ロココの真実
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6部分:第六章
第六章
「慣れれば楽よ」
「そうですよね」
「私達もそうですし」
「格闘漫画は結構コツがありますから」
「コツを把握すれば」
「やっていけるのよ。けれどね」
だが、だ。今のロココものはだというのだ。
「今描いてるのはそうはいかないから」
「だから大変ですね」
「本当に」
「そうよ。どの服もみらびやかで」
みらびやか、即ちだった。
「描き込まないといけないから」
「ですよね。それが常ですから」
「この前のベッドなんかも凄かったですよね」
「天幕にお部屋の装飾もあって」
「CG使うにしても手間隙かけてですから」
作画がだ。尋常でないというのだ。
「時間かけて丁寧に描かないとしっくりいかないんですよね」
「それがロココものですよね」
「そうね。それがわかったわ」
カトリーナはいささかうんざりとした顔で述べた。
「洒落になってないわ。けれどね」
「けれど?」
「けれどっていいますと」
「そうした困難を乗り越えてこそ漫画家よ」
そうだとだ。カトリーナはうんざりとした感じになっていたその顔をすぐに前を見た笑みにしてだ。そのうえでアシスタント達に対して述べたのである。
「そうでしょ?漫画家は描いてこそだから」
「はい、そうですね」
「それはその通りですね」
「漫画家なら」
「だからやるわ。どっちの連載も最後まで描くわ」
放り捨てはしないというのだ。
「何があってもね」
「それも漫画家ならですね」
「それならばこそ、ですね」
「そうよ。漫画家、いえ作品を創る人間なら」
どうかというのだ。如何に困難な作品でもだ。
「一旦創りはじめたら絶対にね」
「完成させなければならないんですね」
「それこそ何があっても」
「そうよ。作品は絶対に完成させる」
強い声でだ。カトリーナは言う。
「それが義務なのよ」
「義務、ですか」
「それにもなるんですね」
「だからやるわよ。最後まで描いて」
今の連載を。二つ共だというのだ。
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