戦国異伝
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第二百四十七話 待つ者達その九
「丹念に」
「そうしていくしかないな」
「はい、しかしです」
「島には限りがあるな」
「無限にある訳ではありませぬ」
「では一つ一つ念入りに調べていけば」
「何時かは必ず見付かる」
「そしてです」
鶴姫は信長に強い声で語った。
「その島にです」
「仕掛けるか」
「そうしましょう、ただ」
「敵は逃げるな」
「仕掛けると上様は仰りましたが」
「見付かればか」
「もう逃げまする」
その時点でというのだ。
「そうなります」
「そしてじゃな」
「おそらく瀬戸内の海に逃れ」
「そこでか」
「最後の戦となりましょう」
「そうなるか」
「近くの陸地でもそうなるやも知れませぬが」
傀儡達を出してというのだ、そこでも。
「しかし海でもです」
「また戦になるか」
「必ずや」
「わかった、では水軍もこのままじゃ」
「戦の用意を続けますな」
小早川隆景が問うた。
「このまま」
「そうする」
「さすれば」
「そうする、そしてな」
信長はさらに言った。
「陸と海で奴等を滅ぼすとしよう」
「そうされますか」
「完全にな。ではまずはあの者達を見付け出す」
魔界衆、その彼等をというのだ・
「よいな」
「はい、では」
「そうしましょうぞ」
「奴等は間違いなくおる」
瀬戸内の何処かにというのだ。
「島のな」
「それで上様」
島津義久が信長に問うた、後ろに三人の弟達を控えさせたうえで。
「南蛮の者達ですが」
「あの者達と結託しておるか」
「いえ、フロイス殿ですが」
「フロイスがか」
「南蛮の者が敵におると聞いて驚いているとのことですが」
「案ずるなと伝えておけ」
これが信長の返事だった。
「別にな」
「左様ですか」
「あ奴に罪はないからな」
だからだというのだ。
「ただ、南蛮じゃが」
「あの者達自体はですか」
「耶蘇教の者には妖しい輩も多い」
「だからですな」
「この戦の後で考えておることがある」
「と、いいますと」
「耶蘇教を無下に広めさせぬ方がよいな」
これが信長の考えだった。
「そして美麗、呂宋に出ればな」
「その時はですか」
「南蛮の国々とも戦になるな」
スペインやポルトガルとも、というのだ。
「その時のことも考えておこう」
「その時若しフロイス殿達が日本におられれば」
義弘の問いである。
「どうされますか」
「返すしかなかろう」
信長は義弘にも答えた。
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