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戦国異伝

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第二百四十四話 屋島の合戦その六

「よいな」
「はい、海でも戦がはじまっています」
「敵は攻めてきています」
「しかし、ですな」
「それでも」
「そうじゃ、攻める」
 まさにというのだ。
「明や南蛮の者達を使ってな」
「ではあの者達を動かします」
「やはり海はあの者達ですな」
「あの者達を前に出して」
「そして戦いますな」
「海で勝ってじゃ」
 そこの戦で、というのだ。
「そのうえでな」
「はい、さらにですな」
「海から陸の織田信長を狙う」
「そうしてでもですな」
「攻めまするな」
「そうせよ」
 こう言うのだった。
「よいな」
「では」
 津々木が老人に応えた。
「これよりです」
「御主が水軍に行くか」
「そうしてきます」
「では何かあればじゃ」
 また言った老人だった。
「わかっておるな」
「はい、妖術をですな」
「海でも使え」
 その妖術をというのだ。
「わかったな」
「そうしてきます」
「ではな」
「畏まりました」
 こうしてだった、津々木は影の様にだった。本陣から消えてだった。そしてそのうえで水軍の旗艦に移って采配にあたった。
「ならず者達を前に出すのじゃ」
「明や南蛮の」
「他の国の海賊達をですな」
「前に出して、ですな」
「あの者達を戦わせますか」
「そうせよ」
 こう命ずるのだった。
「よいな」
「はい、では」
「あの者達を前に出します」
「やはり海の戦は海賊ですな」
「あの者達ですな」
「そうじゃ、だからじゃ」
 それでというのだ。
「あの者達を前に出せ」
「では」
「その様にします」
「ここは」
「よし、それではな」
 津々木は水軍を率いる者達の言葉に頷いてだ、そしてだった。
 明や南蛮の海賊達を前に出した、そのうえで攻撃をしようとした。 
 しかしだ、九鬼は夜の中その動きをを見て言った。
「異国の船達が来たな」
「はい、ですな」
「今度はです」
「明や南蛮の者達が]
九鬼の周りの脇坂や高山、村上達が応えた。
「では、ですな」
「まずは、ですか」
「あの者達をですか」
「鉄甲船をより多く前に出すのじゃ」
 これが九鬼の采配だった。
「そしてじゃ」
「その大砲で、ですな」
「鉄甲船の大砲で」
「敵を撃ちますか」
「そうせよ」
 まさにというのだ。
「ではよいな」
「これまでは二隻でしたが」
「どれだけ出されますか」
「ここは」
「あるだけじゃ」
 これが九鬼の采配だった。 
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