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とある異世界の交差物語(クロスオーバー)

作者:鉄龍王
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第36話 夜叉の姫、闇の守護騎士と対峙する

 
前書き
前回の話から2ヶ月近く…未だに話が進まない。ネタが思いつかない 

 

頭が(グレートデン)の怪人…法玄(ほうげん)が率いる謎の部隊が姿を消し、ユーノ達の周りは静寂に包まれた。しかし、それは長くは続かなかった


「さて……」

「「「「「!!」」」」」


最初に口を開いたのは黒髪の少女……リオンと呼ばれた少女だった。クロノを筆頭に全員がリオンに対して警戒するがユーノだけは違った。

(あれ?)

最初は気が動転してよく見ていなかったが、目の前の少女の姿にユーノはどこか懐かしさを感じていた。初対面のはずなのにユーノは初めてとは思えなかった

彼女の服装は全身を隠すような真っ黒なフード付きのコート。顔は隠す気がないのかそのフードを外していた。
肩まで届く黒髪のセミロング、空色の瞳、一切の汚れがない綺麗な白い肌を晒し、ユーノはそんな彼女に見惚れていた

だがユーノ以外のメンバーが目に付いたのはリオンが持つ武器だった。両手にはそれぞれ黄金と翡翠の輝きを放つ双剣。普通の日本刀より少々分厚い刃、大陸風のデザインで柄には太極図の紋様、その容姿はデバイスなのか本物の刀なのか現段階では判別がつかなかった。


「そんなに警戒しないでよ。私はただ、あの法玄(バカ)に用があっただけなんだから…」


「その言葉を聞いて『はい、わかりました』と言うと思ってるのか?さっきの連中もそうだが、君が何者かわからない以上、警戒を解かないのが普通だと思うが?」

クロノは自らのデバイス…S2Uを構えながらリオンの動きに警戒した。それに対してリオンはクスクス笑いながらも、隙を見せなかった

「ふふっ…そんなに怖がる事は無いでしょ?ボク」



「だっ!誰が怖がるか!!というか、僕は子供じゃない!!今年で14だ!!」

「え…?14?その身長(ナリ)で?」

「なんだその信じられないモノを見たような眼は!?」

「いや、私は今年で15だけどアンタは14でしょ?その歳でその身長って…なんか、ゴメン………」

「謝るな!そんな同情に満ちた視線を僕に向けるなぁ!!」

2人の話から察するように、クロノとリオンの身長差はリオンの方がクロノより頭一つ分高く、2人が並ぶと周りから姉弟ではないかと思われるほどの差があった。

そんな少々…いや、かなり失礼な物言いにいつもは冷静に対処できるクロノもブチ切れてしまい、若干涙目になりながら吠えた。天然なのか狙ってだったのか分からないが、クロノを弄り終えたリオンは話し始めた


「確かに私は法玄と同じ組織にいるけど、所属する部隊が違うだけよ?それだけしか言えないけどね?」

「だったら答えてもらおうか。君とさっきの犬が何者か…君たちが所属するという組織も…」

「答えると思う?」

「だったら力づくで答えてもらうだけだ」

クロノがS2Uを握る力を強め、リオンを睨み付ける。対するリオンは溜息を吐きながら1つだけ答えた

「しょうがない…それじゃ、1つだけ答えてあげる」

「何だ?」

「私はね…」

リオンとクロノとの間に途轍もない緊張感が漂い、なのは達はゴクリと息を呑んだが、それも長くは続かなかった。


「っ!!」

「ハアアアアアアアアァァァァァァッ!!!」

「くっ!」


リオンが己の頭上から殺気を感じ、即座に横に飛んだ。リオンの表情(カオイロ)は余裕に見えるが、若干冷や汗が流れていた


「ったく……私もあの法玄(バカ)を帰らせた時点でさっさと引き上げるべきだったかしらね……こんな強者に見つかるなんて…運がない。貴女はどう考えてるのかしら、お姉さん?」


「さてな……それは自分で考えるんだな…」

リオンと対立しているのは腰まで届いているピンク色の長髪をポニーテールにしている一人の剣士。威風堂々と言う言葉が似合うその剣士の体から溢れる闘気は炎を連想させ、同時に不倒を思わせるオーラをクロノを初めに管理局の魔導師メンバーは感じた。

