか分からない。今回はたまたまこの世界……取りあえずナデシコ世界とでもするが、そのナデシコ世界の日本の街中に出たが、ランダムで転移する以上は宇宙空間にそのまま出たり、それこそ火山の中に出たりする可能性も否定出来ない」
「ちょっと待って」
そう言葉を挟んできたのは、俺が説明している間は口を開かずにじっと話を聞いていたイネスだった。
俺の方へと鋭い視線を向けながら言葉を続ける。
「つまり、貴方は……えっと、アクセルだったわね。アクセルは宇宙空間や火山の中に生身でいても問題ないという事?」
「そうなるな」
あっさりと答えるが、それを聞いたイネスや他の面々は信じられないとばかりに驚愕の視線を俺の方へと向けていた。
「さっきも言った通り、俺は物理攻撃……より正確には魔力や気といったものを伴わない攻撃に関しては全くダメージを受けない。だから正直さっきのゴートの銃弾もそのまま身体で受けても良かったんだが、下手をすればブリッジに被害が出る可能性があったからな」
「……それが分かってるなら、安易に危険な真似はしないで欲しいんですけど」
ジト目を向けてくる艦長。
まぁ、確かにちょっと軽率だったか?
「ま、それは置いといてだ。俺が国のトップだってのはともかく、単独で別の世界に行っても問題ないってのは明らかになったと思うが?」
「そうですね。ですが、まだ根本的な疑問があります」
俺の言葉に対し、即座に口を開いたのは当然ながらプロスペクター。
この辺り、相変わらず腹が据わっているというか如才ないというか……何だかんだと、かなり能力を持った人材なのは明らかだよな。
シャドウミラーは、その大きさ……正確には活動範囲の広さに対して政治や交渉をする人材が薄い。
元特殊部隊だというのが影響して、どうしても実働班や技術班といったところに人材が固まっている。
そう考えるとプロスペクターは欲しい人材だ。……それとエリナも。
「そうですよ! 何の為にわざわざ別の世界に来るなんて真似をするんですか?」
そう告げる艦長。……艦長もそうだが、ナデシコのブリッジにいる面々はよくもまぁ、あっさりと俺が別世界の人間だというのを受けいられたな。
やっぱりニーズヘッグで木星蜥蜴を蹂躙したり、魔法を直接分かる形で使ったのが大きかったのか?
「そうだな、その辺も説明しておくか。俺の正体よりもそっちの方が気になってる奴もいるだろうし。……俺達シャドウミラーの国是に、未知の技術の収集というものがある。言ってなかったと思うが、俺達シャドウミラーは技術力特化の国と言ってもいい。それはミロンガ改やニーズヘッグを見て貰えば分かると思うが」
その言葉にブリッジにいるメンバーは、それぞれ頷いて異論を挟む者はいない。
あれだけしっかりとニーズヘッグの実力を見せつけられたら、当然か。
「他にもプロスペクターやエリナが興味のありそうな話だと、異世界間貿易をする為の世界を探すという目的もあるが……やっぱり最優先にしているのは、その世界独自の技術だな」
「その世界独自の技術って……この世界、ナデシコ世界っつったか? それだと何になるんだ?」
技術という言葉が出て来ただけに、ウリバタケの興味を引いたのだろう。
そんな風に尋ねてくるウリバタケに、指を下へと向ける。
「まず、このナデシコ。……ただまぁ、ニーズヘッグを見て貰えれば分かると思うが、重力関係の技術は俺達の方がかなり先を行っている。それに重力関係の技術は他の世界でも使っている場所が多いから、そこから得られたフィードバックもあるしな」
「……他には?」
「そうだな、相転移エンジンはさっきの戦いを見ていた限りでは欠点が多くて、シャドウミラーの機体が標準装備しているブラックホールエンジンの方が性能は圧倒的に上だし、ナデシコ関係で興味深い技術となると、エステバリスがそれに当たるかもな」
その言葉に、リョーコ、ヒカル、イズミ、ヤマダ、テンカワの5人が反応する。
そんな5人の反応を特に気にせず、言葉を続ける。
「正直、エステバリス単体ではシャドウミラーとしてはサンプルで得る程度の価値しかない。コレクション的な価値だな。幾らエネルギーの問題がなくても、単純に性能が低すぎる。脆いし、攻撃力も低い。ただ、外部からエネルギーを得られるというシステムは、防衛戦という目的に限って考えればかなり使える技術なのも確かだ。……まぁ、防衛戦をやって敵を撃退しても、追撃が出来ないって問題はあるが……」
エステバリスの能力で有益そうなのはそのくらいしか存在しない。
「フレームを交換するシステムは他の世界に結構あるしな。フレームとまではいかなくても、装備を変えて遠距離戦、近距離戦に対応するって具合に」
敢えて口にしないが、シャドウはIWSPを参考にして開発されてるので、宇宙、地上、空中、水中といった風に特に設定の変更もないまま全領域に対応出来る。
その上でPT用の武器を自由に使えるという事もあって、万能過ぎる量産機と言ってもいい。
……まぁ、コスト的にカスタム機並の高コストなんだから、そのくらいは当然だろうが。
「他にはエステバリス最大の特徴でもあるIFSがあるが……正直、俺自身が今までナノマシン系等の技術で色々と酷い目に遭ったりして、苦手意識があるからな。そっちは悪いがサンプル以上の意味はないだろうな」
サンプルという言葉が気に触ったのか、パイロット勢……それとビックバリアの時にナノマシンを注入したジュンも若干険しい表情を浮かべていた。
「木星蜥蜴側には結構欲しい技術があるんだけどな」
「木星蜥蜴に?」
その言葉は聞き逃せないと告げてくるプロスペクターの言葉に頷きを返す。
「ああ。例えばバッタのような無人機。俺達シャドウミラーでも無人機は主戦力と言ってもいいが、それでもバッタ程に小さくはない。エステバリスよりも大きいしな。他にもその無人機を運ぶという意味でチューリップに興味があったんだが……」
視線をイネスの方へと向ける。
戦闘前のイネスの言葉を聞く限り、チューリップは輸送艦とか輸送ポッドとかいう扱いじゃなくて、転移システムの出口先みたいな扱いらしいしな。
その転移がナデシコ世界以外でも使えるのならいいんだが、その辺は要検証といったところか。
そういう意味では、寧ろカトンボや大型戦艦辺りのローコストで作れる戦艦の方が使い勝手はいいかもしれない。
無人機だって事は人が必要って訳でもないだろうし。
そんな風に考えながら、俺は改めてブリッジを一瞥する。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1188
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