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ドラゴンクエストビルダーズ:アレフガルドを復活させられてます(新リュカ伝)

作者:あちゃ
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第1章:メルキド編
  10:日記とは人々の生活を後世に伝える歴史書だ。

(メルキド城塞跡地周辺)
リュカSIDE

「や、やぁ……僕はリュカ。お友達にならないかい?」
「グワァー!!」
二度目の友好的交渉も不発に終わり、済し崩し的に戦闘モードに突入する。

前回は今回以上に予期してなかった為、武器を失うというミスで窮地に追い込まれたが、今回は状況が違うのだよ!
武器(銅の剣)のストックは豊富にあり、仮に銅の剣が消失しても大木槌が俺にはある。

だから余裕で戦える……はずなんだけど、やっぱりドラゴンは堅い!
十数本ストックしてあった銅の剣を半分消費した所で、この戦い方が迂遠である事に気が付く。
1匹目の倒し方を、この2匹目でも実行すれば良いのだ。

ドラゴンが怒りにまかせ炎を吐きかけた時に、素早く近付いてアッパーカット!
自らの炎で体内を焼かれ崩れ落ちるドラゴン。
そしてドラゴンが消え去った跡には……暖炉?

1匹目はソファーで、2匹目は暖炉を所持してた。
家具屋の兄弟ドラゴンだったのかな?
まぁいいや。余裕が出来たらソファーと暖炉を使ってステキな部屋を造るぞ!



今後の部屋造りを考えている内に夜が明けてきた。
星一つ見えない漆黒の空が、薄曇りのぼやけた光を広げていく。
暗い空はうんざりだ。だから不本意でもヒゲ(ロロンド)の依頼を実行しなければならない。

そんな思いが通じたのか、目的のメルキド城塞の廃屋を発見する。
色々な素材が手に入るという面でも期待出来そうな廃屋なので、ちょっとワクワクしながら崩れかけの建物へと近づいて行く。

すると、建物の手前に石垣を並べ、その上で『ああ無念だ。非常に無念だ。無念で無念で仕方が無い』と呟いてる兵士風の男を発見。
殺気はないが、生きてる感じもしないので、多分この世に未練を残した幽霊と断定。

下手に関わると成仏の手伝いをさせられそうだから無視する事に決定。
だから目が一瞬だけ合ったけど、無念男をスルーしようと石垣の横を通過。
“城(城塞)に居着いた悪いお化けを退治してこい”なんて言われたくないからね。幼馴染みの美少女が一緒に居ないのに、そんなことする意味が解らないからね!

『君は私の姿が見えるのかい?』
「いえ、見えません。だから話しかけないで下さい」
昔の嫁の事を考えてたら、思わず返事をしてしまった。

『応えてるじゃないか! 見えてるって事だろ。困ってる人が目の前に居るのに、無視をするなんて酷いぞ!』
「“困ってる人”ならば助けようともしますけど、困ってる幽霊の人は無視するに限るんだよね。解る? 面倒なんだよ、お前等みたいなヤツの頼み事は」

『そう言うなよ……私はメルキドの兵士をしていたのだが、敵を撃退する“石の守り”を考え付いたのに、誰かに素晴らしさを伝える事無く死んでしまったのだ。君、私から石の守りの素晴らしさを習いなさい』

意味解らん。“素晴らしさを習え”って何だ?
でもヒゲ(ロロンド)が言ってた石の守りと同じ物の事だろうなぁ……
仕様がない、面倒だけどコイツに付き合ってやろう。

『おお、石の守りの素晴らしさを知りたくなったか!』
俺が渋々幽霊の隣に移動すると、嬉しそうに話しかけてきた。
めんどくせー……早く終わんねーかな。

『では先ず、長い年月野晒しにしてた為、少し壊れてしまった箇所を修復して欲しい』
「え、僕が!?」
素晴らしさを習うだけなのに、一方的に修復作業を押し付けられる。

『そこに落ちてる“トゲ罠”と“石垣”を使って、壊れた箇所を修復しなさい』
何で上から目線で指示出してるんだ?
しかも指示が大雑把だよね。多分、地面にトゲ罠で壁に石垣だよね。

『おお、そうだ。修復が完了したら、近くの敵を導いてこい。だが石の守りの性能を見せるのが目的だから、倒すんじゃないぞ』
幽霊じゃなかったら殴ってるね。

近くに居たのは3匹のブラウニー。
小石を投げつけ気付かせると、俺は少しずつ石の守りの場所まで後退。
そして敵の攻撃範囲に入りそうになったら、素早く石垣に登って事態を傍観。

すると足下のトゲ罠でブラウニー達はダメージを負って行く。
俺の足下の石垣を壊して落としたいけど、石垣は堅くて壊せない。
そうこうしてる間にブラウニーは力尽きた。

『如何だ見たか!? やっぱり私の考えた石の守りは素晴らしい!』
「一方的すぎて趣味じゃない。でも必要だから造り方を教えろ」
勝手に喜んでる幽霊を冷たい目で見据え造り方を教える様に迫る。

