戦国異伝
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第二百五十話 信長の先陣その四
「それは確かじゃが」
「それでもか」
「その場所を弁えず正しいと思えば何でも言うことがじゃ」
「よくないのじゃな」
「だから誤解されてじゃ」
そしてというのだ。
「平壊者となっておるのじゃ」
「だからか」
「うむ、時と場所を考えてな」
言う際にというのだ。
「言葉も選べ、さすればじゃ」
「よいのじゃな」
「誰にとってもな」
「わかった、ではな」
「そうするな」
「そうする、わしはな」
「そうしてくれれば何よりじゃ」
大谷にしてもというのだ。
「頼むぞ」
「わかった、ではな」
石田も頷いてだ、そのうえで。
二人も信忠と共に進むのだった、これからのことを考えつつ。
その石田と大谷を見てだ、加藤清正が言った。
「近頃佐吉もな」
「うむ、ましになってきたな」
福島が加藤に応えた。
「その口がな」
「これまではじゃ」
加藤嘉明も言う。
「あ奴の口はな」
「随分悪かったわ」
黒田長政は顔を顰めさせていた。
「それが常に癪に触ったわ」
「正論でもな」
細川忠興が続いた。
「あの言い様ではな」
「そうじゃ、腹が立つ」
池田輝政の言葉だ。
「何かとな」
「そこがな」
最後に言ったのは蜂須賀家政だった。
「随分とましになった」
「幾らあ奴に悪気がなくとも」
加藤がまた言った。
「いきなりずけずけ言われたら腹が立つわ」
「その通りじゃ、しかしな」
「それがましになれば」
「我等とて怒らぬわ」
「あ奴に二心がないのは承知」
「底意地の悪さもない」
「だからな」
他の六人も加藤に続く、とにかくだ。
石田のそうしたところがましになりだ、今の大谷の話を聞いて言うのだった。
「ならばな」
「もうあ奴野言葉に腹を立てることもない」
「あ奴とはいよくやっていこう」
「いがみ合うことなくな」
こう話すのだった、彼等の間で。
そしてだ、加藤はその十字槍を見てだ、六人にこうも言った。
「ではな」
「うむ、戦になればな」
「兵達を率いてな」
「思う存分戦う」
「我等もな」
「そして今度こそじゃ」
「魔界衆を滅ぼそうぞ」
こう話すのだった、戦のことも。
本陣のその状況を見てだ、明智は確かな顔になって斎藤と秀満に言った。
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