moon light fantasy
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帰るかカエルか?
「ここからどうする?」
フォルツはそう言ってヒカルを見る。するとヒカルはチラリと城の方を見る。城は西洋風の城とも言うべき印象の立派な城だ。
「とりあえず城の中に入ってみないか?何か手掛かりがありそうだし。」
「……。そうだな。」
そうして中庭から俺達は城の中へと入ろうとすると。城内へと続くドアからいきなり何かが飛び出してきた。
「「⁉︎」」
2人はとっさに身構えるとそこにいたのは……。
「はあ、はあ……。やっと出られましたね……。」
「なんとかね!」
そこに出てきたのはルスティグとクローバーの2人だった。2人は慌てて後ろを見てふーと息を整える。それを見てヒカルも慌てて声をかける。
「2人とも!」
「ヒカルさん!それにフォルツさん!どうしてここに⁉︎」
「いろいろあってな……。助けに来た。」
「そうですか……。」
「それにしてもどうしたんだ?」
それを聞いてルスティグとクローバーは交互に説明し始めた。
「えっと……。確か食堂でアリスさん昼食を食べてたところまでは覚えているんですが……。」
「その後なんかコーンって言う音がして。気がついたらフローラとアリスとルスティグと一緒に牢屋の中に……。」
「それで出ようとしたらアリスさんの『暴風雨の矢』で牢屋は簡単に突破出来たんですが……。」
そう言ってルスティグはチラリとヒカルとフォルツを見ると申し訳ない顔をして。
「すみません……。フローラさんとアリスさんは追手から俺達を逃がすために囮になって……。」
「⁉︎」
ルスティグはそう言って申し訳ない表情で再び2人を見る。
するとヒカルとフォルツはなんとか冷静さを装いながら質問する。
「それで……。フローラがどこに行ったか分かるか?」
「それは……。」
どうやらルスティグは分からないらしく項垂れてしまった。それを見ていきなり猫の影がポンと出てきた。ニナだ。
「フォルツなら分かるんじゃない?」
「俺が分かるのはアリスの場所だけだ。」
「どういう事だ?」
ヒカルはそれを聞いて不思議そうに尋ねる。
「ああ……。俺とアリスはヴァンパイアの花嫁としての契約がある。それを逆利用して位置を特定する。」
「……。ヴァンパイアという話は置いておいて。それをすれば……。」
「場所は分かる。その代わり……暴走するかもしれない。」
「暴走?」
ヒカルは不思議そうに尋ねるとフォルツははあとため息を吐く。
「簡単に言えばヴァンパイアとしての本能がでて見境なく女の血を吸いに行くかもしれない……。お前の彼女……。フローラにも危険が及ぶ可能性がある。だから……。クローバー。頼みがある。」
「?」
「少しだけ血を吸わせて欲しい。指からの切り口ならヴァンパイアの花嫁にはならない。
頼む。この通りだ。」
そう言ってクローバーに頭を下げるフォルツ。それを見てクローバーは少し考えて意を決した様に。
「……分かったよ。あの2人がいなくなったのに少し責任があるし。」
「……。すまない。
……。行くぞ!ニナ!」
「待ってました!」
そう言ってフォルツの頭の上にニナが座るとヴァンパイア化するあの言葉を叫んだ。
「「トランス‼︎フォルツ・レープリカ‼︎」」
するとフォルツに眩い光が包み込み、フォルツとニナ2人の合体……。トランスが行われた。
「……さて、囚われのお姫様の居場所は……。」
「……。」
「この城の真ん中……か。なんだ結構簡単に分かるな。」
真っ赤なヴァンパイアの瞳を輝きさせながらフォルツはそう言うと。
「……くっ⁉︎」
フォルツのトランスが解除され、ニナが慌ててクローバーの所に飛び出す。
「クローバーちゃん!急いで!フォルツに血を!」
「うん!」
そう言ってナイフで指に傷を付けフォルツに血を垂らす。するとその血をフォルツは半分だけ目を真っ赤にして血を飲む。
「……。ホントにキツイ。」
「ヴァンパイアになっちゃえばそんな事に悩まなくなるよ?」
「ニナ……。黙れ。」
そう言ってフォルツは真っ赤な目を徐々に普通の目に戻しながら立ち上がるとヒカルに話しかける。
「……さあ。行こう。ヒカル。」
「お前身体は大丈夫なのか?」
「半ヴァンパイアをなめるな。こんぐらい大丈夫だ。」
そうしてヒカルはルスティグとクローバーを見て。
「2人はこの先にある光る柱に入ってくれ。それで元の世界に戻れる。」
「「わかりました!」」
「……気を付けろよ。」
珍しくそう言ってフォルツは『夢幻剣』で片手剣を取り出すとヒカルに渡す。そして自分はいつもの大剣を取り出す。
「剣ないだろ?使え。」
「ああ、サンキュー。」
そうしてヒカルとフォルツは城を睨みつけ。
「「行くぞ‼︎」」
城へとその一歩踏み出した。
「侵入者だ!ゲコ!」
「捕らえろ!ゲコ!」
城の中心部へ向かおうとするとそれを阻もうとするのはカエルの兵士。ゲコゲコ言いながら俺達を捉えようとするが……。
「邪魔なんだよ……。どけ!」
殺気立ったヒカルの前にカエルはまるで解剖されるかの様にリズミカルに切り倒されて行く。
「退け……!」
そうしてヒカルはまるで鬼神の如き荒技でカエルの兵士を倒す。それについていくフォルツ。
「俺……。必要なくないか?」
「必要ないね。彼1人で十分だね。」
そうしてあっと言う間に城の中心部へと到着した。
後書き
この題名を付けた時1人で大爆笑した。
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