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ロックマンゼロ~救世主達~

作者:setuna
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第68話 ラグナロク・コア

 
前書き
ラグナロク・コアの元に。 

 
ゼロ達がラグナロクの中心部に転送されてからシエルは、ジッとモニターを見つめていた。

「ただいま~」

明るい声を出しながらアルエットと共に帰ってきたアリアに少しだけ緊張が解れたのか、シエルの表情に笑みが浮かぶ。

「お帰りなさい、ありがとうアリアさん…。アルエット、向こうはどうだったの?」

「うん、色々なお花が咲いてたんだよ!綺麗なお花がたくさんあって、“薔薇”って言う凄く綺麗なお花があったんだよ!!」

「薔薇?」

「でかい声じゃ言えないけどさ…あの拠点にいたイレギュラーは薔薇のようなレプリロイドだったらしいんだよ。植物のコントロールユニットとシグマウィルスが合体して生まれたイレギュラー…多分その影響じゃない?」

「成る程…」

アルエットに聞こえないように、アリアとシエルは会話をする。

子供の夢を壊さないようにの配慮だ。

アルエットから見て綺麗な薔薇がまさかイレギュラー発生の影響で発生した産物と言うのは言わない方が良いだろう。

「子供の夢をいかに壊さないようにするのって大切だよね~」

「あ…ははは…」

「シエルお姉ちゃんとアリアお姉ちゃんって似てるよね」

「え?」

アルエットの言葉にシエルは驚いて振り返る。

「ね?ルージュさん」

「はい、確かにアルエットさんの言う通り、シエルさんとアリアさんの外的特徴は似通っています」

「まあ、アルエットちゃんやルージュちゃんの言う通り、私やシエルちゃんの容姿は似通ってるねえ(一応、この体はシエルちゃんがベースなわけだから当たり前だけど)。」

「アルエット、変なこと言わないの。アリアさんが困るでしょう?」

「はあい」

「ふふ、私はシエルちゃんのお姉ちゃんでも構わないけど?寧ろシエルちゃんみたいな可愛い妹は大歓迎だよ♪」

「え?ええ?」

「おお♪照れてる照れてる。シエルちゃんってば可愛いねえ」

「もう、からかわないでアリアさん!!」

顔を紅潮させながら言っても、アリアには怖くも何ともない。

寧ろ逆に可愛らしいとさえ感じる。

「シエルちゃんは本当に可愛いねえ♪こんな可愛いシエルちゃんに想われてるなんて、ゼロ君は幸せ者だよ」

「だ、だから…」

シエルが何かを言う前にアリアはからかいの笑みを引っ込ませながら口を開いた。

「からかってないよ。本心から思ってる。シエルちゃん、誰だって自分の帰りを待っていてくれる人がいるのはとても嬉しいことなんだ。ルインちゃんとエックス君は当然として、あの無口なゼロ君だって凄く嬉しいに決まってる。それが大事な女の子からの言葉なら尚更だよ。」

「アリアさん…でも、ゼロはそういうの分からないと…」

「うん、それは分かるよ(何せ、“向こう”のゼロ君は分かりやすすぎる、アイリスちゃんやレイヤーちゃんの好意にすら気付かない超絶鈍感だったからね、基本的な部分は変わらないこっちのゼロ君も同じはず。でも、記憶喪失とコピーボディのおかげでゼロ君はロボット破壊プログラムのことで苦しまなくて済むし、ボディの性能は“向こう”より低いけど精神面で言えばこっちが安定してるかもね。精神的余裕がある分、シエルちゃんの気持ちに気付く余裕があるかもね)、でもさ…少なくてもゼロ君にとってシエルちゃんは“特別”なんだよ。それには自信を持っていいと思いまーす」

「特別…私が…でも、私はエックスみたいにゼロと付き合いが長い方じゃないし…」

自信なさそうなシエルにアリアは溜め息を吐く。

「付き合いの長さが絆の強さを決めるわけじゃないよ。」

過ごした時間の長さで人間とレプリロイドの全てが決まるわけではない。

唐突な出会いが人生を大きく変えることだってある。

シエルはどこかエックスに似ているところがある。

最初はゼロもエックスにシエルが似ていたから助けたと思うが、ネオ・アルカディア、エルピス、オメガ、バイルと言った脅威に対してシエルはゼロを支え続け、今ではエックスに続く二人目のゼロのパートナーだ。

