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機動戦士ガンダム0091宇宙の念

作者:むらたく
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宇宙編
月決戦編
  第25話 始まる戦い、変わる心

「うん…ぅう?」
重たい瞼を上げ、体を伸ばす。
「4時間…寝たか…」
あの戦闘から2日…
いよいよ月決戦の日。
既に配置も決定し、あとは出撃を待つのみだ。
「俺は自分の意思を貫く…」
ノーマルスーツに着替えていると、連絡用の艦内通信機が鳴った。
「はい、もしもし」
「フーバーか、ブリーフィングルームで作戦会議だ、来い。」
グラン大尉の声だった。
「はい、了解です」
素っ気なく切り、ため息を吐く。
「やれやれ、朝飯抜きは体に悪いぜ」

ブリーフィングルーム
「やはり、全員認識していると思うが、我が艦隊と月防衛隊の戦力差は歴然、真っ向勝負なら玉砕必至だ」
薄く嗄れ、しかし威厳のある艦長の声が部屋に響く。
「しかし、これを見てくれ」
モニターに映し出されたのは…
「これは、月都市の防衛設備とMSカタパルト、それに補給用の小規模基地か…」
「そう、我々の偵察部隊がキャッチした情報だ」
モニターを指しながら話は続く。
「これを見ればわかると思うが、奴らの防衛設備には〝穴″がある」
「穴だって?」
一瞬、周囲がざわめく。
「うむ。例えばここ」
艦長が、月面の砲台の横を指す。
「このポイントは、砲台も少なく、MSカタパルトもない。
よってこのポイントに上陸、制圧して、補給用の小規模基地を頂く。」
「なるほど、そうすりゃ、継戦能力の差は埋まるってわけか」
「その通り。しかもここは外域がデブリの暗礁宙域だ。シャア総帥の艦隊も気づかれにくい為、援軍の到達も用意ということになる。」
「よって我が艦隊はこのポイントの制圧を最優先、その後此処を起点とした部隊を展開し、月都市を制圧する!」

「ねぇ、フーバー」
「ん?」
「この作戦、成功するよね」
不安そうな顔を浮かべるアイラ。
「大丈夫だよ、きっと成功するさ。だから…」
「死ぬなよ、絶対に。死んだら何にもならないんだからな…」
それは、フーバーの心から出た本意の言葉だった。
「うん、でも。フーバーも絶対生き残るんだよ?」
「ああ、もちろんだ」
しかし、これは嘘。

悪いな、アイラ。
前に、戦いを終わらせる為に戦うと言ったけど、あの人の言葉を聞いて何が正しいのかわからんなくなった。
だからさ。
だから俺は、この命を失っても、散っていった仲間の思念を継いで戦うと決めたんだ。
だから…

フーバーの心は、揺らぐことない強い思念を持っていた。

 
 

 
後書き
次回に続きます! 
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