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魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~

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Epico?決意は頑張りの源

 
前書き
決意は頑張りの源/意:何をしたいか、何のためか、目標を持ち、決意を堅くすれば、何事にも頑張れて、必ず良い結果が出るというたとえ。 

 
†††Sideフェイト†††

なのはが目を覚ましてから早半年と経過した今日は6月29日。あの日から今日までの間にいろいろな事が起きた。神器回収はもちろん、学校行事だと5年生の終業式、6年生の始業式。日常だとなのはのお願いもあって、2月のルシルとアイリ、4月のリイン、6月のはやてのバースデーパーティ、豆まきやバレンタイン、雛祭り、花見など、別の部屋で催した。
そして今日は、とても長かった入院生活が終わる・・・なのはの退院日だ。退院をお祝いするために私たちチーム海鳴とユーノ、そしてなのはのご家族が病室に訪れている。母さんやクロノ、エイミィも来たがっていたけど残念ながら仕事の都合で、通信での士郎さん達への退院祝いをするだけになった。

「よいしょっと♪」

なのはが自分の足でベッドから降りて、1歩2歩としっかりとした足取りで歩いて見せた。すると「なのは!」のお父さんの士郎さんやお母さんの桃子さんがなのはを抱きしめた。お兄さんの恭也さんも「良かった!」なのはの頭を撫でて、お姉さんの美由希さんも「うぅ、良かったよ~!」流す涙を袖で拭い続ける。

「お父さん、お母さん。みんなが見てるからちょっと恥ずかしいかも・・・」

「何が恥ずかしいものか」

「そうよ。お母さん達やお友達に心配を掛けさせた罰よ♪」

士郎さん達も私たちと同じように時間があればチーム海鳴の誰か、もしくはユーノに連絡を入れてなのはのお見舞いに来ていた。今となってはスカラボのドクターやシスターズ達ともお茶飲み仲間になってたりするんだよね。しかもウーノ、ドゥーエ、クアットロは桃子さんのことを、師匠、って呼ぶようになった。それに恭也さんは、トーレやチンクと魔法やスキル一切無しの純粋な戦闘を交えて、御神流に興味を持たれて少し困ってた。

「荷物は俺が持つから」

「ありがとう、お兄ちゃん。それじゃあ、みんなも一緒にスカラボに行こうか」

私たち子供組はこれから学校で、シグナムたち騎士は武装隊や医務局の仕事。だからここで一旦の別れだ。病室、そして医務局を出ると、なのはが「ユーノ君。ヴィータちゃん、シグナムさん、シャマル先生、ザフィーラ、リイン、アイリ。今日はありがとうございました」顔を出してくれたことに対してユーノ達にお辞儀。士郎さん達も「ありがとうございました」お辞儀した。

「ううん。気にしないで、なのは。士郎さん達も」

「いえ。友の祝いの日ですので」

「それじゃあ、なのはちゃん。完治したと言っても病み上がりには違いないから無茶はしないようにね」

「そういうこった。あたしもお前とはまた同じ空を飛びてぇかんな。だから今はまだ大人しくしてろよな」

「はいです!」

「アイリはなのはのことも好きだからね♪」

「にゃはは♪ ありがとう、アイリ、みんなも」

そして私たちは海鳴市に戻るためにスカラボへ向かい、仕事に向かうシグナム達と別れた。なのはと士郎さん達が楽しそうに話しているのを、私たちは一歩下がったところで見守る。なのはがああしてちゃんと歩けるようになるまで、半年以上もかかった。
毎日毎日、リハビリを頑張って、1週間ちょっと前にようやく自力歩行が出来るようになった。その間、学校には通わなかった。すべてをリハビリに時間を割くために。授業は先生から出される課題を提出するって形で進めた。そんな賢明な努力のおかげで、なのはは本当に半年で快復した。

