ソードアートオンライン~戦場で舞う道化師~
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アインクラッド編
第六話エクストラスキル…
前書き
オリヒロが出てくるかもしれません…
それでは どうぞ
次の日
キリト、サイガ、アスナ、ネズハ、アルゴ、の五人は森を歩いていた。目的はエクストラスキル《体術》を習得するためである
アスナとアルゴは女子トークで盛り上がっているが、かたや野郎どもは沈黙。
この危機を感じたのはネズハ。
(ち…沈黙が気まずい…!何か話題…何か話題を…)
目に入ったのはアスナである。
「サイガさん…キリトさんとどちらがアスナさんの彼氏なんですか?」
「キリトさんです」
サイガは瞬時に、これはメガトン級の爆弾だ、使わない手はない!、体が反応し答えた。
「キリトさん」
「何だ?」
「アスナさんとはいつからお付き合いしているんですか?」
「付き合ってませんッ!!!!」
アスナは顔を真っ赤にして否定した。
「クスクス…キリト全力否定されてるぞ」
「えッ?す、すみません…!SAOでは数少ない女性プレイヤーの話題が鉄板でして…」
「ちょっと待て!もしかして…そういう噂が立ってるのか?」
イヤイヤと、ネズハ
「噂どころか常識ですよ。キリトさんとサイガさん、アスナさんはいっつも一緒じゃないですか!それにサイガさんに聞いたら
キリトさんだって即答したので…」
「ちょっと!サイガ君、いい加減なこと言わないで!」
「御愛嬌って事で…」
「他にも、同じ宿屋に出入りする姿だって大勢のプレイヤーに見られてますよ!」
「キリト、お前もついに攻めに転じたな」
サイガは嬉しそうに頷いた。
「いや、違うから!それに、たまたま、一時的に、仕方なく組んでいるだけであって………」
「あらそう」
真顔のアスナは静かに答え、キリト精神攻撃を仕掛ける。
「うぐっ」
ここで躊躇無くネズハが追撃。
「他にもこれは“ある情報通”の証言らしいのですが……ある夜そのプレイヤーがキリトさんの宿を訪ねると、浴室から
一糸纏わぬアスナさんが現れたとか!」
「アスナもか……」
「ち、違うからね!…って、その情報通は……」
キリトとアスナに詰め寄られ、
「ニャ…ニャハハー」
アルゴは観念したようだ。
「そして、そこで目撃されたスリーサイズや下着の色が物凄い高値で取引されているという話も…」
まさかの三連撃にアスナは最大限に顔を赤くし涙目でアルゴを睨んでいた。
「ハハ…ハ、反省してまス。だ、大丈夫!実際に売ったことはないヨ。ただ…」
「ただ?」
「アーちゃんって今、巷で大人気の有名人じゃン?」
「確かに!その美しさは壊滅寸前のボス攻略隊に死の恐怖すら忘れさせたと聞いています!さながら女神のようであったと!」
「有り難やー有り難やー」
「手を合わせないで、サイガ君!」
「へ、へえ…」
「へえじゃないぞキー坊、そんな娘を独占しようとしているんダ。自覚はあるのカ」
さりげなく怒りの矛先を人に移すアルゴ
「今の被告はお前だ誤魔化すな」
キリトには通じなかった。
「そういやアルゴも噂になってるぞ」
「へ?」
「キリトが前線から戻ってくるたびにあってるだろ?はたから見ればわからなくもない」
「ゲッ」
「そうですよアルゴさんも隠れファンは多いんです。情報屋という渋い役柄とのギャップ、でしょうか。
髭のペイントも謎めいててグー、らしいですよ」
ネズハ、ダメ押しの一撃
「そうだ!キリトさんなら髭の理由もご存知なのでは?」
「…」
「そうなんだ」
「こら、ネズハ。二人の女の子の間で困っているとしたら一つしかないだろ」
「あ、す…すいません!僕そういうのに気が回らなくて!」
