黒を纏う聖堂騎士団員
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30.一つという鍵
死の世界はどんな世界だと思いますか。
目を閉じているから暗い世界?
魂がないから暗い世界?
世界は必ず一つとは限りませんよ。
一つと思うから一つしか見れないんです。
「例えばこの魔法陣もね。
はじめに見つかった魔法陣を覚えていますか。
私は覚えていますよ。
エイトとゼシカが見つけた魔法陣ですよね。
ザオリクやザオラルの魔法陣の核になる形をした陣です。
ただ文字は抜け、線や円だけでは発動しません。
魔法の言葉はいるんですよ。
どの世界にも。
『これはザオリク、ザオラルの魔法陣である』
と、一つの解答を書き込んだのは私やマルチェロ自身です。
で、私は思ったんですよ。
一つの解答を出してしまい、何か見落としたのではないか。
思考を固定したのではないか。
クロノスという私が思い付くなら、マルチェロも思い付くはずでしょう。
魔法陣が何を意味するか分かりませんよ?
私は死んでいますから。
でも楽しみだと思いません?
一体、彼を犠牲にするか、ね?」
世界には死神は一人ではありません。
一人、一つ、は世界にはあり得ませんから。
「兄貴のやつ、なんでマイエラ修道院に戻ったんだ?」
ククールは首を捻りました。
マイエラ修道院の前に立ち尽くす四人。
修道院内はやけに静かでした。
夕方から暗闇の空に変わり、冷たい風が吹き始めました。
エイトは空を眺めながらため息をつきました。
「さてさて。立つだけではつまんないし、やることないし。
こっちはこっちで仕事しますか」
「エイト、他に何するんだよ!!
もう何も出来やしないじゃないか!!
クロノスは死んで、エリスは倒され・・・・・・何があるんだよ」
「そうよ、今はマルチェロを見に行くんじゃないの?
慰めないの?」
「何を考えてるでがす」
「ヤンガスの方が頭いいな。
わからない?死を酔拝する宗教を潰すんだよ。
仮にも神に約束したんだ。
人が生きようとする世界をね。」
笑うエイトになんだか嫌な感じがするククール。
勇者のわりには腹黒いエイトがククールには怖いのです。
「オレら四人に潰せるわけないだろ」
「ククールはバカだよ。
組織ってリーダーを倒すと組織系統が潰れるのさ。
しばらくはリーダーが生まれるにも時間がかかる。
その間に目が覚めればいいね。
それよりククールこそマルチェロや僕を捕まえなくていいの?」
「エイトはバーカだ。
指名手配書見やがれ!!有効日付が今日まで。
だから今日までに煉獄島にいなきゃもういいんだ。」
二人は顔を見合わせ笑いました。
それを見るヤンガスとゼシカが呆れていました。
目的の集団はククール、クロノス、マルチェロが攻めたあらくれ集団がいた場所のようです。
さすが世界狭し!!場所の再利用ですか。
「なぁ、エイト。
兄貴は何をしているんだ?
修道院にずっといるが」
「魔法陣だよ。
はじめに見つけたザオリク系の未完成魔法陣さ。
そこに望みをかけたのさ」
望みの意味がわからないククールは生返事で済ませました。
もう一度マイエラ修道院を訪ねたとき、彼らが何を見るか。
それはマルチェロも神すらも知らないままでした。
後書き
ぽわーん・・・
次か次の次ぐらいがEDかな?
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