「それにしても良かったね、なのは。来月は臨海学校じゃない。夏休みが終われば修学旅行だし。みんなと一緒に行けて本当に良かったじゃん」

「うんっ! それだけはみんなと一緒に行きたかったから♪」

それは前々から話していたことだ。去年は林間学校があって、最終学年である6年生の一大イベントは、臨海学校と修学旅行の2つ。そのどちらももうすぐそこまで迫って来ている。だからなのはも、その2大イベントのためにリハビリを頑張った。って、なのは自身が言っていたし。

「今日は臨海学校の班決めがあるよ!」

「そうなのアリシアちゃん? だったらなのはも、みんなも遅刻は出来ないわね」

「ねえねえ。その班って、何人一組なの?」

「4人1組です。とりあえず、チーム海鳴を2組に分けようかなってみんなで決めたよね?」

「となると・・・、ん? 学校に通うチーム海鳴は8人か。唯一の男の子のルシル君もその中に入るのかい?」

「もしかしてなのはと同じ班だったりするのかい? いや、別に気になるわけではないよ? ルシル君も、それにユーノ君やクロノ君と言った男の子たちはみんな誠実で、女の子たちを本当に大事に思ってくれている。だから信用も信頼もしているんだ。でもやっぱりね・・・」

「ルシル君。うちの旦那と恭也のお馬鹿発言はスルーして良いからね♪」

「お父さんが親馬鹿で、恭ちゃんはシスコンだから♪」

「親馬鹿で何が悪い!」

「俺は別にシスコンじゃないぞ・・・!」

「もう・・・恥ずかしい・・・」

士郎さん達が思うままに喋るからなのはが顔を赤くして俯いた。そしてルシルは「あはは。俺はさすがに男子班ですよ」そう言って笑った。本当はルシルも一緒に班に入れようって、アリシアやシャルやはやて、もちろん私たちも考えていたけど、ルシルの男友達がそれを拒んだ。

――やっぱ男は男でつるんだ方が面白いって!――

――そうそう! ぼく達のルシルを女子には渡さないぞー!――

――お、おおー!――

特にルシルと親しい武塔 亮介くん、比佐津 天守(あまもり)くん、真神 護くんの3人がルシルを離さそうとしなかった。それにルシルだってやっぱり同じ男の子と馬鹿騒ぎをやっている方が面白いかもってことで、私たちはルシルを諦めることにしたんだ。

(シャルはやっぱり納得してないんだけど・・・。去年の林間学校でも男子たちと対立しちゃってたし)

それから臨海学校でのイベントがどんなものかを話しながら私たちはスカラボに到着。出迎えてくれたのは「なのは様。退院おめでとう」ウーノと、「もう帰るのかい?」チンクだ。恭也さんはよく絡んで来るトーレが居ないことを確認して人知れずホッとしてた。

「ウーノさん、チンクさん。長い間、お世話になりました。高町家の代表として、お礼を言わせてください」

「いいえ。なのは様には我われ管理局も大変助けて頂いておりますので、これくらいは何ともありません。ですからお顔を上げてください、士郎様。・・・チンク、皆さんを奥へ」

「ああ。ではこちらへどうぞ」

チンクに続いて私たちは海鳴市のそれぞれの自宅への直通転送を行えるトランスポータールームに入って、まずは「みんな。また学校でね」なのは達が転送される。次に「遅刻するんじゃないわよ」アリサ、「お先にごめんね」すずか、家が学校から遠い2人が転送される。

「次は・・・」

「フェイトちゃん達でええよ♪」

「ああ。シャルとアリシアは身支度に時間を掛けそうだしな。フェイトも巻き込まれて遅刻してしまったら大変だ」

「そんなことないもん」

「でもアリシアって、髪を結ぶ位置に30分くらい掛けるからな~」

「う゛っ! で、でもシャルだって結びもしないのに髪の手入れに時間かけるくせに・・・」

「乙女の髪の手入れが必要な時間よ!」

額を打ちつけ合いながら「むぅ~!」唸り合い始めたから、「あーもう、ストップ、ストップ」私が間に割って入る。正直どっちもどっちだったりする。それ以前に「2人とも。すでに髪型のセットは終わってるでしょ」本局に来る前に髪の毛を整えている。だからこんな無駄な言い争いはホントに無駄なんだよね。私はアリシアとシャルの手を引っ張ってトランスポーターに入る。