何よりも一同の目を引いたのは、その瞳。相手の瞳の奥に強い意志と覚悟を宿し、それ以上に高潔な精神を写しているとリオンは理解した


リオンと剣士の睨み合いが続くが、リオンが先に口を開いた

「で?アンタは一体誰?いきなり問答無用に斬り掛かって来たって事は私のことを知ってるって事でしょ?」

リオンの問いに剣士が答える前にヴィータが叫んだ

「シグナム!お前、何でここに!?」

ヴィータの質問にシグナムはリオンから目を逸らさずに答えた

「お前からの定期連絡が来なかったから急いで飛んできたんだが、どうやら厄介な奴に目を付けられたようだな」

「ハ?」

「ヴィータ。この娘は最近噂になってるテロリスト殺しのテロリスト…“夜叉姫”だ」

「なっ!?」



“夜叉姫”という単語にヴィータが酷く反応し、クロノやユーノ、フェイトやアルフも声を出さないが目を大きく見開き、今まで以上にリオンに警戒を始めた。
しかし敵味方問わず、今いるメンバーの中で唯一の地球出身者であるなのはだけは何のことか分からず一言だけポツリと呟いた

「夜叉…姫?」

「あ~…その呼び名は好きじゃないんだよね。ま、いいや」

聞こえるか聞こえないか程のなのはの小さな声にリオンは反応し、頭を掻きながら簡単な名乗りを始めた

「それじゃ改めて名乗るわね?私はリオン…リオン・ネームレス。裏組織“ラスト・トレイター”の総指令をやってるお姉さんだよ。あとは“夜叉姫”って呼ばれているわね………余り好きじゃないけど」

リオンの名乗りは前半はとんでもない単語が混ざっているが、後半はスゴく不本意極まりないと言わんばかりの顔で宣言した

「らすと…とれいたー……?」

「そ、対テロリスト殲滅部隊……それが私たち“ラスト・トレイター”よ」

「???」

リオンの言葉にイマイチ理解できないのか、なのはが茫然と呟く。それを察したのかリオンが頭を掻きながら分かりやすく説明した

「う~~ん、なんて言えば分かるかな………まぁ分かり易く噛み砕いて説明するなら、“どうしようもない外道をブチのめすお仕置き軍団”って言えばいいかな?どうかなそこの全身真っ黒ボーイこと黒ボー?」

「何でそこで僕に聞いてくる!?ていうか誰が黒ボーだ!?」

「え?アンタの事に決まってんじゃん?“全身真っ黒ボーイ”、“全身黒まみれの坊や”。略して“黒ボー”。なんか赤い帽子を被った土管屋のオジサンが主役のゲームに登場する栗みたいな雑魚キャラをイメージしてみたんだけど?かわいいアダ名でしょ?」


「どぉこがだああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」


リオンのそんなふざけたセリフにキレたクロノの絶叫が海鳴の街を響かせたのは言うまでもない

「ゼィ、ゼィ、ゼィ、ゼィ………」

息をする暇もなくツッコミの連続で肩を大きく上下に動かしながら息をするクロノに対してリオンはというと…

「大丈夫、黒ボー?もう息絶え絶えだよ?」

「ゼィ、ゼィ…だ、誰のせいだと、ゼィ、ゼィ思って、るんだ……あと、黒ボー言うな……!」


自分が原因だと本気で気づいてないのか心配するリオンと息が絶え絶えのクロノ。リオンの言動はどうしても緊張感(シリアス)の空気を壊してしまい、乱入したシグナムもこの状況をどうすればいいのか動けなくなっていた。そんな何とも言えない空気の中、ヴィータがシグナムに声をかけた

「なぁシグナム…」

「なんだ?」

「こう言うのもなんだけど、あの女……本当にお前が警戒するほどのテロリストのリーダーなのか?」

「……すまん。私も自信がなくなって来た………」








「で?結局シグナム……さん?は何しに来たわけ?私も弟分たちの晩ご飯のオカズを買いに行きたいんだけど?ついでにこの何とも言えないこの微妙な空気をどうにかしてよ」

「すまんがそういう訳にはいかないな。お前があの“ラスト・トレイター”なら、我々の最大の障害になる可能性が極めて高い。故に………」

そう呟いたシグナムは腰に差していた長剣に手をかけて構え、そして…


「ここで退場してもらう!!!」


リオンに向かってその手に持っていた剣を振り下ろすが、当の本人は焦る様子もなく両手に持っている双剣のうちの一振りを上げながら弾いた。

「フッ…!」

しかも今のリオンの表情は余裕に満ちた顔だった。先程まで戦闘慣れしていないような態度とは思えないほどだった。

「っ!!」

対してシグナムは表情こそ表に出さないが背に冷たい汗を流していた。自分は間違いなく渾身の一撃を放ったはずなのに目の前の少女は難無く己が剣の一刀を捌いたのだ。再び剣を交えようと持つ手に力を加えるシグナムだったが、何とも言えぬ恐怖にその身を下がらせ、距離を置いたところでじっとリオンを睨むように見つめた。


