転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1253話
一瞬、目の前に立っているプロスペクターが何を言ったのか分からなかった。
俺が異世界からやってきた存在だと知っている?
それをどこで掴んだ? 今までの俺とのやり取りでそれを理解する事が出来たのか?
いや、そんなドジを踏んだ覚えはない。
だとすれば、ブラフ?
そこまで考えつつ、それでも動揺で表情を動かさなかったのを、俺は誇ってもいいだろう。
「なーんて、そんな事があったらいいと思ったんですけどね。さすがにそれはないですか。すみませんね、妙な事を言って」
プロスペクターのその言葉に、内心で安堵する。
何だ、ブラフかだったのか。
実際、ゴートの方へと視線を向けるが、そっちでもプロスペクターが何を言っているのか理解出来ないといった表情を浮かべている。
こうして見ると、プロスペクターが突拍子もない事を言うのはそう珍しい話ではないのだろう。
「さ、お話を進めるにしても、立ってという訳にはいかないでしょう。会議室の椅子なのでそんなに座り心地は良くないかもしれませんが、座って下さい。すぐにお茶の用意をしますね」
そう告げると、俺の返事も聞かずにお茶の用意を始める。
日本だからなのか、それともネルガルが日系企業なのか分からないが、プロスペクターが出してきたのは緑茶だった。
お茶請けは豆大福。
「どうぞ、どうぞ。いいお茶っ葉を使っているので、私が淹れてもそれなりに美味しいと思いますから」
プロスペクターが俺の正面に座り、緑茶を飲む。
ゴートはそんなプロスペクターから離れた位置で護衛として立っていたが、羨ましそうな視線を緑茶に向けているのを見ると、実は緑茶が好きなのか?
「ふぅ……やっぱりこのお茶は美味しいですね。それにお茶請けの豆大福も……どうしました、アクセルさん。一応言っておきますけど、毒とかは入ってませんよ?」
そう告げてくるプロスペクターに、小さく肩を竦めて緑茶へと口を付ける。
……へぇ、言うだけあって確かに美味いな。
豆大福の方も、甘いけど過剰な甘さじゃない。
緑茶の渋みが丁度いい具合に口の中の甘さを洗い流してくれる。
「喜んで貰えたようで何よりです。……さて、お互いにリラックスしたところで交渉と行きましょうか。まず最初に、アクセルさんはこのナデシコのクルーとして雇われることに賛成して貰えますか?」
その言葉は嬉しい。
元々俺はこのナデシコで活動したいと思って、ここにやってきたのだから。
だが、それにしてもそこまで簡単に俺を信用してもいいのか?
いや、勿論色々と何か企んでいる事はあるんだろうが……
「……随分とあっさり俺を雇うとか言うんだな。自分で言うのもなんだが、俺みたいなあからさまに怪しい奴に」
「そこはそれ、私の勘もありますし……何より、私達は強力な戦力を必要としてしますから」
「それだけで、素性も知れない怪しい存在の俺を雇うと?」
「何せ、ミロンガ改でしたか。あの機体をネルガルが開発していた機体だと言ってしまいましたしね」
「それには感謝している。あのままだと連合軍が消滅していたからな。それは木星蜥蜴と戦っているお前達にしても、嬉しくはないだろ?」
「……連合軍を相手に、1人でどうにか出来るとでも?」
俺とプロスペクターの会話に言葉を挟んできたのは、ゴート。
元軍人と思われるだけに、俺の言葉を許容出来なかったってところか?