「シエルちゃんはもっと自分に自信持っていいと思うなー。ゼロ君は必ずシエルちゃんの元に帰ってくるよ。どんな形でもね。私が保証するよ」

「…ありがとう、アリアさん」

そうして、モニターに再び目を遣ると、ラグナロク内部で復活したアインヘリヤル八闘士を苦闘の末に撃退し、ラグナロク・コアのある部屋に向かっていたのであった。

ゼロ達は復活したアインヘリヤル八闘士を撃退し、敵のメカニロイドやバリアントの攻撃を捌き、返り討ちにする。

「くっ!余計な時間を食っちゃったよ!!」

「喋る暇があるなら足を動かせ」

少しずつラグナロクの温度が上昇していくことにエックスが顔を顰める。

「(予想以上に落下スピードが速い…もしかしたら間に合わない…いや、間に合わせてみせる!!)」

落下を止められないのではないかとエックスは危惧するが、ゼロもルインも諦めてはいない。

ならば自分も最後の最後まで抗うだけだ。

「(ようやくここまで来たんだ!!やっと人間とレプリロイドが分かり合えるかもしれないんだ!!ここでエリア・ゼロを失うわけにはいかない!!)」

決意を胸に秘めながら、エックスはゼロとルインを追い掛ける。

重力コントロール装置が壊れたのかは分からないが、ラグナロク内は無重力となっていた。

そのおかげか、HXアーマーに換装したルインが二人を余裕で引っ張っていけた。

そして奥のシャッターを抉じ開け、通路の真上のシャッターから飛び出すと広い場所に出た。

そこには剣を思わせるラグナロクの動力、ラグナロク・コアがあった。

「これが…ラグナロク・コア…」

「ゼロ、急いで早く軌道修正を…」

「いや、待つんだ。ルイン、誰かいる…」

エックスの言葉にルインは足を止めた瞬間、聞き覚えのある声が室内に響き渡る。

「クーックックック…ようこそ、破滅のショーの特等席へ…!!」

「その声…Dr.バイルか…!!あのラグナロクの攻撃の中で生きていたのか…」

「クッハッハッハッハッ!!生きていた…?違うな…死ねなかったのだよ…!!」

「その顔は…!!」

バイルの顔を見た瞬間、ゼロ達は硬直した。

剥がれ落ちた皮膚の下にある物、それは人間にあるはずのないレプリロイドの金属部分である。

エックスは理由を知っているのか険しい表情を浮かべている。

「クックックックッ…この機械の体に驚いたかね…?それとも、儂がレプリロイドなら戦えると安心したか?残念だったな…これでも儂は人間なのだよ…こんな体でも…儂は人間なのだ…!!」

自分を何度も“人間”と言うところにバイルの人間としての尊厳を感じた。

「…何だと…?」

「エックス、どういうことなの?」

妖精戦争のその後のことを誰よりも知るエックスに尋ねるルイン。

エックスは少しの間を置いて、ルインの疑問に答える。

「………かつてのマザーエルフ…ダークエルフによるレプリロイドの支配とイレギュラーの抹殺…後に妖精戦争と呼ばれる争いを起こしたバイルは、妖精戦争が終わった直後に、当時の人間達の手で、ある改造を施されんだ。バイルの記憶の全てをプログラムデータに変換し…年老いたバイルの体と共に、肉体の再生機能を持ったそのアーマーに組み込んだ…。年を重ねて、バイルの体が傷つくとそのアーマーがすぐに再生させ、元通りにする代物なんだ。」

「そして戦争の後の、光も自然も何もない世界で死ぬことすら許されず…永遠に苦しみの中で生き続ける呪いをかけ…人間共は儂をネオ・アルカディアから追放したのだよ!!」

「………っ!!」

エックスとバイルの言うことが本当なら、そのことによって、バイルは人間なら確実に訪れるはずの死の安息すら許されず、永遠に生き続けなければならない無限地獄とも言える苦しみを与えられた。

