異世界にて、地球兵器で戦えり
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プロローグ~今までの流れ
俺は前田健太郎。三十半となる自称普通のサラリーマンだ。そんな俺が、どんなジョークだと言いたくもなるような不相応な地位である王とも言うべき立場にいる。
王って何言っての(笑)と思うかも知れないが、これについて説明しなければいけない。俺は10年ほど前に突然と異世界に転移してしまった。しかもネット小説にあるようなご都合主義ともいうべき特典もついてきたのだ。それは転移前に俺がハマっていた現代の戦争をモチーフにした戦略型シミュレーションゲーム『エンペラーウォーズ』で築き上げたレベル上げしていた国家と一緒に転移というオマケ付き。
しかも俺の地位が全軍の統括者でもあるため元帥で、そして国の最高指導者も兼任する羽目になった。俺は知らないうちにとんでもない地位のある人間になってしまった事に気が動転しそうになった。実際に俺は何処にでもいる中小企業で働く一般的な下っ端サラリーマンだったんだよ。そんな人の上にたつ度胸もないもやし精神の俺が、いきなり国を率いて指示を出してくださいと言っても出来る訳ねえだろう!!と思ったよ。でも、俺が育て上げた兵士達は上から下まであり得ない程の忠誠心あふれる高潔な人物たちばっかだったよ。
最初は、ぼろが出ないようにビクビクしてたけど、ここでぼろが出ると彼らに失望されて訳の分からない世界に来て野垂れ死には勘弁と思い、何とか理想の上司を目指して国を率いりましたよ。
国の名は『アカツキ帝国』という名であった。人種は俺の故郷とも言うべき日本と同じであり、名前も名字も完全に日本式であった。兵器にかんしては日本の自衛隊が装備していないあり得ない程の最新兵器の塊で構成されていた。国の面積は日本列島の一・五倍増しの広さで、兵士以外にも普通に生活する一般市民もいるし、工業施設もちゃんと機能していた。あと、日本ではありえない程に石油が豊富に存在しており、他国との交流がなくとも普通に生活できるレベルほど、アカツキ帝国は充実していた。
まあ、それでもいきなり異世界に転移した事もあるので、俺達は異世界の国家と接触しようと大陸に上陸して現地人に情報を提供してもらい、俺は驚きが隠せない程に驚いた。転移した異世界は大陸の征服を目指す帝国国家が多かったのである。そのため初めに接触したイソルデ王国という国の大使がいきなり俺達を野蛮人扱いして、属国に慣れて通達してきたのだ。そんな要求は飲めないと突っ張ったらすぐさまに宣戦布告されて戦争状態に突入した。
戦争は、はっきりといって戦いと呼べるものではなかった。敵の戦力は古代ローマの様に戦列を組んだ歩兵という点であったからだ。火器など持っておらず、ファンタジー世界の定番というべきゴブリンやオークを引き連れて、空軍戦力は飛龍であったが、これがはっきりといって脆弱であった。まず第一次世界大戦のような戦闘機のような速度しかなく、攻撃も搭乗している騎士のランスと弓の攻撃しかないというお粗末ぶりだ。
そんな中で現代兵器で武装されている俺達が戦えば、まあ結果はわかった通りに相手の抵抗も許さず虐殺劇で終わった。
敵の航空戦力は、戦闘ヘリであるうAH-64Dでも簡単に撃墜可能であった。敵の航空戦力はF-35A F-22、AH-64Dで壊滅させた。そして地上部隊もAH-64Dを筆頭としたヘリ部隊とM1A1エイブラムスを中核とした戦車部隊で壊滅させた。ここで圧倒的戦力差があるので敵に降伏を呼びかけたが、相手は応じず徹底抗戦を叫んだので、仕方なく敵の首都をA-10等の攻撃機部隊に爆撃させて、安全圏にいると信じ込んでいる敵の権力者共に、抵抗は不可であると心身ともに分からせる事に成功させて、イソルデ王国を降伏させる事に成功した。こうしてイソルデ王国を降伏させた事により、イソルデ王国を傘下に加えた俺達だったが、ここである問題が生じた。
イソルデ王国は、大陸の中でも列強国の一つであった。植民地にしている中小国も多く、その支配地域は広大であった。新たに得た守るべき領土を守るには、兵器の数を増やさないといけないが、現代兵器はハイテク機器の塊で、生産するにも時間がかかった。しかも、敵は対戦車兵器どころか小火器も持たない国しかなく、船にかんしても木造で出来た戦列船がせいぜいであった。そのためイージス艦に搭載されている127mm砲一門で簡単に撃滅できるうえに、対艦ミサイルを使う意味があまりなかった。産業革命が起きてもいない異世界で衛星などあるはずもないので、衛星からのデータリンクも使えないので、最新兵器を作っても性能を十分に発揮できない事も特徴だった。
これに関しては、新たな衛星を飛ばして、衛星軌道からデータリンク出来る程の数の衛星を飛ばす計画があるので、時間が立てば問題なく機能するが、それよりも、あの当時は大陸覇権を握るために、戦争を続けている国家が多かったので、誰でも扱える安価な兵器を求められており、俺は新たな兵器を作る事を決定した。その内容は以下のようなものだ。
俺がいた地球世界では旧式となった兵器を作製するように命じた。先ずは陸軍に第二次大戦時の戦車。海軍はミサイル兵装をしない戦艦や巡洋艦の復活。空軍は、レシプロ機やターボプロップ機の戦闘機と攻撃機の作製を依頼して、数を揃えるようにした。俺がいた地球世界では、役にも立たない兵器であったが、異世界ではすごく通用した。火器も持っていない国が相手であったので、どんな理由で自身があったのかは知らないが、次々と戦争を仕掛けては撃退して敵国に対して逆侵攻を実行に移して敵の首都を壊滅するという繰り返しの末に、アカツキ帝国は、その大陸の覇者となって君臨する事になった。
大陸の国家群も近代兵器で構成されている俺達に歯向かっても勝てない事を悟り、矛先を収めた。先ず、俺がやった事は各地で人間に弾圧されていた亜人というファンタジー世界では定番な種族を保護して優遇した事だ。これが原因で人間至上主義の国家と対立して、戦争になったのも原因であったが、これのお蔭で亜人国家と連携して人間至上主義の列強の情報を素早く入手できて、追撃に成功も出来たし、弾圧されている亜人達とも協力できて制圧もスムーズに行えたから良しとしたけどな。
今は、大陸の覇権を掛けて疲弊した国家も復興の真っ最中であり、長い戦乱からようやく平和が訪れていた。また、戦争が始まるとは思いもしなかった。
「平和になって四年。また戦争がはじまりそうだ」
もはや、十年という歳月で未だに慣れないと思う重たい高級将校の征服に身に纏いながら政務を続ける俺は、ある報告書を見てため息を吐く。
『新たな大陸を発見せり。その大陸の大国は、人間至上主義の国なり』
この報告書を読んでやっと得た平穏な日々がまた崩された思い、俺はまた、ため息を吐くのだった。
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