おぢばにおかえり
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第二十四話 出会いその十
「私はただねえ」
「よかったじゃない」
「ねえ」
勝手によかったことにされだしました。
「ちっちもこれで彼氏ができたんだし」
「けれどあれよ。最後までいったら駄目よ、まだ」
「最後までって」
いわれたこっちが顔を真っ赤にしてしまいました。
「私はまだね。そんなことっていうかあの子はそんなのじゃないわよ」
「隠してもわかるから」
「大丈夫大丈夫」
「大丈夫って何がよ」
また八重歯を出しちゃいました。今日はよく出ます。
「私はねえ。そもそも向こうから呼び止められてね。仕方なく」
「ナンパされたんだ」
「ちっちが誘ったんじゃなくて」
「だから誘ってもないしデートもしてないわよ」
自分でもかなりムキになってるのがわかります。
「何度も言うけれど案内しただけよ、クラスにね」
「本当に?」
「本当よ」
やっぱりここでもムキになってしまいました。
「こんなことで嘘言ってどうするのよ」
「事実隠してねえ」
「実はって普通に芸能人であるわよね」
「そうそう」
今度はこう言われます。
「だからちっちだってね」
「そうじゃないの?実際は」
「絶対にないわ」
断言しました。
「それはね。地球が裏返ってもよ」
「地球が裏返ってもってねえ」
「何か凄い表現ね」
「けれどそれは絶対にないから」
また断言です。こんなに絶対絶対って言うことってないんですけれどそれでも今はって感じです。
「わかったわね」
「やれやれ。照れ隠しでねえ」
「ちっちもそんなお年頃なのね」
「いい加減にしないと本気で怒るわよ」
これは本当に本気の言葉でした。
「そんなこと言ったらあれじゃない。私が小学生と一緒にいたらどう思うの?」
「引率?」
「お姉さんよね」
「じゃあ中学生は?」
「従弟かしら」
「そんなところよね」
「それじゃあ高校生はどうなのよ」
今のお話の核心です。中学生までは従弟扱いでしたが今度はどうなるか。尋ねたところでこっそりと心の中で皆の反応に注目します。
「そこんところは。どうなの?」
「やるじゃないって感じ?」
「年下彼氏ゲットでね」
「だから何でそうなるのよ」
むすっとした顔で皆に抗議します。
「一緒にいるのが高校生だと。何で?」
「歳が近いからね」
「実際のところ中学生でもかなり危険よ」
「危険なの」
「特にちっちはね」
何故か私は『特に』らしいです。随分失礼なことを言われてます。
「年下似合うんだもん」
「お姉さんだしね」
「何度も言ってると思うけれど私は年上の人好きなんだけれど」
正直に言いますと私より背が高いだけで容姿は満足です。大事なのは心ですよね。心がしっかりしていて奇麗な方なら誰でもいいです。私を好きでいてくれたら。
「いつもいつも言われるわね」
「まあまあ」
「気にしない気にしない」
「言ってるのは誰よ」
皆に抗議します。
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