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女優の過ち

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2部分:第二章


第二章

「何が出て来てもおかしくないですよね」
「だからシーラカンスがいるのよ」
「いえ、シーラカンスだけでなく」
「他に何が出るのよ」
「例えば恐竜とか」
 話に出すのはそれだった。
「そういうのが出て来ても」
「それ、面白そうね」
 いささか真面目な顔で答えたマネージャーだった。
「恐竜が実際に映像になったらね」
「結構凄いですねよ」
「凄いなんてものじゃないわよ。世紀のスクープよ」
 マネージャーも話しているうちにだ。目を輝かせていた。
「あんたの知名度もあがるわ」
「ですよね。それが出たら」
「まあ普通はないけれどね」
 流石にだ。それは否定したのであった。
「幾ら何でもね」
「やっぱり。そんなことは」
「そうそう、それよりもまずはね」
「御仕事ですね」
「シーラカンス釣ってね」 
 そのことを告げるマネージャーだった。
「気合入れて釣ってね」
「わかりました。それじゃあ」
 こうした話をしてだ。奈緒はだ。
 オレンジの救命胴衣を着てそのうえでだ。そのマリンブルーの海の中に釣り糸を垂らしたのである。こうして番組の企画がはじまった。
 暫くしてだ。早速だった。
 釣り糸に反応が来た。奈緒は笑顔で糸を戻しはじめた。
「まさか。もうですか?」
「そうかもね。きたかもね」
 マネージャーも言う。周りのスタッフ達も喜色を浮かべる。
「シーラカンスね」
「もう来るなんて運がいいですね」
「本当にね。とにかくね」
「はい、釣り上げてみます」
 こう話してだ。釣り糸を巻き続ける。
 するとだ。海の中から出て来たのは。
 その魚だった。手足の如き鰭を持っただ。その魚だった。雇った現地の漁師達がだ。その変わった形の魚を見て口々に言うのであった。
「ゴンベッサだ」
「ああ、ゴンベッサだ」
「ゴンベッサ?」
 その名前を聞いてきょとんとなる奈緒だった。その彼女にマネージャーが説明する。
「シーラカンスのことよ」
「それをそう呼ぶんですか」
「そうよ、現地ではね」
 即ちここではというのである。
「そう呼ぶのよ」
「成程、そうだったんですか」
「いや、本当に運がいいわね」
 マネージャーはその奈緒とシーラカンスを見ながら感心したようにして述べた
「もう釣るなんてね」
「ですよね。私もそう思います」
「ここまで運がいいとね」
 どうなのか。マネージャーは笑いながらこんなことも話した。
「あれね。また何か起こりそうね」
「何かっていいますと」
「例えば奈緒ちゃんが今言ってた」
 彼女の話を受けてだ。こう話すのだった。
「あれよ。恐竜が出たりとか」
「それがですか」
「実際にあったりとかね」
 笑いながらだ。こう話すのだった。
「それがあるかもね」
「そうですよね。ひょっとしたらね」
 奈緒もだ。マネージャーに対して笑って話すのだった。
「出て来るかも」
「そうよ。一体何が出て来るのかね」
「まあもう一匹釣れたら面白いですよね」
「確かにね。じゃあもう一度ね」
「はい、釣ってみます」
 その釣ったシーラカンスをだ。一旦水槽の中に入れた。
 
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