「それじゃあ、はやて、ルシル。また後でね」

「うんっ!」「ああ」

はやて達と手を振り合って、そして私たちは海鳴市の自宅へ転送。留守番のアルフに「ただいまー!」挨拶して、「ほらほら、学校に行く用意をするよ~」アリシアとシャルの背中を叩く。

「は~い」「ん~」

シャルは自分の部屋へ、そしてアリシアは私と一緒に私たち2人の部屋へ向かう。私たち2人に与えられたそれぞれのクローゼットの前で局の制服を脱いで、代わりに学校の制服へと着替える。この制服を着られる期間も1年を切った。胸のリボンを結びながら、これまでの事を振り返っていると、「フェイトー。着替え終わった~?」アリシアに声を掛けられた。

「終わったよ」

振り返ると私と同じように学校の制服を着たアリシアが居て、「えっへん!」仁王立ちのポーズを取った。そんなアリシアに「胸のリボン、ちょっと歪んでる」そう指摘しながら、「ちょっとジッとしてて」私がリボンを結び直してあげる。

「ありがとフェイト♪」

「うんっ」

勉強デスクの横に掛けられてる鞄を手に取って部屋を出て、「シャル~?」の部屋に向かう途中、洗面所から「髪の乱れな~し♪ リボンもきっちりむ~すんだ♪ 笑顔も~良し♪」朝の日課って感じになっちゃってたりするシャルの鼻歌が聞こえてきた。

「シャル?」

「おお、フェイト、アリシア。わたしも準備OK♪」

「うん。じゃあ・・・。アルフ! そろそろ行くね!」

家の掃除をしてくれているアルフに声を掛けると、「あいよ!」エプロン姿のアルフが玄関まで見送りに来てくれた。私たちは「いってきます!」挨拶したら、「いってらっしゃい!」アルフは大手を振って見送ってくれた。
そして通学バスの停留所にまで歩いて、停車した通学バスに乗り込む。一番後ろの席には「にゃはは。ちょっとぶりだね♪」なのはが笑顔を浮かべて、小さく手を振ってくれていた。その光景に私の鼻の奥がツンとして泣きそうになった。

(あぁ、本当に久しぶり。なのはとこうして通学バスの中で逢える日なんて・・・)

感極まっていると「~~~~っ、なのは!」シャルがバス内を駆けて、座席に座っているなのはの腰に抱きついた。なのはは「にゃはは♪」自分の太腿に乗せたシャルの頭を優しく撫でた。私たちも「ちょっとぶり、なのは」のところへ移動して、なのはの右隣に私、その隣にアリシア、そしてシャルはなのはの左隣に座って寄り添った。

「なんか久しぶりに制服の袖に通しての登校だから、ちょっとドキドキしてるよ」

「かれこれ半年以上も入院していたからね~」

「クラスのみんな、なのはが戻って来るのを待ち望んでいるから不安も心配も要らないよ」

私たち4組は他のクラスに負けないくらいに仲が良い。去年の運動会だって逆転で1位を獲れたし。だから半年なんて時間があるほど、みんなはなのはの復帰を強く願ってくれている。そのためにビデオメールや寄せ書き、千羽鶴だって、進んで取ってくれたお見舞い方法なんだから。

「うん、そうだね。大丈夫だ」

次の停留所で「おはよう♪」はやてと、「おお。なのはが居る。やっぱりこうでないとな」ルシルが乗車。シャルが窓側に詰めて、アリシアの隣にはやて、反対側の窓側にルシルが座った。アリサとすずかは今日、自家用車で登校するって言っていたから、2人とは学校で合流することになる。
そして通学バスは学校に到着。他の生徒たちみんなが降りた後で私たちも降りて、校舎内に上がるために上靴に履き替える場所、昇降口・靴箱へ。そこで「なのはさん!」4組の委員長・木花 咲耶が、なのはに気付いた。シャル命名のドリルポニーテール(螺旋状の巻き髪だからドリルだって)がみょんって揺れた。

