マネージャーは大変
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5部分:第五章
第五章
「まあ皆驚かなかったけれどね」
「誰が聴いても、でしたからね」
「他にもスクールサマーとかね」
「ああ、あれも」
後輩もそのタイトルのアニメについては知っていた。
「かなりはっきりとわかりますよね」
「そうなのよね。とにかく面白い位にすぐにわかるから」
「ええ、確かに」
「そういうのってすぐにわかるけれどあくまで違うのよ」
「名前が違いますから」
「世の中それで通せるのよ」
強引ではあるが。それでもというのだ。
「わかったわね」
「はい、よくわかりました」
「さて、そっちの仕事のこともあるし」
それもあるというのだ。彼女の仕事は次から次に出て来ていた。そっちの仕事をしているうちにもう九時だった。それで家を後にして子供達の世話等をするのだった。
次の日も早かった。事務所でまたデスクワークをしていた。受け持ちの四人の声優のこれからの仕事の調整をしていたのである。
「ええと、何これ」
「どうしたんですか?」
事務所に来ていた高田祐美に言われた。黒く長い髪をカールにしていてはっきりとした大きい目をしていて口も大きい顔は細長くすらりとした身体をしている。足は半ズボンでそこに黒いストッキングというかなり派手な格好をしている。その彼女が声をかけてきたのだ。
「房江さん、今日も早いですね」
「あっ、祐美ちゃん」
房江は祐美に気付いて彼女に顔を向けた。
「おはよう」
「はい、おはようございます」
挨拶もした。そのうえでまた話をするのだった。
「もうお仕事ですか」
「そうよ。祐美ちゃんのことをね」
「私のことですか」
「今度ゲームのお仕事入ったじゃない」
このことを話すのだった。
「そのことでね」
「それのアフレコのスケジュール決まったんですか?」
「決まったわよ」
それが決まったというのだ。
「十八日ね。その日によ」
「アフレコですか」
「それでいいわよね」
あらためて彼女に問う。
「祐美ちゃんその日は空いてたわよね」
「はい、それは」
「だからどうかしら」
再度彼女に問う。
「それで」
「はい、じゃあその日で」
祐美の方もそれで異存はなかった。にこりと笑って頷く。
「御願いします」
「場所は渋谷のスタジオで時間は六時から」
その時間からだというのだ。
「それで御願いね」
「わかりました。それじゃあ今日は」
「アフレコあったわよね」
「それ行って来ます」
にこりと笑って頭を下げてだった。祐美はそのうえで事務所を後にする。房江は彼女を見送ると今度は有子の仕事に取り掛かるのだった。
それが一段落したのは十二時だった。時間が終わると。
「よしっ」
「何処か行くんですか?」
「お昼よ」
それだというのである。
「今から行って来るわ」
「あっ、そうですね」
後輩も言われてこのことに気付いた。
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