DQ5~友と絆と男と女 (リュカ伝その1)
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34.結婚しないと進まない関係がある。でも、結婚すると壊れる関係もある。
<サラボナ-ルドマン邸>
ルドマンSIDE
昨晩は随分と騒がしかったな…まぁ、しょうがないか。
女性三人は既に我が家の居間に集まっている。
フローラとビアンカさんは泣き腫らした様だ…目が赤い。
デボラは…何時もと変わらんなぁ…何の為に混乱を増大させたのやら…
後はリュカを待つだけだが…遅いなぁ?
(コンコン)
「旦那様。リュカ様がお見えになりました」
やっと来たか。
悩みすぎて寝坊したか?
「うむ!」
ん!?
何やらリュカの表情が暗い…?
「リュカ…良く眠れなかったかな?」
「え?バッチリ爆睡です!どうしました?」
ば、爆睡…逆に凄いな…
「いや…表情が暗かったのでな…」
「あぁ!いや…そこでメイドさんをナンパしたら怒られまして…『婚約者がいるのにふしだらです。』って…結婚したらナンパしちゃダメ?」
イラ!
この男いったい何考えているんだ!
「で!三人の内誰と結婚するか決めたのかね!?」
「あれ?イラついてる!?クス…冗談ですよ…」
イライラ!
「いい加減にしたまえ!昨晩の大騒ぎは君も知っているだろう!真面目にやりたまえ!」
まったく!
本当にこの男でいいのか!?
………とは言え仕方ない…私が出した試練をパスしたのはコイツだけだし…
「大騒ぎの原因を作ったのは貴方でしょう…僕にイラつかれても困ります」
ぐっ!
「で、では、誰とけっこ「その前に!」
む!?
「その前に、僕はルドマンさん!貴方に言いたい事が…文句があります。それを言い終わらない内は、事態を進めるつもりはありません!」
ほ~う…この私に文句を言う…面白い!
「何かね」
「まず最初に、この事態の原因になったフローラの結婚相手を決める試練の事です」
今更では?
「貴方が築き上げた財産や資産を譲渡するのは貴方の自由だ。だが、フローラの人生を自由にしていい訳無いでしょう!」
そ、それは…
「今回…結果的に大事には至らなかったが、もし財産目当ての腕っ節馬鹿が合格していたらどうするつもりでした!?」
「だが…この物騒なご時世、フローラを守るには力がいる!だから「馬鹿ですか!あんたは!」
なっ!
「物騒な世の中からフローラを守るのなら、金を使って武装すればいいだろ!一人の物理的な力なんてたかが知れてる。盗賊が1000人で攻めてきたら何も出来やしない」
た、確かに…
「むしろ、そんな腕っ節馬鹿はフローラを不幸にする!」
何!?
「多額の泡銭が入り、あっちこっちで金を散撒き女をつくる!フローラの事を顧みてない男は、その事を指摘されると腕っ節に物を言わせるでしょう!」
うむ…その通りかもしれん…
この男やはりフローラの事を…
「もう一件、言いたい事が…これは、この場にいるみんなに言いたい!」
娘達にも!?
「昨日、僕の話を誰も聞こうとはしなかった!何度自分の気持ちを言おうとして遮られた事か!挙げ句、一晩悩んで持ち越せって…」
言い終わるとリュカはビアンカさんを抱き寄せキスをする。
なっ!?おい!フローラを選ぶのでは…?
「ちょ、リュカ!何!?」
「ビアンカ!好きだ!愛してる!」
「何言ってるの!私なんかを選んだら天空の盾が「あんな物いらない!ビアンカがいい!」
「あんな物って…パパスおじさまの遺志は!」
「父さんを侮辱するのはやめてくれ!」
「ぶ、侮辱って…」
「父さんは偉大で優しい人だ!僕の幸せを思ってくれる人だ!」
私達は何も言えない…ただ、黙って見ているしかなかった…
「それに天空の剣があれば、勇者を捜せる。勇者を見つけてから盾を貰いに来ればいいし…」
「リュカ…そんな…私…」
「後はビアンカの気持ち次第だ。もし僕の事が嫌いだったら…諦める…誰とも結婚しない…」
「私 (ヒック)も…リュ(ヒック)リュカの事が(ヒック)大好き…」
ビアンカさんは泣き出してしまった…
「リュカじゃなきゃヤダ!私…私…」
ビアンカさんはリュカに抱き付き泣きじゃくっている。
気付くとフローラもデボラに抱き付き泣いている…
私は自分の娘を泣かせるダメな父親だ…
「私を選ばないなんていい度胸ね!」
デボラ…また騒ぎを広げる様な事を…
「(クスッ)…そうですね…妹思いの巨乳美女は捨てがたかったですね…(クスクス)」
プ、プロポーズ直後の台詞じゃないゾ!
「フローラを馬鹿男共から守ってくれてありがと」
私もフローラもビアンカさんも、二人を交互に見て驚いている!
「ビアンカを救ってくれたからチャラです」
私は驚く事しか出来なかった…
二人の懐の深さに…
二人とも私の愚かさに対してフォローをしてくれたのだ…
私は自分の娘を侮っていた様だ…
フローラとビアンカさんが一通り泣き止むとリュカから切りだしてきた。
「では、僕らはそろそろ行きます」
いや、そうはいかん!
「待て!私は結婚式の準備をしてしまっているのだ!これを無駄にする事は許さん!」
「ふう…つくづく勝手な人ですねぇ…貴方は…」
ふん!式の準備は整っているのだ…あとは新郎と新婦が揃えば良いだけ…
「何とでも言うがいい!私はリュカ…お前が気に入った!私の好意を受け取ってもらうぞ!」
「好意の押し売りです。それは…」
そう言いながら、リュカとビアンカさんは互いに見つめ頷き、結婚式を了承した。
「そんな訳で2日後には式を執り行う」
「2日!?はぇ~よ!準備は…」
黙れ、準備は出来ていると言ってるだろうが!
「準備は殆ど出来ている!お前はほっておくと浮気をしそうだからな!サッサと結婚させておくしかないだろ!」
「そ、そんな事は…(ゴニョゴニョ)」
リュカは情けなく口籠もる。
「それとリュカにはやってもらいたい事がある」
「何ッスか?娘さん二人の今晩のお相手?」
何でこの状況で、そんな思考が出来るんだ?
「コロスぞ!…そうじゃない!お前のルーラで招待客へ招待状を渡し、連れてきてほしいのだ!」
「えーめんどくせー」
「コラ!リュカ!貴方にしか出来ないんでしょ!」
「…は~い」
どうやら早くも尻に敷かれている様だな。
「…その間ビアンカは?」
「ドレス合わせの為残ってもらう」
「そっちの方が楽しそう!」
そうは言ったが、リュカは渋々承諾をし早速ルーラで飛んでいった。
「便利よのぅ…」
あ!
シルクのヴェールの事を頼むの忘れた…
まぁ良いか…帰ってきてからで。
ルドマンSIDE END
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