「おはよう、咲耶ちゃん。久しぶりだね」

「ごきげんよう、なのはさん。ええ、本当にお久しぶりです。元気そうでなによりです。はやてさん、ルシル君、シャルさん、フェイトさん、アリシアさんも、ごきげんよう」

スカートの裾を摘み上げてお辞儀した咲耶に「おはよう!」挨拶を返して、一緒に教室へ向かう。廊下を歩いていると、「あ、高町さん!」とか「おはよう!」とか「治って良かったね!」とか「久しぶり!」とか、なのはの復帰を喜んでくれる子たちが挨拶していく。なのはも「おはよう!」や「ありがとう!」って笑顔で応えていく。

「やっぱりなのはは人気者ね♪」

「にゃはは。嬉しいような恥ずかしいような・・・」

「ここは嬉しいと思うところだよ♪」

アリシアがなのはの右腕に抱き付いて笑った。私も「うん。私もそう思う」アリシアに同意する。誰かに親しまれるのは良いことだ。それがいつかきっと財産になる・・・って、母さんが言ってた。お金じゃ買えない、友達っていう財産にって。

「では、なのはさん。教室に到着です。おそらくたくさんの祝福を貰うでしょうから、どうぞ驚かれることなく」

「・・・うんっ!」

私たち4組の教室前に到着。咲耶がそう言ってなのはに微笑みかけた。なのはは後ろに控えている私たちを一瞥した後、「おはよう!」大きな挨拶をしながら教室の中に入っていくと、「なのはさん!」「高町さん!」すでに教室に居たクラスメイトから歓声が上がった。

†††Sideフェイト⇒アリシア†††

なのはの退院祝いで体育の授業がまるまる潰れて、今は2限目の学級会(ホームルーム)。この時間で、来月・・・と言っても2週間後ってすぐなんだけど、去年の林間学校に次ぐ野外授業の1つ、臨海学校での班を決めることになってる。

「それじゃ、とりあえず好きなように自分たちで決めてみて~!」

担任の矢川先生が黒板に1班、2班、3班って書いていって、わたし達の名前が書かれたマグネットを黒板に張り付けてく。それじゃあ早速「しゅ~ご~!」わたしは人差し指を立てて、フェイト達に集まるように号令を掛ける。

「ま、やっぱこのメンバーがしっくりするわよね」

「きっと修学旅行でもこの班になっちゃうよね。嬉しいし楽しいから良いけど♪」

アリサがわたしのところに集まったメンバーを見て苦笑して、すずかはまったく様変わりしない集まりだって言っても、それが良いって笑ってくれる。わたし達チーム海鳴の中の良さはこのクラスだけじゃなくて別のクラスでも有名だったりする。
そして、その中で唯一の男の子、ルシルへの評判もなかなか。男女関係なく人気もあるけど、やっぱりわたし達カワイイ女の子の中でたった1人の男の子ってこともあって嫉妬を受けることもしばしば。けど、親しくなれば嫉妬から友情に変わる。

(だからルシルは、うちのクラスの男子の輪の中心に居ることが出来るんだよね・・・)

わたし達とは違うところに出来てる男の子の集まり、その中で一番目立ってるのはルシルだ。一緒の班になろうって、他の男の子たちから誘われてる。だけど、特に仲の良い男友達の赤髪の亮介、金髪の天守、茶髪の護の3人が「すでに先約があるんだよな。な?」って、ルシルの肩に腕を回した。