『はぁ……はぁ……! な、なんだ?今のは……』

「へぇ、流石は闇の書守護騎士ヴォルケンリッターの将…いい勘してる。“剣の騎士”、“烈火の将”と呼ばれるだけあるわね。でも……」


そう呟いたリオンは両手に持つ双剣をまるで翼を大きく広げる鳥のように構え、一気にシグナムの懐まで駆け出し、目にも追えない速さで双剣の乱れ斬りで襲いかかる。

「すきだらけよ!!」

「ぐぅっ!!」

「ホラホラホラホラぁッ!!さっきまでの威勢はどこに行ったのかしらぁ!?烈火の将さん!まさかソレが全力とは言わないよねぇっ!?」

「くうぅっ!なめるな!」

「おっと!」

防戦一方のシグナムだったが、僅かな隙を狙って横薙ぎの一閃を走らせるが、リオンは即座に跳躍し、距離をとった。たった一度の戦闘でシグナムとリオンは完全ではないが、互いの力量を把握した。

そして歴戦の戦士であるヴィータもリオンの力量を察した故にある未来を予想した。




このままではシグナムが危ないと…





ヴィータとてシグナムと共に戦場を駆け、“鉄槌の騎士”と呼ばれた(つわもの)戦友(シグナム)が簡単に負けるとは思えないが、リオンは何か得体の知れない隠し玉を持ってるとヴィータの直感が最大の警報を挙げていた。いつものヴィータなら誇りある騎士の戦いに手を出さないが今回ばかりは誇りを優先することは出来ないため、加勢する為に前に出るがソレを予測してたのかリオンは大きく叫んだ





「アナタの行動はとっくに予測済みよ!闘兵衛!狂四郎!出番よ!!」

「はっ!!姫様!!」

「待ってたぜ(ねえ)さん!!」

また新たな声と共にビルの壁から粉砕する音、上空からは銃による発砲音を響かせながらシグナムとヴィータを襲った。シグナムは自身に迫る拳からギリギリ回避し、ヴィータは頭上から降り注ぐ銃弾の雨をバリアで防御し、何とかその場をしのいだ



姿を現すのは褐色の肌に短く刈りそろえた灰色の髪。紺色の袖無しの羽織を着纏った初老の巨漢。もう一人は12~13歳のようでリオンより幼い外見の白髪の少年。しかしその雰囲気は闘兵衛と呼ばれた巨漢に準ずる貫禄が出ていた。顔や両腕には戦いで受けたであろう多くの古傷が刻まれていた。そしてその少年の目は鋭く、幼い子供の目ではない。それは敵に喰らい付く獣のごとき目をしていた。

そんな獣の目を持つ白髪の少年……狂四郎は凶悪な笑みを浮かべながらリオンに語りかけた

「姐さん、今回の獲物は誰で、俺たちは誰を斬れば良い?」

そんな狂四郎の言葉に対して戒めるような厳格な声色で褐色の肌に短く刈りそろえた灰色の髪の巨漢…闘兵衛が語りかける

「落ち着け狂四郎。姫様、貴女の相手はあの剣士ですかな?」

「ええ、アチラはやる気満々みたいだからね。一対一なら例え“闇の書”の守護騎士……その将が相手でも時間をかければ勝てる相手よ。だから闘兵衛、狂四郎……貴方たちは管理局の魔導師たちの相手をしてちょうだい。あと少しで援軍が来るわ。それまで持ちこたえて頂戴」

「承知しました!!」

闘兵衛は拳を構え…

「よっしゃぁっ!!」

狂四郎は2丁のサブマシンガンを構えた

「それじゃあ……」

リオンは己が2振りの愛刀を握り締めなおした

「はじめましょうか……!!」


 
 

 
後書き
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