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ボカロ☆ロマンス

作者:nsk118mk
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第12話 元旦の来訪者

 
前書き
まさかのタイトル変更からの初更新です。かなりの急展開なので覚悟しててくださいな。笑 

 
ー大輝視点ー

…皆様あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

レン「…なに独り言呟いてるんですか。」
大輝「いやだってさ、新年になったってのによく考えれば一回も言ってなかったなぁと思ってさ。」
レン「アケオメコトヨロー」
大輝「…みんなそれで済ましちゃうからなぁ。」
レン「いいじゃないですか。ラクで。」
レン「それよりも、もうボール投げてもいいですか?」
レン「寒くて死にそうです。」
大輝「おう。どんな球でも来い‼️」

1月1日。つまり元旦。
今日は日本人のうち8割は休んでいるある意味日本最強の休日。本当ならリビングでソファーに寝転がりながらテレビでも観ていたかったところだったが、俺は何故か家の狭い庭でレンと野球をしていた。ちなみに俺がバッターでレンがピッチャー。
何故かと言う疑問系を使ったが理由は明白である。鍵がないのだ。ミク・リン・伽耶の女子チームは今、最寄りのデパートで主に福袋を手に入れる為のショッピングをしている。厄介なのはその女子チームで、先に俺とレンでスーパーに買い物に行っている最中に合鍵を何故か4つ全部持ってショッピングに向かってしまってたのである。つまり今、俺達には鍵がない。それに加えて今日は、今季最強の寒波の襲来によって恐ろしいほどの冷え込みを観測していた。よって何かをしなければ凍死する可能性があったのでスポーツをしているのである。ちなみに我が家にはグローブが1つしかない。

レン「じゃあ…はい。」ヒュン‼️

レンが大きく振りかぶって俺のストライクゾーンに向けて渾身のナックルボールを投げてくる…いや待て。確かに俺はどんな球でも打ち返すと言ったがあくまでストレートを想定したセリフであって、ナックルみたいな変化球を打ち返せるわけないだろ。まぁそんなツッコミと共に俺のバッティングは空を切る訳であって。

レン「あぁ…空振りですか。へぼ。」
大輝「…じょうがねぇだろ。プロじゃないんだから」

昨日1日でレンとはだいぶ仲良くなった。初対面だったけど、お互いに何か通じるところがあったのか不思議な距離感を保ってくうちになんだか打ち解けることができた。昔の俺ならありえなかったことだ。やっぱり、少し変わったのかな。だけど、レンは話していてかなり面白いと思う。普段は気だるそうにしているんだけど、さっきみたいに思いっきりの皮肉を言う時は生き生きとした表情になる。そのギャップが癖になるね。

剛太郎「そうか…さっき、から振ったのは大輝なんだね」
大輝「よぉ‼️剛太郎じゃん。アケオメコトヨロー。」
レン《結局自分も使うんだ…》

突然、我が家の庭に俺の親友である剛太郎が入ってきた。こいつもレンと似たタイプなんだよなぁ…ってアレ?何か怒ってる?

剛太郎「アケオメコトヨロー。」バゴォ‼️
大輝「いたぁ‼️」

剛太郎が突然殴ってきた。頭を。
剛太郎は俺を遥かに超える武術の達人なので、奴の拳打はかなりのダメージになる。
…やっぱり剛太郎は怒っているらしい。しかし、なぜなのか全く身に覚えがない。とりあえず理由を問いただしてみることにする。

大輝「…なんで殴ったの?」
剛太郎「さっき頭にナックルボールが飛んできた」
剛太郎「推測するに僕がこんなことになったのは無能なバッターが空ぶったからだと想定した訳であって。」
大輝「それでこの行動か。」

まぁだいたいの理由は理解した。ってか怖いよ剛太郎。さっきから妙に無表情なんだもの。それにもう一つ。打てない俺じゃなくてナックルなんか投げる奴が悪い。






剛太郎「はいこれ。」
大輝「あぁ…いつも悪いな。」
剛太郎「なに、うちの親父の勝手なお節介さ。」

剛太郎から白い発泡スチロールの箱を貰う。中身はわかっているので特に問いただしたりはしない。
剛太郎の家は実は有名な料亭である。この時期は市場がだいたい休みになってしまうため大量に材料を仕入れるらしいのだが、生鮮食品などは短い消費期限を前にどうしても余ってしまう。そこで、その余った食材をタダで毎年もらっているのである。余りと言っても主な問題は消費期限くらいなものであって今日中に食べてしまえば品質に変わりはない。有名な《しかも高級》料亭の食材をタダで分けて貰えるのだからこれを活かさない手はない。フフフ。




ー1時間後ー

剛太郎は俺たちに混ざって野球をしてその後帰った。あいつがまさかナックルを打ち返せるとはな。若干人見知りな感じがあったレンも剛太郎とはうまく打ち解けられたみたいで、楽しい一時だった。
さて、野球にも飽きて少し休憩をしていた時だった。我が家に…実際には我が家の庭に来訪者がやってきた。