「二股でもない!!!」
「大丈夫だキリト、俺はわかっている」
「わかってないッ!!!!」
「なんだ釣れないなキー坊、髭とって見せてあげたじゃないカ」
「詳しく」
「嘘つけ!結局止めといたろ!!」
軽く修羅場になりかけた時、サイガはピンク色の霞が道の脇から出てきたのに気づいた。
「なんだこりゃ、森の奥から来てるのか?」
「どうした?モンスターでもいたか?」
「いや、これ何かなって」
サイガはピンク色の霞を指差したが、キリトたちは空を指しているようにしか見えない。
「サイ坊おかしくなっちまったカ?」
「サイガ君、一回宿に戻ったほうがいいんじゃない?」
「…何かある気がする」
そう言ってサイガは森をかき分け見えなくなったしまった。
「追いかけるか?」
「何とかなると思うゾ?」
「行った方がいいわよ!」
「そうですよ、複数のモンスターにエンカウントしたらマズイですよ!」
アスナとネズハは二人の余裕が理解できていなかった。
「そっカ、アーちゃんたちサイ坊の無双ゲー見たことないもんナ」
「ありゃ爽快だったな」
「?とにかく行きましょう」
サイガはさっきと同じような道に出た。
「霞は右からか……って、エンカウントしてる奴がいるんだが」
体力ゲージが危険域に落ち、トレンブリング・オックス三体に囲まれているプレイヤーがいた。装備はフード付きマント。
フードを被っている為わからないが、武器はアスナと同じレイピア。きっと防具もそれなりの物だろう。問題ないようだが、
きっと何体にもエンカウントしてしまった為に隙を突かれてしまった、というところ。何とか粘っているが囲まれているため、かなり厳しい状況だ。サイガは無駄のない動作で近づくと
「おい、しゃがめ」
「ッ!」
フードのプレイヤーは人がいることに驚いている様だが、言った通りすぐにしゃがんだ。それを確認すると、サイガは一体目の頭に剣を突き刺し、そのまま両手剣ソードスキル《サイクロン》を放った。
一体目と二体目はスタン状態になったが、残った三体目が背後から突進をして来た。直接食らえばかなりの痛手だ。
スキル後硬直が解けると、サイガは両手剣カウンターソードスキル《ホロウ・シルエット》を発動させた。進路を変えることの出来ないトレンブリング・オックス見事にカウンターを食らいスタン状態に、追撃を避けきれず爆散した。
「おーい、ポーションいるか?」
「…自分のがあります」
「そうか、残りはやっちゃっていいな?」
フードプレイヤーは無言で頷いた。スタン状態が解けた二体はすぐさま突っ込んで来た。一体目は体力があるか無いかの
ギリギリなので、ポケットには入っていたネズハの投げナイフを投げて処理し、二体目は剣の腹で流した後脇腹を刺して
ポリゴン片に変えた。
「大丈夫そうだな、なんでこんな所にいたんだ?」
「…この先に用があるんです…」
「ふーん聞いてもいいか?」
「…」
サイガを警戒している為か、無言のままだ。
「《体術》か…」
「何で分かったんですか!?」
「カマをかけただけだよ」
「………」
ひっかかったフードのプレイヤーは屈辱のオーラを醸し出している。
「悪かったよ、実は俺もそこに用が有ってな。よかったら一緒に行かないか?」
「…信用出来ません」
やっぱりそうか、とサイガ。
「女の子なら二人いる。」
「分かりました、行きます」
「…即答か、俺の信用無さすぎだろ」
「同性がいた方が安心します」
「そうかい、後いつまでしゃがんでんだ?ほら」
サイガは手を差し出し起こそうとするが、フードのプレイヤーは立とうとしない。
「?どうした?」
「………」
「腰が抜けたのか?」
「………」
無言で俯向く。
「はあ、…背中に乗って」
「……初対面ですよ?」