「ずっりぃ! 俺だってルシルを班に入れたいって!」

「僕たちの班にも欲しい!」

「俺の班にもだよ!」

正しく引っ張りだこ。ルシルの両腕や後ろ髪が四方八方から引っ張られて、「おーい。髪は引っ張るな~」ルシルは困惑気味。たぶん一番強い目的は、ルシルの料理の腕だって思う。去年の林間学校で、夕食は各班の自作カレーってことになったことでルシルが本気を出した。その結果、同じ班や味見しに来たクラスメイトの舌を唸らせた。臨海学校でもお昼ご飯の時にカレー作りがあるし。たぶんそれで・・・。

「ルシルも一緒が良かったのに・・・」

「しゃあなしやよ、シャルちゃん。ルシル君を班に入れるのは諦めようって、みんなで決めたやろ? ルシル君も男友達の付き合いがあるんよ。ルシル君の事を想うんなら、広い心で全てを受け入れることや」

ルシルの様子にシャルが頬を膨らませた。そんなシャルに対して、そう返したはやての大人な発言にわたし達は「おお・・・!」拍手。シャルは「それはそうだけどさ~」解ってはいるって感じだけど納得はしてないっぽい。

「わたしもルシルがやる事には寛大に見守るつもりだけど・・・。でも限度ってあるじゃない? たとえば、ルシルはわたし達の誰もが知らない女の子とデートなんかして、そっちを選んだらどうなの? 受け入れる?」

「う゛っ・・・。そ、それは極論すぎや。ルシル君はそんな適当な男の子やあらへんし、真剣にわたしらのことを考えて、決着をつけてくれるはずや。そやけど、もしそれが現実に起こって、わたしらが選ばれんかったんやったら、・・・そん時は素直に受け入れるつもりや。まぁ、完全に納得するまでは時間が掛かるやろうけどな・・・」

もし、そうなっちゃった時のことを想像したのははやては悲しそうな苦笑いを浮かべた。ここで「そんな仮定、考えるまでもなくアイツがそんな器用な真似しないでしょ」アリサが、ルシルは新しい恋人候補を作らないって断言した。するとフェイトやなのは、すずかも同意見だって頷いた。わたしだって「ルシルの誠実さは確かだもんね」って同意。

「わたしのたとえが悪かったのは認めるよ。わたしだってルシルが真面目だってことは解ってるから、この話題はもうやめ! で、それでもやっぱりルシルと一緒に班になりたいわけなの!」

「う~ん・・・、シャルちゃんの気持ちも解るけど、ここはやっぱり女の子だけの班にしよう? ほら、他の班もキッチリ男女に分かれてるし、ここでルシル君だけ私たちと同じ班にしちゃうと、ルシル君がちょっと可哀想かも・・・」

なのはにそう言われちゃったシャルは「判った。諦めるよ」ルシルのことをようやく諦めた。そんなルシルは今、「えーい! ジャンケンだ、もうジャンケンで決めろ、お前ら!」って怒って、ルシル争奪戦の決着方法を自分に群がるクラスの男の子たちに提示。教室内に「ジャンケン!」掛け声が拡がる。
あっちはあっちで大変そうだけど、わたし達の班決めもまたそろそろ始めないとだよ。各班4人だけど、わたし達は7人。ということは、チーム海鳴以外のメンバーを入れないといけないわけで。

「とりあえず8人目を探さないとダメだね」

「4組の人数は32だから、ちょうどの人数で4人1組が8班できるはずなんだけど・・・」

なのはとフェイトに続いてわたし達も周囲を見回して、まだ班が決まってない誰かを探してみる。そして、ある女の子が他の女の子の世話をしてたことで、未だに班が決まっていないのが判った。その子も、黒板に張られた名前マグネットが次々と班分けされていくのを見て、「あ・・・!」ようやく自分の班が決まっていないことに気付いた。

「おーい、咲耶ちゃ~ん!」

はやてが余ってる女の子――咲耶に向かって手を振った。心配なのはアリサと咲耶の仲の悪さってことなんだけど、「しょうがないわね。ほら、咲耶、来なさい」アリサが手招きした。咲耶は少し考えた後、「・・・。お世話になりますわ」わたし達の側に来た。