まぁ、確かに自分の古巣に対してあんな風に言われれば、その気持ちも分からないではないが……
「残念ながら事実だ。俺とミロンガ改が本気を出して戦った場合、連合軍ではどうにも対処出来ない。そもそも、木星蜥蜴如きにここまで押し込まれているんだぞ? そんな状況に陥った軍が相手に、俺が負ける筈がないだろ」
「……自信過剰も程々にした方がいい。確かにお前自身は俺から見ても信じられない程に強い。あのミロンガ改という機体も、先程の戦闘を見る限りでは連合軍の兵器は相手にならない程に強いんだろう。だが、それでも連合軍を相手にすればいずれエネルギーや弾薬が切れて動けなくなる。お前も体力の限界を迎えるだろう」
「さて、それはどうかな?」
確かにミロンガ改には実弾兵器がある。だが、基本的にな武器はビームマシンガンとビームサーベルだ。
機体のエネルギーも、ブラックホールエンジンを使っている以上は尽きる事はない。
更に俺も混沌精霊である以上、基本的に体力切れというのはないだろう。
まぁ、精神的な疲労はあるかもしれないが……いざとなればミロンガ改を空間倉庫に入れて、影のゲートで転移すればすぐに戦場を離脱出来るし。
「まぁまぁ、2人共その辺で。とにかくですが、先程も言ったようにミロンガ改をネルガルが開発したと言ってしまった以上、アクセルさんには出来ればナデシコに所属して欲しいのですが……勿論、相応の報酬は用意させて貰いますよ?」
そう言って表示した金額は……いや、この世界の通貨とか分からないから、具体的にどのくらいの金額なのかが分からない。
ぶっちゃけ、俺は食うに困らなければそれでいいんだけどな。
技術の方も色々と欲しいんだけど、それは簡単にどうにか出来るものじゃないから、後回しで。
それでも、全く未知の技術を使ったと思われるミロンガ改を……そして木星蜥蜴を単機で――囮としてテンカワがいたが――殲滅出来る戦力を雇おうというのだから、そこに表示されている金額はかなり大きいのだろう。
この世界は色々と発展しているせいで、身分証がなければ迂闊に宝石とかを売ったりも出来ないというのを考えると、金があるに越した事はない。
「そうだな、俺の方も今はちょっとした事情があってどこかに身を寄せたいと思っていたのは事実だ。それもあって、あの通信でお前が言った無茶苦茶な屁理屈に何も言わなかったんだから」
「ほう、では契約には乗り気と考えてもいいのですかな?」
「……幾つかの特例を認めてくれれば、引き受けてもいい」
その言葉に、緑茶のコップを握っていたプロスペクターの目の色が少しだけ変わる。
俺みたいな怪しい人間に特例なんか認めさせたくはないだろうから、当然だろうけど。
「特例、ですか? それが可能かどうかは別として、どのようなものか聞かせて貰っても?」
「まず、1つ。俺の機体……ミロンガ改を調べようとしない事。整備は俺の目の届く範囲内でなら許可する」
「……なるほど。他には?」
「これは1つ目に関係するんだが、ネルガルってのはこのナデシコという戦艦を作れるくらいなんだし、ミサイルの類も作れるんだろ?」
「それはまぁ、作れますが」
「なら、俺のミロンガ改が使うミサイルを融通して欲しい」
今のミロンガ改が装備しているのは、S-11ミサイルだ。
一応空間倉庫の中に幾つかの予備はあるが、出来ればミサイルは補給出来るようにしておきたい。
ビーム兵器と違って、実弾兵器はブラックホールエンジンがあっても無限に使えるって訳じゃないからな。
それにS-11ミサイルは恐らくこの世界にとってもオーバースペック……という可能性がある。
「ふむ、それに関してはそれ程難しい事ではないでしょうね」
「また、これも1つ目の件に関係するが、ミロンガ改はあくまでも俺の所有物として扱う事。どこぞの誰かの命令で勝手に機体を持って行かれては堪らないからな」
「……そうですか」
プロスペクターの表情に残念そうな表情が一瞬浮かぶ。
俺が言わないと、機体をどうにかしようとしていたのか? それとも、単純に何か別の理由があるのか。
「2つ目。もう分かっていると思うが、俺は色々と訳ありの身だ。それだけに、俺の過去を詮索するような真似をしない事」
もっとも、この世界に俺の情報がある筈もない。
もし俺の過去を見つけようとするのなら、それこそ次元を越える必要がある。
「それに関連し、新しい戸籍を作って貰いたい」
「ふむ、戸籍ですか? ですが今の戸籍はどうなっているので?」
「残念ながら、今の俺の戸籍は存在していないだろうな」
その言葉を口にした瞬間、プロスペクターの視線が鋭く俺の方へと向けられる。
何だ? まるで何かとんでもないようなものを見つけたような、そんな視線だが。
「すいませんが、アクセルさん。本当に戸籍がないのかどうかを調べさせて貰ってもいいですか?」
「うん? どうしても試したいっていうのなら、それは別に構わないが……時間が掛かるんじゃないのか?」
「いえいえ、そんな事はありません。すぐに済みますよ。それで、どうでしょう? 確認の意味も込めて……」
どうでしょうと言われてもな。
この世界に来たのが今日……いや、もう日が昇っていたから昨日か。ともあれ、そんな俺の情報が残っている筈はないんだし、それを調べても無意味だと思うだが。
ああ、でもプロスペクターはそれを知らないんだから、無理もないのか?
「分かった。時間が掛からないというのであれば、それで頼む」
「はい、ありがとうございます。……ルリさん、データの共有の方お願いしますね」
『はい』
その言葉と共に、突然空中に映像スクリーンが浮かび上がり、1人の少女の顔が映し出された。
……若い。いや、幼いな。霞と同い年か、下手をすれば年下じゃないか?
