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ドリトル先生北海道に行く

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第二幕その九

「乗馬だとね」
「いや、そうとは限らないよ」
 先生はチーチーの指摘に微笑んで答えました。
「鞍も手綱もなくて馬に乗る人もいるんだ、世界にはね」
「ああ、モンゴルの人とかね」
 トートーは先生のお話からすぐに気付きました。
「あそこの人達はそれでも乗れるね」
「かなり特別だけれどね」
 そのモンゴルの人達はというのです。
「何しろ歩くより先に馬に乗るっていう人達だから」
「そんな人はかなり特殊にしても」
 ジップも驚きを隠せません。
「そうした人達もいるんだね」
「そうだよ、僕にも信じられないけれどね」
「というか鐙がなくて馬に飛び乗るって」
 このことを言ったのはガブガブでした。
「凄いわよ」
「それに乗ってからも安定がないよね」
 ホワイティも言います。
「鐙がないとそれだけで乗馬って難しいよ」
「そう、それに鞍がなくて手綱もなくてね」
 そうしたものが全部なくてもというのだ。
「それで乗る人もいるからね」
「しかもそこから手で弓矢とかも使うから」
 ポリネシアはそのモンゴルの人達のことをお話します。
「どれだけ凄いのかしら」
「そんなの曲芸だよ」
 ダブダブはこう言い切りました。
「それだけでも」
「というかだよ」
「そうした環境にいる人達でないと」
 チープサイドの家族はこう言うのでした。
「出来ないことで」
「本当に特殊だよ」
「うん、僕もそう思うよ」
「チープサイドのご家族の言う通りだよ」
 オシツオサレツも言います。
「そんなこと出来たら」
「何もないお馬さんに乗って行き来出来るとかね」
「そう、僕にもだよ」
 またお話してくれた先生でした。
「そんなことしろって言われたらね」
「出来ないよね」
「絶対に」
「どう考えても」
「僕の運動神経だととても」
 さらに言うのでした。
「想像すら出来ないよ」
「老馬さんに乗るのがやっと」
「しかも駆けることも出来ない」
「そんな状況だとね」
「とてもだよね」
「そうですよね、モンゴルの人達は」
 トミーも言います。
「本当に特殊ですね」
「あの人達は遊牧民だね」
「はい」
「それでそれこそ歩く前からね」
「馬に乗る様な人達だからですね」
「そうしたことが出来るんだ」
「裸の馬に乗ってそのまま駆けることも」
 トミーはここでこうも言いました。
「鐙も鞍も手綱もなくても」
「馬の背中にそのまま乗ってね」 
 そしてというのです。
「鐙がなくても脚で馬の身体を挟んで安定を保ってね」
「手綱がなくてもですね」
「首に手をつけてね」
「それは凄いことですね」
「それだけ馬に慣れているってことだね」
「自分の身体みたいに動かせるから」
 それでというのです。
「出来るんだ」
「それでは」
 ここでこうも言ったトミーでした。 
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