ソードアート・オンライン~隻腕の大剣使い~
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番外編隻腕の大剣使いと愚かなる殺戮者2
前書き
パソコン、スマホ、タブレットの画面の前の皆々様!大変長らくお待たせ致しました!コラボ企画、「隻腕の大剣使いと愚かなる殺戮者」第2回です!
前回の投稿から約2週間、全力でお話の内容を纏めておりました!楽しんで頂けたら何よりです。
ではでは、番外編第2弾、スタートです!
オレの目の前にいるこの少年、スイ。その名を聞いた瞬間、オレの脳が彼の情報、噂等を少し頭が痛くなる程のスピードで検索した。《殺戮者スキル》という、《完全習得》するとプレイヤーを一人殺す度にレベルが1上がるスキルを使い、次々と犯罪者プレイヤーを殺してきたーーー犯罪者狩り。ただの噂だと思ってたけどーーー
「・・・本当にいたんだな」
「《殺戮者》・・・そう言いたいんだろ?」
「正直、ただの噂だろうと思ってた。気分悪くしたなら謝る」
「いいさ、人殺しと関わろうとする奴なんていないし・・・慣れっこさ」
スイは少し気分が悪そうな顔を出した。オレはそれを謝罪しようとしたがスイは気にするなといったように返した。SAOの中で殺しを行ったという点ではオレも先日のラフコフ討伐戦で三人をあの世に送った。その点では多分解り合えない。でもーーー何でかそれだけじゃない気がする。
「・・・で?受けんのか?受けないのか?」
そうだ、まだ目の前に出されたデュエル申請の返事をしてなかった。
モードは全部で三種類。《初撃決着モード》、《半減決着モード》、《全損決着モード》。《初撃決着モード》は先に対戦相手のHPをイエローゾーンまで減らした方が勝ち。《半減決着モード》は先に対戦相手のHPをMAXの半分まで削った方が勝ち。《全損決着モード》は相手のHPが0になるまで決着が着かないというルール。
《全損決着モード》はありえない。少なくともオレが死ぬ。いや、流石に殺しはしないだろうけど。《半減決着モード》はーーー多分それでもオレの気がもたないだろう。スイのレベルは恐らく、いや、オレよりもずっと高いはずだ。よって一番無難な選択はーーーオレは《初撃決着モード》を選んだ。
「初撃だな、俺もそれくらいが丁度いい。ところでさぁ・・・」
言いたい事は解ってる。なんか、オレ達の周りに人が次々と集まって来た。その中には昼間オレのスイーツタイムを邪魔した金の亡者と裏切り者もいた。最初からいたのか、この大勢のギャラリーが気になり見に来たのか。とにかく今は目の前の相手に集中しよう。背負う鞘から愛剣《ドラゴンビート》を抜刀。スイの武器はーーーオレと同じ《両手剣》。それもSAOで数少ない片手持ち。なるほど、戦闘スタイルに自分に近い物を感じたからオレにデュエルを挑んだのかな。デュエルの承諾から開始までの時間は一分、残り時間はーーー
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デュエルスタート!
デュエル開始のアラームが鳴り、オレは強く地面を踏み込みスイに向かって突っ込んだ。ラフコフ討伐戦の後からオレは自分の弱点を補う為に敏捷値を重点的に上げるようにした。オレはあっというまにスイの懐に潜り込みまずは右脇腹から右斜め上向きに大きな一太刀を入れる。
「ぜやぁぁぁぁぁ!」
「おっと!」
第一撃はスイが身体の重心を左に仰け反らせることで見事に避けられた。続いて第一撃の反動を利用してそのまま左足で蹴りを入れるが、スイの剣の側面に受け止められる。こいつーーー
「やっぱり強い・・・!」
「そいつはどうもぉっ!」
オレの呟きにスイはオレの左足を受け止めた剣で薙ぐようにオレを薙ぎ払う。薙ぎ払われたオレは空中で体勢を立て直し2メートル程地面を滑り着地する。
「今度は俺からいくぜ」
「ッ!!」
スイの声を認識した瞬間、オレの目の前に剣が見えた。それに対しオレは《ドラゴンビート》を《ダガー》のように逆手に構えそれを防ぐ。
重いーーー剣の重さだけじゃない、スイの筋力値の高さがこの一撃の重さで解る。オレはこの重さを利用して《ドラゴンビート》の角度をずらしスイの剣を落とす。すかさずオレはーーー脚に青白いライトエフェクトを纏い、《体術スキル》を発動する。
「《竜王拳》!《竜の樋爪》!」