そしてオメガと共に宇宙に追放された百年という永い年月はバイルの心の中に深い憎しみと狂気を孕ませていった。

「それで、こんな無駄に大規模な下らない作戦を考えたわけ?マザーエルフをダークエルフに改造して、オメガを使ってたくさんの犠牲を出しておいて…そして今度は人間達とレプリロイド達に復讐するために?」

「ふははははははははは…っ!!復讐などではない。この儂が人間やレプリロイド共に相応しい世界を築いてやると言ってるのだ!!正義だと!?自由だと!?下らん、実に下らん!!貴様らレプリロイドがこの地上で何をした!!機械人形の癖に自由を掲げ、遥か昔に戦争を始めたのは貴様らだろう!!貴様ら人間がこの儂に何をした!!正義などという言葉を吐き、この儂を追放したのは貴様らだろう!!ゼロ、エックス、そしてルイン。貴様らはそんなレプリロイド共を救おうというのか!?そんな人間共を守ろうというのか!?レプリロイドの支配など生温い…っ!!人間の抹殺など一瞬の苦しみでしかない…!!生かさず…!殺さず…!!儂と共に…永遠に…!!苦しみの歴史の中を歩き続けさせてやるのだ…っ!!!」

ラグナロク・コアがいきなり分離して、バイルの元に飛んでいき、合体する。

戦闘形態となったバイルがこちらを見下ろす。

「クヒャーッハッハッハッハッ!!この儂が教えてやろう…!愚か者共に逃げ場などないという事を!豚共の居場所は…この儂の元にしかないという事を!!このラグナロクを使ってなぁ!!!」

