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戦国異伝

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第二百四十四話 屋島の合戦その十四

「もうすぐ夜じゃ」
「むっ、そういえば」
「戦が長引いてです」
「もうですな」
「夜ですな」
「それにまだ街が焼けておる」
 焼けている福原の街も見てだ、長政は言った。
「これではな」
「ここで下手に下りれば」
「街を焼いている火に巻き込まれる」
「だからですか」
「今は、ですな」
「今日はここで休んでじゃ」
 そして、というのだ。
「飯を食って寝るとしよう」
「では明日ですか」
「明日決戦ですか」
「そしてそのうえで」
「決着をつけますか」
「明日になれば街も焼け落ちておる」
 その福原の街が、というのだ。
「だからな」
「はい、その時に」
「明日に」
「攻めましょうぞ」
「それではな」
 こう話してだ、そしてだった。
 長政は今はこれ以上は動かなかった、倒れている傀儡達は放り捨てて敵味方の屍は葬ったうえでだ。焼けていく街を見下ろしながら。
 信長もその焼けている街を見てだ、自身が率いる軍勢に言った。
「今日はな」
「はい、これでですな」
「戦は終わりですな」
「もう夕刻ですし」
「そうじゃ、それでじゃ」
「今は、ですな」
「休み」
「明日じゃ」
 信長も言うのだった。
「よいな、では飯の用意じゃ」
「畏まりました」
 家臣達も頷いてだ、双方今はだった。
 焼ける街を挟んで海も含めて戦いを終えた。そうして明日のことを思いつつ今は休むのだった。


第二百四十四話   完


                      2015・9・17 
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