『造り方も何も、石垣とトゲ罠を配置すれば良いだけだ』
「だから、石垣とトゲ罠の造り方を教えろよ! 修復してやっただろ。これで無念は晴らされたんだろ!?」

『うむ、無念は晴れたので私は成仏しよう。因みに石垣とトゲ罠の造り方は、城塞に居るロロニア様から聞いてくれ』
一方的に言うと、勝手に消えて行く兵士幽霊。

ロロニアに聞けって言ったけど、それも幽霊なのかな?
まぁそうだろうな。って事は、そいつの無念も晴らさなきゃダメなのか?
めんどくせーなぁ……ヒゲ(ロロンド)の指示に従うと面倒臭い事が沢山起きる。

ん? ロロニアって先刻(さっき)の幽霊は言ったよな。
そう言えばヒゲ(ロロンド)の先祖もロロニアって言ってたよな。
そのロロニアが書き残したメルキド録を大事に抱えてるし……

あの汚ー字を書いた奴が目の前の城に居るのか!
これは文句の一つでも言わんと収まりがつかん。
俺は意気込みも新たに、ボロボロの城塞へと突入する。



(メルキド城塞跡地)

しかし変な城塞だ。
いや城塞自体が変なのではなく、その壊れ方が変なのだ。
と言うのも、内側からの攻撃によって崩れてる所が多い。

旧メルキドを捨てて、竜王軍からの攻撃に対抗する為に城塞を築いたのなら、攻撃は外側からで壊れ方も内側へと崩れるはず。
だけどこの城塞は逆だ。

そんな事を考え観察しながら内部に入ると、玉座を配置するっぽい壇上に一人の男が立っていた。
あまり似ては居ないが、アイツがヒゲ(ロロンド)の先祖のロロニアだろう。
高い所から偉そうに俺を見下ろしてる。

『良くきたな若きビルダーよ。私はこの城塞を納めていたロロニア。先程、外の兵士との遣り取りを見て居ったぞ。石の守りの製法を教えてやるから、屋上にまで来るのだ』
うん。言いたい事だけ言って勝手に消えた。

俺も言いたい事がいっぱいあるんだけど、上から目線で“教えてやるから上に来い”って言われたから、反発したくなる。
そんなわけで取り敢えず城内を散策し、使えそうな物を持ち帰ろう。

で一番最初に目に入ったのは、ロロニアが立ってた場所の壁にに有る燭台。
近付くと“壁掛け燭台”と頭に浮かぶ。
この壁掛け燭台は、城内のいたる場所に有るので、全部回収する。

次に見つけたのは位の高い奴の寝室らしき場所。
そこには大きなベッドとドレッサーが……“キングベッド”と“ドレッサー”を入手。
このベッドなら存分に楽しめそうだ。

さてさて、続いて見つけたのは城内の柱に掛けられた大小のタペストリー。
今のメルキドには不要かなと思ったのだけど、フカフカの絨毯を持ち帰る事にしたので、合わせてタペストリーも持ち帰ります。

更に入手したのは、木の扉・牢屋の扉・大きな壁飾り・クッション椅子……等々、盛り沢山。
宝の山でホクホク気分を味わっていると、見つけなければ良かったと思う物を発見する。
それは1冊の本だった。

その本は日記帳で、この城で兵士をしていた者が書き残したと思われる日記だ。
小難しい言い回しは避けるが、日記の中にはこう書かれている。

“守りの堅い城塞を築いたが、守りが堅すぎて外に出れない日々が続いた。”
“そして外に出られない所為で困った問題も発生。”
“食料の備蓄が残り僅かになってきたのだ。”
(いず)れ我々は餓死するだろう。”

そんな事が書かれた日記だ。
それだけなら未だ良かった。
だが日記の中に、こんな手紙が挟まっていた。

“最近ボクの友達がお城の中で居なくなってる。大人は『勝手に外に出てモンスターに攫われた』って言ってるけど、居なくなる前の日には、必ずある部屋に呼び出されてるんだ。今夜はお父さんが夜の警備で居ないので、ボクもあの部屋に呼び出された。何があるんだろうか……?”

と、子供の幼い字で書いた手紙の切れ端が挟まっていた。
これの意味する所は口減らしだろう。
抵抗出来ない子供が狙われたのは、利己的な考えしか出来ないクズが上に居たからだ。
そして日記は数ページが無くなり、最後のページには……

“竜王軍との戦いの為に作り出して置いた数々の武器は、同胞を殺す為に使用する事となる。だが俺に後悔はない。俺の息子を殺した奴等が悪いのだから……”
物の無いこの世界で、紙はとても貴重な存在だ。

それでも俺は、この日記を投げ捨ててしまう。
愚かな人間の愚かな記録である日記帳を……

リュカSIDE END



 
 

 
後書き
ドラクエのストーリーって、たまに暗いバックボーンがあるよね。
頭の中にお花が咲いてる私には、書くのが難しいときがあるよ。 
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