「それが…お前の理想か?」

「理想だと?戯れ言だ!!!」

ゼロ達のラグナロク・コアと合体したバイルとの戦いが始まる。

「…バイル!!」

「Dr.バイル!覚悟!!」

エックスとゼロがXバスターとバスターショットを構え、ルインはHXアーマーからZXアーマーに換装し、チャージを終えたZXセイバーを構えながら突撃した。

ゼロがバーニングショットを放ち、そしてエックスは人間であるバイルを攻撃することに少し躊躇したが、ダブルチャージショットを放った。

「ふはははははは…」

突如バイルの姿が掻き消えたことでチャージセイバーとダブルチャージショット、バーニングショットが外れてしまう。

「(ワープ…か…?)」

ゼロは辺りに気を配ってどんな攻撃にも対処出来るように、すぐに攻撃を繰り出せるように構えた瞬間、バイルが複数の分身と共に現れた。

「絶望せよ!恐怖せよ!!」

バイルが叫ぶのと同時にこちらに槍が降り注いでくる。

「くっ!!」

降り注いでくる槍にダッシュが出来なくなるが、即座にエックスがチャージショットを一発放って、槍を破壊する。

「ゼロ!行くよ!!」

ルインは勢い良くジャンプしてバイルに回転斬りを喰らわせ、バイルのアーマーを削る。

「はああっ!!」

ゼロもバイルに向けてチャージを終えたZセイバーを振り下ろし、チャージセイバーでバイルのアーマーに更に深い裂傷を負わせる。

エックスもストックしておいたもう一発のチャージショットを放ち、バイルに直撃させた。

ゼロとルインがセイバーで追撃を仕掛けようとしたが、バイルの姿が薄れ始めた。

「消えたっ!」

「どこだ…?」

「ふはははははは…喰らえい!!」

ルインとゼロが警戒して周囲を見渡し、次にバイルが姿を現した瞬間、三人に向けて酸弾を放ってきた。

「甘いよ!シャドウダッシュ!!」

即座にPXアーマーに換装し、シャドウダッシュで酸弾をかわしながらクナイを投擲した。

投擲したクナイは、バイルのアーマーに突き刺さるが、攻撃力が低いPXアーマーでは決定打にはならない。

エックスとゼロもルインに続こうとするが、再びバイルの姿が掻き消えた。

「チッ!!」

思わず舌打ちしてしまうゼロ。

ラグナロクの落下は今でも続いている。

時間稼ぎのつもりかと、流石のゼロも焦りが募る。

「……っ!そこだ!!」

僅かな空間の変化に気付いたエックスはそこに向かってダブルチャージショットを放った。

「ぬっ!?」

ダブルチャージショットを受けたバイルが仰け反る。

それを見たゼロがすぐさま床に刺さった槍、デスピアスを引き抜いてバイルに斬り掛かった。

デスピアスはバイルに一撃を入れると砕け散ったが、どうやらあれはかなりの威力を誇っていたらしくバイルも苦痛に表情を歪めた。

しかも自分の攻撃を利用された屈辱もあるはずだ。

「やりおるな…粛清だ!!」

バイルな大岩を出現させ、こちらに放ってくる。

「負けるかあっ!!」

ルインがZXバスターを構え、チャージショットで大岩を薙ぎ払うとゼロとエックスがセイバーとメガアックスでバイルに一撃を入れた。

「「たあっ!!」」

「ぐっ!温いわあっ!!蘇れ…我が下僕よおっ!!」

バイルが叫んだ次の瞬間、見覚えのあるレプリロイドが姿を現した。

ブレイジン・フリザード

チルドレ・イナラビッタ

ヘルバット・シルト

デスタンツ・マンティスク

キュービット・フォクスター

グラチャー・レ・カクタンク

ヴォルティール・ビブリーオ

トレテスタ・ケルベリアン

かつてゼロ達が戦った強敵、バイル八審官が出現しえゼロ達に攻撃を仕掛ける。

何発か攻撃が掠り、痛みにルインが顔を顰める。

「こいつら…実体があるの!?」

「ぐっ!?」

「チッ!!」

八審官の攻撃をかわし、ゼロは何とかバイルに攻撃しようとしたが出来なかった。

「ふははははははは…力をよこせっ!!」

バイルはすぐさま別の場所にワープし、緑の球体を出現させ、球体がバイルに着弾すると傷が癒されていく。

「回復か!!」

そうはさせないと言わんばかりに、ルインがセイバーを構えながら突撃したが、球体に阻まれてしまう。

「っ!!」

「ふはははははは!!!」

傷が癒えていくバイルを見て、ルインは意を決して突撃した。

球体がルインに当たり、アーマーの一部が弾け飛ぶが、構わずに突き進んだ。

「っ!?」

「てやあああああああっっっ!!!」

チャージセイバーでバイルに再び裂傷を刻み、エックスとゼロが同時にチャージショットを放った。

放たれた二発のチャージショットはバイルの傷口に吸い込まれるように炸裂した。

「ぐああああああっ!!……流石だな、英雄…っ!!」

傷口から爆発を起こし、その爆発は徐々に規模を増していき、ゼロ達は咄嗟に身を屈めた。

「う…っ」

爆発の影響で飛んでいた意識を取り戻して辺りを見回すと爆発によって外壁が吹っ飛び、宇宙空間が見えた。