「もしもし?那覇さんのお宅でしょうか」
大輝「はい、那覇ですけど。」
大津「ほうですか‼️」
大津「初めまして、アンドロイド研究所の《大津 誠》
と申します。」
大津「あんちゃんが那覇大輝君やね?」
大輝「はい。那覇大輝ですけど…」

来訪者は2人組だった。ひょろっとした若い関西系の男とピンク色の髪をしたナイスバディな女性…いや、

大輝「…巡音ルカ」
大津「お‼️あんちゃん物分りがいいなぁ。
せや、こいつは有名ボーカロイド《巡音ルカ》や。」
ルカ「…初めまして」

巡音ルカは俺に向かって深々とお辞儀をする。その姿に俺はなぜか恐怖を覚えた。確かに変わったとは言っても他人に対する恐怖はあるし、それが原因の一つではあるだろう。だが、それだけではない。まるで感情が感じられないのだ。感情があるアンドロイドの方が実は珍しいだけなのかもしれないが、今まで会ってきたボーカロイドたちには少なくともそれはあった。だからこそ巡音ルカに対して感じる恐怖とも違和感ともとれるそれは生まれたのだ。

大津「ほな、自己紹介を終えたところで本題に入ろか。」
大輝「本題?」

今までのラフな雰囲気は一転して、張り詰めた緊張が周りを包み込む。
大津はかなり怪しい男だった。身なりもお世辞にも綺麗とは言えなかったし、ずっとヘラヘラしていたからだ。だが、先ほど周りを制した緊張によって大津の怪しさは一瞬にして何処かへ消し飛んでしまった。

大津「わいら《アンドロイド研究所》は今、各地に散らばっている《ボーカロイドアンドロイド》を回収しているんや。」
大津「理由の方は勘弁な。」
大輝「つまり、ミクの回収にやって来た…という訳ですか。」
大津「ピンポーン、正解‼️」
大津「ほんまあんちゃんは物分り良くて助かるわ。」
大津「わいがこれまで会ってきた中には1日中説明せんとわからん奴とかおったからなぁ。」
大輝「…質問してもいいですか?」
大津「ええで。」
大輝「もし…貴方達にミクを預けたとしてミクはどうなるんですか?」
大津「…それは答えられん。トップシークレットや。」
大津「やけど考えてみ。あんちゃんの所にいて、果たしてこのままそのアンドロイドを上手に扱えるか?」
大津「わいらなら少なくとも、世界平和になら貢献できるんやけどな。」
大輝「…」
大津「安心せい。スクラップとかには絶対にせーへんから。」
大輝「…」
大津「…な?ええやろ?」

…俺は少し考えた。奴らの言うことが本当なら奴らにミクは預けるべきだろう。だが、引っかかることがある。いや、これは確信である。恐らく疑いようのない事実。ならば…

大輝「…本当に身勝手なんですけど。」
大輝「お断りします。」
大輝「貴方の言い回しからだとどうしてもミクを《人間の為の道具》にしか見ていないようにとれる。俺はそんな人の元にミクを預けたくはないんです。」

言いながら大津の顔や態度が変わっていくのがわかった。…大津の怒りが徐々に膨れ上がることが。

大津「あんちゃんならわかると思っとんたやけど無駄か。」
大津「ならあんたは邪魔や。力尽くで奪わせてもらう‼️」

大津は静かに、冷淡に言い放った。
そして、大津と俺のやり取りを無言で、無表情で聞いていた巡音ルカの背中を静かに叩いた。
次の瞬間には巡音ルカの回し蹴りが俺の腹に炸裂した。人間技ではない。そう断言できる程の速度だった。俺は咄嗟にガードしたが、あまりのパワーに両腕を木っ端微塵に粉砕されて10メートル以上も吹き飛ぶ。家のドアに衝突したが、そのドアを突き破って廊下のクローゼットに頭から突っ込んだ。俺はそのまま意識を失った。








ーレン視点ー

大輝さんが何やら客人と応対している間、俺は自分のスマホでラインを開いていた。リンから色々な画像が送られてきたからだ。未読のままでも既読無視をしてもリンは怒るので、俺は適当に返信する。

「ドッゴォォォォォォォン‼️」

もの凄い轟音がした。咄嗟に大輝さんの方を振り返ると大輝さんが巡音ルカの回し蹴りをくらって吹き飛ばされているところだった。俺はスマホをしまって大輝さんの方へと駆け寄る。嫌な予感がする。

大津「…‼️」
大津「鏡音レンやないか‼️久しぶりやなぁ‼️」
レン「…‼️」

やるしかない。やっぱり奴らだった。


…続く





 
 

 
後書き
突然のバトル展開です。すみません。 
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