「俺の索敵ではこの周りにさっきの牛が五体引っかかった。ここに留まるのはすこーし危険だ」
かなり不服そうだが渋々背中に乗った。
「あ、そうだ、俺はサイガ。ま、よろしく」
「…ナギです。…さっきはありがとうございました…」
やっと自己紹介が終わった時に、森からキリトたちが出てきた。
「…サイガ何してるんだ?」
「サイ坊も女の子を連れ始めたカ」
「…捕まるよサイガ君」
「サイガさん…」
四人が白い目でサイガを見ている。
「おい、お前ら好き勝手言いやがって!目的地が同じだから一緒に行こうとしたんだよ」
「あの、私もう大丈夫」
するりとサイガの背中からフードのプレイヤーは降りた。
「へ〜、こんな道に人がいるなんて珍しいナ。ち・な・み・二、クエの場所は一本向こうじゃ無いといけないゾ、お嬢ちゃん」
「道を間違えたのか……クス……」
「ヒドイ!今笑ったでしょ!」
「あー、お前ら自己紹介でもしたら?」
「誤魔化さないで!」
初対面と思えないほどよくしゃべる二人。
「仲良いな」
「確かに、誰とでも話せそうな人だもんね」
「じゃ、オレっちからナ。オレっちはアルゴ情報屋サ」
「あ、えっとアスナです。よろしく」
「キリト、ソロだ」
全員の自己紹介が終わりとナギはフードをとり挨拶した。
「私はナギです。よろしくお願いします」
ナギの挨拶後、サイガ、ナギを除く全員が固まった。
「?何固まってんだ?」
「サイ坊、とんでもない美人連れて来たナ」
「ん?……ほんとだ。アスナと同じ位美人だな」
フードの中から出てきた顔はとてつもなく整った顔だった。綺麗な黒髪は肩まで伸び、瞳は吸い込まれるように美しく、
肌は雪の様に白い。アスナと同じで、性別問わずに振り返られるレベルだ。
「…サイガ君て、そんなこと言って恥ずかしくないの?」
「?…言っちゃまずかったか?」
「そう言う訳じゃないんだけど…」
「ナギちゃん、大変な人に会っちゃったね…」
「あ、うん。それと、呼び捨てで構わないよ、アスナ。まあ、仮にも命の恩人だからね」
そんな他愛もない話をしていると、高さ1メートル半くらいの岩が沢山ある広場に着いた。
「着いたゾ、ココがクエストの開始点ダ」
「このNPCが出すクエストをクリアすれば?」
「そうだヨ」
『フォフォフォ、なんじゃ小童ども入門希望か?』
『我が試練を見事満たせば、お主らに我が武の真髄《体術》を伝授してやろう。フォフォフォ』
岩の上に仙人らしきNPCがいてクエストのフラグを立て始めた。
「よよよよ、よろしくお願い!」
「ネズハ、それNPCだからな?」
90度でお辞儀したネズハに呆れるサイガ。
『修業の道は長くけわしいぞ?覚悟はあるか?』
「…そういえば、なにをさせられるんですか?」
「岩を割るだけ」
「は…はあ?」
「《破壊不能オブジェクト》一歩手前の硬さだけど…無理ではないわね。キリト君はクリアしたのよね?」
「ま…まあね」
その横から横目でネズハとナギがアスナ、サイガをじいーーーーーっと見ている。
「わ、私はやらないわよ?《体術》スキルは戦闘の幅が広がりそうではあるけれど、今の私は少しでもレイピアのスキルを…」
「俺はもうクリアした」
『なんじゃおなご、にげるのか?フォフォそれがよかろうて、所詮惰弱なおなご如きに
我が武の真髄を極める事など出来なかろうて』
「なんですって…?」
『なんじゃ不満か?それともー』
岩からぬるりと降りるとアスナの胸をプニンと突いた。
『ワシがもっと有用な体術を伝授してやろうかの?』
四人の外野が震え上がっているのと同時に修羅が仙人に反撃した。
キィィン
『フォフォフォ、なかなか活が良い。よかろう、我が武の真髄とくと授けて進ぜよう』
『手とりぃ足取りぃ順繰りにじゃあ』
流石に我慢の限界になったアスナは
