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優柔不断な短編集

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ダイヤのA 妄想小説

 
前書き
 
去年八月以来の更新です。
今回はダイヤのA。アニメを見た衝動に駆られてしまい、書いてしまいました。

薬師戦を観戦席で見ているモブ同級生。ちょっと捏造ありです。
  

 
 





 湧き上がる歓声。
 それが一層大きくなる度に赤いランプが一つ点く。

 響くのはそれだけではない。
 乾いたミットの音、ボールの当たった金属バットの甲高い音。

 そして…男たちの雄叫び。


 ここは自らを磨いた球児たちが、己の全てをぶつける舞台。
 相手は因縁浅からぬ薬師、彼ら打者を迎え撃つのは…これまた彼らとの因縁のある、一年生サウスポー。

 独特なフォームに、自らの意思で変幻自在に変化させるムービング。
 自らの持つ武器をぶつけ―――以前は打ち崩された。

 しかし、今の彼はあの時とは違う。
 以前とは違う、アウトローという武器。内角へ投げられないイップスを乗り越え、更にはチェンジアップという新たな武器を身に付けた。


 ―――あぁ、ちくしょう…


 強力打線と言われる薬師のバッターたちを、次々と三振に打ち取っていく。
 今の彼はまさに、青道のエースと言っても過言ではない。それだけのピッチングを、あのマウンドでやってのけている。


 ―――チクショウ…!


 そして遂に、薬師の四番―――轟雷市を…


「―――ストライク、バッターアウトッ!」


 三振。
 同時に、球場を揺らすかのような歓声が起きる。

 メガホンを持ちながら応援していた俺たちも、その例外ではない。
 あいつが、あのアホでバカなあいつが…堂々たるピッチングをしている。


 ―――ちくしょう…!


 今でも凄いと思う。
 甲子園目前までいったあの試合で、デッドボールをやらかし。
 その所為で内角に投げられなくなって。

 それでもあいつは、あそこに立っている。


 ―――畜生…!


 素直に思う。凄いと、尊敬すると。
 バカでアホな野郎だが、絶対的エースがいる中でも諦めず、前へ進もうとする。

 それはバカ故か、はたまたアホ故か。


 ―――なんであいつばっか…!


 そうだ、諦めなかったから、あいつはあそこに立っているんだ。
 進み続けたから、あそこに立っているんだ。


 ―――負けるか…!


 俺だって、諦めてたまるか。
 これでも中学では…いや、そんなお飾り、もう意味もないか。

 片岡監督に面と向かって「エースになる」なんて言った、名も知れない奴があそこに立っているのだから。


 ―――負けてたまるか!


 俺だってピッチャーだ、あそこで投げることに対するプライドがある。
 ぜってぇ、あそこに立ってやる。あのマウンドに立って、あいつらと同じような、滾る戦いを。あそこでしか味わえない緊張感を…!


 ―――ぜってぇ負けねぇ!


 ぜってぇあそこに立ってやる!
 だから、負けねぇぞ―――降谷、沢村!





  
 

 
後書き
 
ほんとに短い短編。
漫画読んでるから先のことはわかっているのに、どうしてもこういうのは心が躍るんですよね。ハイキュー!!とかもそう。
はっきりいうと、見てて羨ましいと思ってしまい、適当に書いてみた感じです。内容はあまり気になさらず。

他の小説も頑張ってますので、どうかお待ちください。
  
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