「大丈夫かい…ルイン?」

アーマーが一部破損しているが、ダメージは大したことがないためルインは微笑む。

「大丈夫だよ、ただアーマーが破損しただけ、VAVAの時みたいに動力炉が破損したわけじゃないから」

「そうか…しかし、ラグナロクの落下が止まらない…」

「間に合わなかった……って言うの……?」

苦渋の表情を浮かべながらルインが呟いた時であった。

シエルから通信が届いたのは。

『…三人共、もう限界高度だわ…!これ以上落下スピードが上がったら、ゼロ達を地上に転送出来なくなってしまう…!お願い!戻ってきて!!』

バイルを倒しても、ラグナロクの落下は止まらない。

シエルはゼロ達の身を案じて戻るように言う。

「くそ…っ!!」

悔しさにエックスが拳を握り締めた瞬間、バイルの狂笑が響き渡った。

「クヒャーッハッハッハ…まだだ…まだ終わらんよ…!死ねん!この程度では死ねんのだぁ!!」

「…バイル…!!」

「あの…爆発で…死ねなかったって言うの!?」

「クーックックックックッ…クヒャーッハッハッハッハッ!!言っただろう!儂はこの程度では死ねんのだよ!!最早、ラグナロクの墜落は誰にも止められん!!」

『ゼ、ゼロ…!もう駄目…!戻ってきて!早く!!』

「…いや、まだ手はある…バイルごとコアを破壊さえすれば、ラグナロクは崩壊する…。バラバラになれば…大気圏との摩擦で全て燃え尽きるはずだ…!!」

「うん…もう、それしかないよね」

『そんな…ゼロ!そんな事をしたら…あなたやルイン達は…!!』

「クヒャーッハッハッハッ!!出来るかね!?貴様らにそんな真似が!!レプリロイド達の英雄である貴様らが!!人間を守る正義の味方が!!地上の人間を守るためにこの儂を…守るべき人間であるこの儂を倒そうというのか!!」

「……」

自分が人間であることを良いことに言いたい放題なバイル。

自分を“守るべき人間”と言うところに、バイルの傲慢さが窺えた。

次の瞬間、バイルに無数のコードが突き刺さる。

「どうだこの痛みは!貴様らに分かるかぁ!!」

コードが突き刺さり、バイルの体が光に包まれた瞬間、巨大な異形の姿となった。

恐らくはラグナロクと一体化したのだろう。

「俺は正義の味方でもなければ…自分を英雄と名乗った覚えもない…。俺はただ、自分が信じる者のために戦ってきた…俺は、悩まない。目の前に敵が現れたなら…叩き斬る…までだ!!」

「それから今のあなたを見て人間と思う人はいないだろうね。あなたは人間と言う名の、ただのイレギュラーだよ。イレギュラーハンターとしてイレギュラーは処分する。」

「バイル…永い時を経て、ようやく人間とレプリロイドが分かり合うことが出来るかもしれないんだ。あなたの私怨でそれを無にするつもりなら、僕はあなたを撃つ…!!(すみません、ライト博士…僕は禁を破ります)」

三人が武器を構えながら、バイルを睨み据える。

『ゼロ…ルイン…エックス…!!』

「…シエル…俺達を、俺を…信じろ!!」

『ゼローーーーー!!』

ゼロの名を叫ぶシエル。

ゼロとルイン達の無事を、生きて自分達のところに帰ってくる事を信じて。

「終わらぬ悪夢だ…!!」

最後の戦いが始まり、バイルの外殻に角のような物が出現した。

「消え失せろ!!」

下の角が開き、極太のレーザーが放たれた。

ゼロ達は咄嗟に回避して、バイルが納まっているコアにルインがチャージショットを放つ。

「甘いわ!!」

下の角が元の位置に戻り、角によってチャージショットが弾かれた。

「!?」

「遊んでやれ!!」

次の瞬間、何もない空間からメカニロイドが出現してゼロ達に迫る。

「チッ!!」

舌打ちしながらチャージセイバーで纏めてメカニロイドを粉砕した。

それを見たバイルは嘲笑を浮かべ、それにゼロが訝しげな表情を浮かべた時である。

「な…?」

いつの間にか、蜘蛛の巣を思わせるネットがゼロを捕らえていた。

「無様だな!!」

再び下の角が開き、コアにエネルギーがチャージされていく。

「ゼロ!!」

咄嗟にHXアーマーに換装して、エアダッシュしたのとバイルがレーザーを放ったのはほぼ同時であった。

ネットに捕らえられたゼロを救出したが、レーザーによって背部の二基のバーニアが蒸発した。

大型のバーニアを失ったルインは床に落下する。

「ダブルチャージショット!!!」

駆け寄りたい気持ちを必死に抑えながらエックスはバイルのコアにダブルチャージショットを浴びせる。

「この機械人形めがっ!!」

角から拡散酸弾が放たれ、エックスはそれを必死にかわすが、酸弾が肩に掠ってアーマーが溶解した。

「元はと言えば貴様がいたからだ!レプリロイド・アダム、エックス!!貴様さえいなければイレギュラー戦争など起こりはしなかったのだ!!バラバラに刻んでくれるわ!!!」

