DQ5~友と絆と男と女 (リュカ伝その1)
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33.結婚は一人では出来ない。でも三人とも出来ない。儘ならない。
<サラボナ-ルドマン邸>
フローラSIDE
私は気が付くとゲストハウスのビアンカさんの所に来ていた。
何をしていいのか分からない…でも、何かしないとリュカが行っちゃう…
だから私は…だから…
「あの…フローラさん…さっきは強く言いずぎてごめんなさい…」
謝らないで!
私は貴女には負けない…
「私はリュカの事が大好きです!絶対貴女には負けません!絶対!!」
私は最低だ…自分の言いたい事を言うだけ言うと、彼女の前から逃げ出す様に立ち去った。
私はデボラ姉さんに会えないでいる。
今会うと、大好きなデボラ姉さんを嫌いになってしまう気がする…
なんと自分勝手なんだろう…でも、リュカの事を考えると自分が自分じゃなくなる…
私はリュカと結婚する為ならどんな事でもする!
色仕掛けでも…
以前、姉さんに貰ったシースルーのネグリジェを着ている。
下着は穿いていない…
鏡の前で自分の姿を見てみる…恥ずかしくて死にそうだ…でも…
リュカは今、デボラ姉さんの部屋にいる。
声が聞こえてくる…
一方的に姉さんが怒鳴っている様だ…
私の部屋にも必ず来る。
そうしたら私はベットで寝たふりをする…この格好で…布団も御座なりに…
そうすればリュカは…エッチなリュカの事だから、私を襲うはず。
私はリュカと結婚する為なら最低な女になる。
(コンコン)
来た!リュカだ!
「フローラ?入るよ?」
リュカが入ってきた!
どうしよう!
心臓がドキドキしてリュカに聞こえてしまう…
「あれぇ?寝てるのぉぉぉぉぉ!すげー格好だな!オッパイ丸見えじゃん!」
ヤダ…恥ずかしいからあまり言わないで!!
「話をしようと思ったけど…」
リュカが私に近づく気配がする。
ついにリュカと…私、リュカと…
(スッ)
え!?
「風邪引くよ…」
私の身体に布団がかけられる。
リュカがドアに向かう気配がする。
(バタン)
ドアが閉まる音が聞こえた…
私はそっと目を開ける。
そこにはリュカが…………………
フローラSIDE END
<サラボナ-ルドマン邸-ゲストハウス>
ビアンカSIDE
はぁ~何でこんな事になったのかしら?
私はテラスで手摺りに頬杖を付き後悔している。
もっと早く帰ればよかった…屋敷には入るべきではなかったのに…リュカが手を握って離してくれなかった…
いえ…リュカのせいではないわ。
私も離れたくなかった…だから…
でも、リュカはフローラさんと結婚すべきなのよ!
あのデボラじゃなく!
そのデボラがここまで聞こえてくる声で喚いてる。
さっきリュカが屋敷へ入っていったから、リュカに何か言っているのだろう。
さすがのリュカもあの女だけは選ばないだろう。
胸は私より大きかったけど…選ばないわよねぇ…彼女だけはヤダなぁ…
でもリュカって…巨乳好きよね…不安だなぁ…
あら…静かになったわね…
彼女の喚きが収まった様だ。
いったい何を騒いでいたのやら…
・
・
・
5分もしない内にリュカが屋敷から出てきた。
フローラさんとは会わないのかしら?
リュカは宿屋へ戻らずゲストハウスへ進んで来る。
今、リュカと近くで会ったら意志が揺らぐ…そんな気がする…
「リュカ!こんな遅くにどうしたの!?」
私は手摺りから身を乗り出しリュカを呼び止める。
ここへ来てはダメ!
お願いだから、離れてて…
「ビアン「何かごめんね!私がもっと早く帰っていればよかったのに」
リュカが何かを言おうとするが私はそれを遮る。
「ま、デボラさんも混乱の一翼ね!」
「あ、あぁ…」
「リュカはフローラさんと結婚して幸せになるべきよ」
「幸せ…に…」
リュカの瞳に悲しみが映る…
ダメよリュカ…貴方はフローラさんと結婚して、伝説の勇者を捜すのよ!
「天空の盾を手に入れて、パパスおじさまの遺志を継がないと…」
ヤダ…私涙が出てきてる…リュカにばれない様にしなきゃ…
「父さんの…気持ち…」
「いい!もうリュカは不幸を背負い込む必要無いんだから…幸せに…ならなきゃ…」
「幸せ…か…」
「そうよ!貴方のお姉さんとして…貴方が心配よ…」
お願いリュカ…早く…早く、宿屋へ戻って…私…もう…
「ビアンカは何時もお姉さんぶるね」
リュカは踵を返し寂しそうに戻って行く。
私にはリュカの姿が滲んで見えない…
もう、涙が止まらない…
室内へ戻り壁際で蹲り嗚咽を漏らす…
これで…いい…はずなのに…
リュカの為に…いいはずなのに…
私の事なんかどうでもいいの!
リュカが…大好きなリュカが…
「リュカぁ…イヤだよぉ…リュカぁ…」
帰りたい…アルカパでリュカと遊んだ…あの時へ…
幸せだった…あの時へ…
ビアンカSIDE END
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