「いいわッ習得したらまずその顔をブッ飛ばす…!」
『フォフォフォ』
「ほら!あなたもさっさとなさいッ、速攻で終わらせるわよこんなの!」
「は、はい!」
「犠牲者2名」
「…何…?楽勝でしょ?」
『フォフォフォよかろう小童ども、ならばこの岩を各々一つ砕くのじゃ、ただし』
仙人は一瞬でアスナの背後に移動すると、レイピアを奪った。
『武器を使う事はまかりならんぞい?』
「は?え?なんでッ?」
『お主らが見事試練を果たすまで、無用の長物は預かっとくぞい』
「ちょっ…返して!返してえ!」
『この試練はあくまで徒手空拳にて挑むものじゃ、拳でも、蹴りでも、なんなら頭を使ってもいいがの!フォフォフォ』
『あ、あとのう大岩を割るまでこの山を降りる事はならんぞい。じゃから、お主らにはその証を立ててもらうぞ』
仙人が取り出したのは筆。それを振り回し、
『ほうれ!』
「ああッ、アスナさんに…ッおヒゲが!!!」
アスナとネズハに綺麗な三本線が左右に引かれていた。
『その証はお主らが見事大岩を割り修業を終えるまで決して消える事はない、信じておるぞい我が弟子よ』
「こ、これキャンセル…」
最後の頼みの綱としてアスナはアルゴの方を見るが、アルゴは笑いながら、
「ムリ、それがベータテストでオレっちの《鼠》キャラが定着した理由サ」
「早く言ってよ〜」
「ナァ、“元キリえもん”からこの気の毒なお嬢さんにアドバイスを」
キリトはアスナに近づくと、
「バカーッ!!!何考えてるんだ!!?」
「え?だって…知らなかったんだものしょうがないじゃないッ」
「しょうがない、ですむか!!俺でも三日かかったんだぞ!二日後には攻略組がボス部屋に辿り着く!
ヤツらは待っちゃくれないぞ!次のボス戦も一緒に組むんじゃなかったのか!?」
「べ…別に…そんな約束した覚えありませんけど〜?」
「…なにい?」
さっきの仕返しと言わんばかりにアスナが喋る。
「それに私とは、たまたま?一時的に?仕方なく?組んでくださったんでしょう?」
「…知らないからな、レベルガンガン上げてボス戦でもLA取って、後でたっぷり自慢してやるからなっ」
「あらぁ?むしろ私の仲裁なしで仲間外れにされないかしら?心配ーー」
キリトは真剣な表情で見ていた。
「…そうさ、俺はむしろ君のそういうところを買っていたんだけどな。自意識過剰なリンドや視野の狭いキバオウに
攻略組は任せられないが…」
「君になら…いや今はやめよう、俺はもう行く」
「な…なによ!言いなさいよッ!」
キリトは答えず歩いて行く
「〜〜〜〜〜…ッ」
「ボス攻略に間に合わせればいいんでしょ!待ってなさい!!!」
「期待してるよ」
「あー、じゃあナギも頑張れよ」
「あ、うん…」
『これこれ、そこのデカイのどこに行くつもりじゃ?』
「帰るんだよ。文句あるか」
NPCに絡まれた為、サイガは少し驚いたが手をヒラヒラと振り帰ろうとする。
『まあ、おなごより木偶の坊の方が使い物にならんからのう。弟子にはいらんな』
もう一人修羅が現れた。
「おい、クソジジイ。岩にめり込みたく無かったら撤回しろ」
『口だけは達者じゃのう、木偶の坊や』
クエスト受注のウインドがサイガの前に開かれ、即座にイエスを押すと仙人に飛びかかって行った。
「100回死ね!」
「ありゃりゃ、サイ坊ッテ怒るとこんなに口調が変わっちまうのカ」
「普段はおちょくるぐらいなのにね」
「サイガ君……怖くなった」
「サイガさんは怒らせない様に気をつけましょう」
波乱の体術修業が始まった
後書き
ナギの髪型はボブで。
サイガ君はどこまで暴走するのか……
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