蹴り上げたその武脚は強靭なる竜の樋爪の如く。極めた《体術スキル》と筋力値、それに加えて速度を得たオレの武脚を受け止める事は出来ないーーー
「って、思ってたんだけどな・・・」
「悪いな・・・止めちまった」
見事に受け止められた。それも、ありえない方法で。スイの左手にはーーー二本目の剣。
SAOで剣を二本装備する事はシステム的には不可能のはずだ。《片手剣》だって一度に装備出来るのは一本まで、他に装備出来るのは盾のみ。しかも左手の剣もーーー見たところ《両手剣》。本来は両手が塞がる武器だから二本装備なんて尚更無理だ。
「《剛波剣》っていうスキルでな、《片手持ち》と《剣技解放》スキルを《完全習得》してないと使えないスキルなんだ」
まあ取得条件は俺にも解らないけどな、と言葉を続けてスイはケラケラと目の前で笑う。どんなスキルだよ。どんなチートだよどんなチーターだよ。こいつオレの《バインドマント》以上のチート能力持ってんじゃん。ビーターよりチーターやってんじゃん。オレとキリトの覚悟と友達返せこの野郎。
「オレに左腕があったら是非とも欲しいわ、《剛波剣》」
「俺も驚いたぜ、《竜王拳》・・・だっけ?すごいな、《殺戮者スキル》解除してたら大ダメージ間違いなしだ」
お互いのスキルは強力な物だ、だからお互いが羨ましくなる。少なくとも左腕のないオレには尚更だ。ーーーいや、その理屈は少しおかしいかな。オレがベータテスターになって、SAOに来た理由は左腕が欲しかったから。元々VRMMOというジャンルには興味があった。だからベータテスターの抽選にも応募して当選したから問題なくベータ版SAOにも入る事は出来た。それであいつらはーーーいや、もう考えるのはやめよう。とにかくオレに左腕があったらーーーこの世界にはいない。
「さ~て、俺もそろそろ勝ちに行く「そうだな、もう終わろう」・・・は?」
オレはスイの言葉を遮り、《ドラゴンビート》を鞘に納めた。
「リザイン・・・降参する」
「はぁ!?」
オレはデュエルの降参の合図を出し、デュエルシステムがスイの勝利のファンファーレを鳴らす。それでスイが驚いたように叫び、忘れかれてたギャラリーの連中がざわめく。
オレはそのまま転移門に足を向け、47層のログハウスにレッツラゴー、としようとしたらスイに右肩を捕まれる。
「どういうつもりだ?ライリュウ」
「降参の事か?理由は簡単さ・・・今のオレじゃ勝てない。それこそ、迷いがあるから」
どうしてこんな話になったのか自分でも解らない。でも一つだけ解るのはーーーオレがスイに剣をぶつける事を迷ってるということ。ラフコフ討伐戦以来、オレはプレイヤーに剣を向ける事が出来なかった。当然剣を向けたのは犯罪者だ、それも進んで犯罪を犯している連中。悪い奴らに剣を向ける事なら時々やってたけどーーー殺さなくても、この剣で切ったら手が重くなる気がした。スイにそれを話したら渋々納得してくれた。それにーーー
「お前が良い奴だって事は・・・おかしな話だけど、解る」
そう思ってる、オレがそう言ったらーーースイが吹いた。
「プハハハハ!・・・面白いなお前、ちょっと気に入ったよ」
「ったく、大笑いしやがって・・・今度会ったら最後までデュエルしよう。降参はしない・・・全力だ」
「ああ、ものすごい不完全燃焼してんだ・・・次までに迷いなんて断ち切っておけ」
オレとスイは互いに笑い、戦い、また笑い、再戦と友情の握手を交わした。その時、オレ達のデュエルを勝手に観戦していたギャラリーから歓声を飛ばし拍手をしていた。余計なことしなくてもいいと叫ぼうと思ったけどーーー必要ないかな。
オレ達は互いの家に帰ることにした。オレは妹がいて、スイはリーナという恋人がいるらしい。恋人、ねぇ。オレはまだ作るつもりはないけどーーーあの黒と白の二人はもうお互いを意識してるとか未来も言ってたし、もしかしたら時間の問題だろうな。
そんなことより、オレに新たな目標が出来たーーー
「次は負けねぇぞ、スイ!!」
後書き
自分なりにやりきったつもりの出来です。僕にコラボ企画という大きな舞台を用意してくださったjade色さん、どうもありがとうございました!以上でコラボ企画、「隻腕の大剣使いと愚かなる殺戮者」完結です!
ご観覧ありがとうございました!次回本編もお楽しみに!
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