問題はそこじゃない。プロスペクターが呼び掛けた瞬間に反応があったって事は、つまりこの部屋は監視されていた訳か。
若干不愉快な気分にはなるが、そもそも向こうにしてみれば俺は完全な不審人物。
それを自分達の艦内に入れてるんだから、その程度の警戒は必要か。
にしても、改めて見るとやっぱり小さ過ぎる。
「この戦艦は、こんな子供までいるのか?」
『子供じゃありません、少女です』
何かこだわりがあるのか、即座に言い返してくる子供。……いや、本人曰く少女。
「ええ。彼女はホシノ・ルリさん。このナデシコの優秀なオペレーターです。……さて、ではアクセルさん。ちょっと舌を出して貰えますか?」
「……舌?」
「はい。もし本当にアクセルさんの戸籍がないのであれば、これではっきりとする筈ですから」
「まぁ、いいけど」
俺に拒む理由はないという事で、舌を出す。
その舌先に、何かのペンのような物を触れさせると……次の瞬間、部屋の中の明かりが点いたり消えたりを繰り返す。
いや、それどころではない。映像モニタに映し出されている向こう側……恐らくブリッジなのだろうが、向こうの方でも何やら騒ぎが起きているのだろう声が聞こえてきた。
「ルリさん!? 一体、何が!?」
『オモイカネ、落ち着いて……大丈夫、大丈夫だから』
そんな声が聞こえてきて、それから数分。ようやく部屋の明かりが普通になり、映像モニタの向こう側でも騒動が収まってきたのが分かる。
もっとも、このナデシコ全体での事を思えば、今の数分でどれだけの騒動が起きたのかは全く理解出来ないが。
さっきの様子から考えると、恐らく相当なものだった筈だ。
「……えっと、その、ルリさん?」
『少し待って下さい』
プロスペクターの言葉にルリと呼ばれた少女はそう答え……次の瞬間、幾つもの映像モニタが大量に俺の前に姿を現す。
そこに書かれているのは『不明』『アンノウン』『謎』『疑問』『怖い』といった言葉の数々。
他にも色々とあるが、取りあえずその手の言葉が幾つも並んでいる。
『……という事です』
「えっと、それはオモイカネのデータにもアクセルさんのデータは何もないという事でしょうか?」
『はい』
「つまり、彼の言っている戸籍がないというのは本当だと?」
『はい』
「過去に遡っても?」
『過去?』
「はい。100年程前ですが。本人そのものではなくても、似ているDNAデータとか」
何だ? 100年前とか、やけに具体的だな。
何か心当たりがあるとかか?
ともあれ、そんなプロスペクターの言葉はあっさりと否定される。
『いえ、そのような事は。似ているデータそのものが存在しません』
「そう、ですか。……分かりました。ありがとうございます、ルリさん」
『はい』
その言葉と共に通信が切れる。
「さて、今回の場合はどう考えていいのやら」
「いや、それは俺が聞きたいんだけどな。そもそも、100年前ってのは妙に具体的だが、何か心当たりがあるのか?」
「そういう訳ではありませんよ。ただ、そのくらい昔ならアクセルさんのご先祖様でも見つかるのではないかと思いまして。……少し話は逸れましたが、アクセルさんの要望は分かりました。さすがにその辺は私の独断で決める事は出来ませんので、本社の方に連絡して判断を待つ事になるかと」
「その間、俺はどうなる?」
「暫くナデシコに留まって貰う事になると思います。それに、もしアクセルさんがナデシコに所属するのでしたら、ミロンガ改でしたか。あの機体を出撃させる時にどうするかを考えないといけませんし。出撃する度に毎回荷物搬入口を展開するというのは難しいですから」
まぁ、それは納得出来る。
荷物搬入口を展開するという事は、このナデシコに限らず弱点を剥き出しにするようなものだ。
多くの敵がいる状況で、毎回そんな真似をしろというのは……幾らこのナデシコが高性能戦艦であろうとも、色々と無理があるだろう。
こちらとしても、出来れば格納庫からすぐに出撃出来るようになっているのに越した事はない。
まぁ、今からそれをどうにかするってのはかなり難しそうな気がしないでもないが。
「では、アクセルさんがこちらに要望する条件は他にありませんね? これからナデシコは一旦地下ドッグに戻ってアクセルさんの件を検討する事になると思いますから、もう暫くお待ち下さい」
さて、これからどうなるのやら。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1188
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