「それじゃあ・・・8人揃ったし、2つの班に分かれよっか」

「ジャンケンで良いんじゃないかな?」

咲耶とは知らない仲じゃないし、わたしは咲耶と同じ班になっても良いから、すずかのジャンケン案に「さんせ~!」する。

「咲耶はどうかな?」

「わたくしもジャンケンで構いません」

というわけで、「グーとパーで分かれましょ!」グーパーで2組に分かれることにした。その結果・・・

「えっと、わたしアリシアと、なのはとアリサと咲耶」

「私すずかと、シャルちゃんとフェイトちゃんとはやてちゃん、だね」

とまぁ、こんな班分けに決まったわけで。アリサは「ま、よろしく頼むわよ」そう言って咲耶に右手を差し出すと、「そうですわね。1泊2日お世話になりますわ」咲耶はその手を取って握手した。

『今回の臨海学校で、本当に仲が良くなってくれると良いんだけどね』

『あー、うん。林間学校の時は、アリサと咲耶はあんまり関わらなかったからね』

『去年の運動会でも、2人で大玉転がしをやって、その結果反発して最下位だったし』

『今回の臨海学校でもう少し仲良くなってくれると嬉しいな』

『なんか企ててみる? 2人が仲良くなる計画とか?』

『そうだね。スイカ割りとか肝試しとかあるし、それを利用するのも面白かもしれへんね』

班決めの後に臨海学校のしおりを使ってイベントを確認する時間があるし、アリサとルシル以外のわたし達で念話を使って相談してみようか。とりあえず班も決まったことだし、黒板のところに行こう。ぞろぞろとみんなで黒板の前に行って、それぞれ自分の名前が書かれたマグネットを手に取る。

「お? はやて達も班が決まったか」

「うん。ルシル君のところも決まったようでなによりや」

ルシルは自分や班員の分のマグネットを手に取って、4班のところに4人のマグネットを貼り付けてく。班員はやっぱり「亮介くんと天守くんと護くんなんだね」ってすずかが言うと、椅子に座ってルシル争奪戦に勝ったことを喜んでる3人をチラッと見たルシルは「アイツら、強運だよな~」って苦笑い。

「そっちはどうなんだ?」

ルシルからの問いに、わたし達は7班と8班のところにマグネットを張るっていう形で答えた。7班のわたし、なのは、アリサ、咲耶。8班のフェイト、すずか、シャル、はやて。それを見たルシルは『アリサと咲耶が同じ班かぁ~。ま、フォローをしてあげてくれ』って念話を送ってきた。

『もちろんやよ。な? みんな』

『『『『『うん!』』』』』

『ああ、そうだな、始めから心配はいらないな。じゃ、お互いに楽しい臨海学校にしような』

それからわたし達はそれぞれの班のリーダーを決めたり、臨海学校で行われるイベントの諸注意なんかを聴いて、当日に向けて胸を躍らせた。
 
 

 
後書き
グ・モロン。グ・デイ。グ・アフドン。
久々に日常編である臨海学校編、その前編をお送りしました。必要な日常編は投稿します、って話でしたが、正直この臨海学校、・・・エピソードⅣにおいてのほんの1シーンのみの為のものなんですよね。ほんのちょろっと、ちょろっと! でも、ここで書いておかないとその1シーンの時・・・

ん? いつ咲耶たちは○○○したんだ?

と、読者の皆さんが?マークを連発するでしょうから、臨海学校編を後回しにすることなく書くことにしました。
ちなみに修学旅行編は後回しです。ひたすら京都・奈良の観光地を回るっていうだけのツマらん話なので。もう書かなくても良いくらいですな。
そういうわけで、臨海学校編の後で神器回収編2連続、ラスボス戦、卒業式、エピソードⅣへ突入・・・というスケジュールで行きます。
 
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