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ボカロ☆ロマンス

作者:nsk118mk
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第14話 開幕正月旅行‼️ 京都編1

 
前書き
全ての道は京都へと通ずる‼️そんな京都大好きな関東人が作る話 

 
ー大輝視点ー

1月2日…天候、雪

大輝「旅行するには最悪の天気だな」
ミク「本当ですね…新幹線も運休してますし」
大輝「まぁ新幹線の方はあと少しで徐行運転だが運行開始するらしいし、待つか」
伽耶「みんなマイナスな話ばっかりしてるけどさ、雪の積もった京都って想像してごらんよ…きっと綺麗だよ⁉️」
ミク「…う〜ん。私、京都に行ったことないからわからないです。」
伽耶「そりゃそうか」

駅のホームで体をガタガタ震えさせながら、新幹線の運行開始を待つ哀れな俺は、その陳腐な想像力で雪の積もった京都を想像してみた…確かに雅な風景だ。そう考えると降雪というのも案外悪くないのかもしれないな。伽耶は下着がギリギリなだけあって(?)考え方は基本的にポジティブな奴だから、こういう、一見マイナスな事態でさえプラスに変えることができる。俺にはそんなこと絶対に無理だからかなり羨ましい能力だと言えるな。

リン「大輝さ〜ん立ち食い蕎麦食べてきていい?」
大輝「立ち食い蕎麦⁉️」
リン「そう。だって立ってお蕎麦を食べるなんて初めてだし、面白そうじゃん‼️」
大輝「なんだそれ」ズルっ
大輝「今は朝飯時で混んでるし、京都に着いたら美味い蕎麦をいくらでも食べさせてあげるから今は我慢してくれ」
リン「…ハーイ」

リンちゃんはお腹でも空いたんだろうか。立ち食い蕎麦を食べたくて食べる人ってあんまりいない気がするのだけれど…まぁ美味いのは事実だし、なにせ降雪するレベルまでに冷え込んでいるのだから確かにあったかい蕎麦を食べたくなるのもわかる。というか、なんだか俺も腹が減ってきた。やっぱりリンちゃんと一緒に食べに行こうか…そんな俺の煩悩を掻き消すように、駅のアナウンスが俺の耳に響いた。

「間もなく…7時12分発のぞみ268号広島行き発車となります。1時間ほど遅れての発車となります。電車遅れてしまい誠に申し訳ございませんでした」

相当テンパってるのか、はたまた若いのか、聞き取れるのがやっとの勢いでアナウンスをした駅員は噛みまくっていた。そんな駅員の様子を見て俺は少し吹き出してしまう。俺以外の面子はと言うとそんなことお構いなしに、トークに華を咲かせていた。

大輝「ほら、みんないよいよ出発だ。荷物をまとめて、忘れ物はない?」
リン「立ち食い蕎麦屋の食券‼️」
大輝「買ってねぇよ‼️」
伽耶「悩みや不安‼️」
大輝「置いてけ‼️」
ミク「ネギ‼️」
大輝「持ってけるわけねぇだろ‼️車内に匂いが充満して、いい迷惑になるわ‼️」

なんだろう…みんな今日は5時起きだったはずなのに無駄にテンションが高い。深夜テンションならず早朝テンションなんだろうか…ってか今日1日もつのだろうか…
こう考えるとレンはさっきから静かで常に落ち着いていてなんだか安心するなぁ…そう思ってレンのいる方向を若干キメ顔気味で振り向いた。しかし、レンは俺の体を張ったボケをスルーするかのように渋い顔を貫いていた。
こいつ…落ち着いているというよりかやはり昨日のことを引っ張ってしまっているというのが大きいのだろう(12,13話参照)
こいつはこいつでこれからの旅行を楽しめるのか心配になってきた。

大輝「はぁ…これから楽しい旅行だってのになんだか荷が重いなぁ…」
ミク「マスター‼️溜息なんてついてたら置いてきますよー‼️」
大輝「わかってるよ」

発車ベルが鳴り響く中、俺はやっとの思いで車両に乗り込む。俺が乗り込んだと同時に車両のドアが閉まった。多くの旅行客にギュウギュウにされた新幹線は一路、京都に向かう。








ーミク視点ー

…燃え上がるビルの中に私はいた。それがなんのビルなのかもわからない。私がなんで『縄でぐるぐる巻き』にされて動けないようにされているのかさえもわからない。わかるのは私の意識が消えていく中で、マスターが私のことを必死に呼んでいることだけ。涙を流し、吐血し、顔もよく見えない謎の男に金属バットで殴られながら呼んでいることだけ。マスター…お願いだからそんな風に呼ばないで…私は決めたんです。貴方にとってボーカロイドアンドロイドという道具であり続けることを…


1月1日…天候、晴れ(ショッピングセンター)

リン「いやぁ〜ミク姉。今日はすっごく冷えるね…」
伽耶「ボーカロイドも寒さを感じるの?」
リン「人間になるべく近づけるように設計されてるからね。もちろん、感じるよ」
伽耶「ふぅ〜ん。あれ、ミクちゃんは?」
リン「あれ?本当だ…んもうしょうがないな」
伽耶「元旦のショッピングセンターなんて人で溢れかえるってのに…世間知らずもいいところだわ」
リン「とりあえず探してみる?」
伽耶「そうしよっか」

2人がこんな話を恐らくしていただろうと予測される頃、私はショッピングセンターで偶然会った琴葉さんと話こんでいました。

琴葉「アレ?ミクちゃんじゃない‼️」
ミク「琴葉さん⁉️」
琴葉「ミクちゃんも福袋買いに来たの?」
ミク「まぁそんな感じです。琴葉さんは?」
琴葉「同じく」
ミク「ちなみに何の福袋狙いですか?」
琴葉「んーとね…って、それは流石にミクちゃん相手でも秘密だよー」
ミク「…ケチですね」
琴葉「そんな冷たい目で見ないで…」
ミク「ふふふふ…」
琴葉「はははは…」

私と琴葉さんは暫く謎の笑いに包まれました。その笑いもひと段落ついた頃、私はこれくらいが頃合いかと思って、話を切り上げ、ちょっと置いてけぼりみたいになってたリンちゃん達に追いつこうと歩き始めることにしました。我ながら中々素早い判断…ニヤッ
…それでも結果、はぐれてしまったのには理由がある訳ですが。

ミク「…それでは私はこの辺で」
琴葉「んー。バイバーイ‼️」
ミク「さようなら〜」

私はこの時、自画自賛したくなるほど素晴らしい笑顔をしていました。あの一言を聞く前までですが。

琴葉「んーいい笑顔。流石ボーカロイドアンドロイドだねー」

…そのひと言を言った次の瞬間から琴葉さんは、急に人混みの中へと消えていってしまいました。私の心中をそのひと言が妙にえぐる気がしたのは気のせいではないと思います。別に琴葉さんが悪いとかじゃなくて…っていうか、寧ろ当たり前のことだったんですが何でしょうか…マスターが私のことを余りに人間らしく扱うから少し忘れていたのかもしれません。私がボーカロイドアンドロイドという道具であることを。
今の私の心情は経験したことがないレベルでグチャグチャです。それでも私は今日もきっと、周りに笑顔を振りまき続けるのでしょう。私が今日もボーカロイドアンドロイドという道具である限り。


ー続く

 
 

 
後書き
だいぶ更新が遅くなりましたが、次の話も全力で考えております。なのでボチボチ待ってもらえれば光栄です。 
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