紫の球体を放ち、球体から刃が拡散され、エックスのアーマーに裂傷を刻む。

「うっ!?」

「エックス!!下がれ!!」

下の角が降りているうちにゼロがバスターからバーニングショットを放ち、コアに着弾と同時に爆発する。

「小賢しい!!」

再び拡散酸弾を繰り出すバイルに、ゼロはダブルジャンプを駆使して酸弾を回避する。

「これならどうかな!?」

飛行能力を失ったHXアーマーからFXアーマーに換装する。

そしてオーバードライブを発動して二丁のナックルバスターをバイルに向けて構えた。

「当たれぇえええっ!!!」

ナックルバスターのショットをバイルに向けて連射する。

すぐさま下の角を元の位置に戻すが、ルインはそれを読んでいたらしく、ショットは軌道を変えてバイルのコアに直撃した。

「ぐああああああっ!!?」

「エネルギーの続く限り撃ってやる!!」

エネルギーの残量など気にせずにショットを連射してバイルのコアに浴びせていく。

「舐めるな小娘え!!」

下の角に鋭利なトゲが生え、凄まじい勢いでルインに迫る。

避けられないと判断したルインはナックルバスターを盾にして、盾にしたナックルバスターは粉砕されたが、爆発によって距離を取ることには成功した。

「エックス、合わせろ!!」

「了解!ダブルチャージショット!!」

再びエックスがダブルチャージショットを放つ。

角を発射していたために、無防備なコアに直撃する。

「ぬうう!己、エックス!!」

「はあああっ!!」

ダブルチャージショットが炸裂した次の瞬間にゼロがチャージセイバーをコアに叩き込む。

ダブルチャージショットとチャージセイバーの三連撃を受けた僅かにコアに罅が入った。

「エックス!!」

「分かってる!!」

ルインはFXアーマーからLXアーマーに換装し、エックスと共に突撃する。

「いい気になるな!!」

バイルはコアから分裂弾を放つ。

弾速は遅いが、徐々に分裂していき、二人は逃げ場を失ってしまう。

「バーニングショット!!」

ゼロがバーニングショットを放ち、分裂弾の真ん中に穴を開ける。

エックスとルインはそれを見て、バスターとハルバードのチャージをする。

「フリージングドラゴン!!」

氷龍が繰り出され、バイルのコアに食らいつく。

コアの表面が極低温によって急激に冷やされていき、そしてエックスのバスターにランプフロートのバーナーが出現した。

「ランプバーナー!!」

火炎放射が極低温で冷やされたコアの表面を熱していき、そしてエックスがアックスを叩き込むとコアの表面が砕け散った。

「なっ!?ば、馬鹿な…コアのシールドが……まさか、温度差でシールドを脆くしたのか…!?」

「これで終わりだバイル…!!」

チャージを終えたセイバーを構えて、ゼロはバイルに突撃した。

「ま、待て!ゼロ!儂は人間だぞ!!レプリロイドの英雄である貴様が人間である儂を倒すと言うのか!?」

「さっきも言った。俺は英雄でも正義の味方でもない。ルインも言っていたが、俺にも貴様はただのイレギュラーにしか見えん。イレギュラーハンターとしてイレギュラーは狩るまでだ…!!」

「人形風情が!!」

再び下の角を発射したが、エックスがアックスでルインがセイバーで受け止めてゼロの盾となる。

「バイルを…倒すんだ…ゼロ!!」

「行っけぇえええっ!!!ゼローーーーッ!!」

「己ええええええっ!!」

絶叫しながら上の角から酸弾を放つ。

何発かゼロに当たり、アーマーの所々が溶解してもゼロは構わずにセイバーを振り下ろした。

「はあああああっ!!!!」

渾身のチャージセイバーがバイルに炸裂した。

「ぐがあああああっ!!!この儂が…人形如きに…!!滅べ!!滅んでしまえええええええっ!!!!」

死ぬ直前まで呪詛を吐き散らしながら、ラグナロク・コアと一体化したバイルは消滅した。

いくら不死身のバイルでもああなっては助かるまい。

戦いは…終わったのだ。 
 

 
後書き
バイル撃破。
次回最終話 
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