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『最低な女』

作者:零那
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『生まれた不信感』


孝史との関係が深くなるにつれて、蒼への想いが削ぎ剥がされてくのが解る。
うっとうしいと思っていたのが更にうっとうしく感じる。

自分の上の家の方が好きならずっとソッチに居れば良い。
元々親との別居なのに夫婦の別居になるなら、本当に未桜の取り越し苦労だったし、無駄なお金を使ってきたと思う。

見返りなんてモノは求めたつもりもない。
けれど、それなりのケジメは付けて欲しかった。

そんなに未桜と娘と居たくないのかと思うと、惨めで情けなくなる。
蒼にとって未桜は都合のいい時だけ使う存在なら、蒼にとって迷惑な存在になってやろうかとも考えたりした。
こんなにズルくて醜い考え、自分らしくないと思ったし、自分で自分に嫌悪感すら抱く。

孝史と、夜カラオケに行った。
お母さんが娘を上の家に泊める日だった。
此の日、孝史は、仕事や奥さんのグチを散々吐き散らかしていた。

未桜も蒼への不満があるだろうと促された。
未桜はぶちまけた。

孝史は意外なことを言う。
蒼は未桜のことを好きだと言ってるらしい。
何故そんな会話になるのか解らないけれど、職場の人間とは心を開いて何でも喋るらしい。
出会ったときのことや未桜の過去の一部など話してるらしい。

孝史も未桜のことを知っていたから...

蒼は、未桜と娘、3人で居ると息苦しいらしい。
父親という自覚が未だに無いらしく、どうしたらいいのか解らないから上に逃げると。
何故其れを未桜に話さない?
父親の自覚が無いなどズットだ。
今に始まったワケじゃない。
それくらい解ってる。
だから何も求めていない。

父親らしくなんてことも言ったことがない。
未桜自身、悩み考え、日々勉強で母親になりきれていないのに偉そうに言えるワケがない。

未桜は蒼を理解して自由にしてきたつもりだ。
何も無理強いはしていない。
其れがダメだったのなら未桜の責任だ。

チャント話し合うべきか悩んだ。
ふと孝史が言う。
蒼にお金を貸していると。
いくらか聞くと数万円だった。
財布に入っていたのでその場で渡す。

ギャンブルのこと言うべきか否か...。
悩んだ末、思い切って言った。
孝史から誘うのを辞めて欲しいと。
孝史は、誘うのは蒼の方からだと少し怒りを露わにした。

図星をつかれるとキレるタイプか?
その場では、次から一緒に行くのをヤメてとお願いした。
誘われたら断ってくれと。

心が騒ぐ...。


 
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