役職?召喚魔術師ですがなにか?
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エルフ…良いっ
「改めて、助けていただき…ありがとうございます」
場所は変わって【豊嬢の女主人】。
俺が助けたパーティー、アストレア・ファミリアは、戸惑いながらも案内に応じてくれた。
手分けして魔石やドロップ品を広い集め、地上へと上がった。
勿論門を通る際は姿を消したが。
「いや、あそこに落ちたのは偶然だったし…まぁ改めて覚悟出来たから良かったと思うよ」
「覚悟、ですか…?」
訝しげに聞いてくるエルフの少女、リュー・リオンさん。
まぁモンスター召喚したわけだからそれなりに問題を抱えていると思われるんだろう。
「怪物と戦う覚悟。嘗めてたんだよ、怪物と戦うことに。
まぁあの斧の一撃は痛かったけど、授業料だと思って得したもんさ」
エールと呼ばれる飲み物を口に運び、一息つく。
「ダンジョンに潜るのは初めてだったんですか?」
「まぁ、ここに来たのは1カ月程前だけど、ダンジョンに入ったのは今日が初めてだね」
「それなのに、あんな…」
無茶をさせることになってしまった、と。リオンさんは呟く。
そんなに気にしなくても良いんだけどな…。
「後日、改めて皆でお礼にうかがいます。
宜しければファミリアを教えていただけますか?」
おっと…ここで聞かれるか。
「えーっと…あはははは…」
「?もしや、大平に公言できないファミリアでしたか?」
「ああいや、そう言う訳じゃ無いんだ。
ただその…入ってないんだ」
「……入って…ない?」
「ああ。悉くフラれまくってな。
「弱いやつは要らねぇ」だとか「金を持ってきたら考えてやる」だとか…ああ、水をかけられたこともあったな」
「………では、あの召喚魔法は」
「あれは…まぁ俺の故郷の魔法でな。
数々の魔物を使役して、厄災等を防ぐことを生業とした民族だったのさ」
「そんな民族が…」
滅んだけど。
「まぁ使役できるのは俺だけだったし、今ではもう俺しか居ない」
「それは……」
「ああ。俺以外全てが滅んだ。…滅ぼされた、だな」
「…すみません」
「いやいや、別に謝らなくても…。
それに、あの場所に俺の居場所はなかったし。辛いなんてのは魔物達がいたから気にしてなかったしな」
「そうですか」
そうして暫く無言になる。
エールもいつの間にか無くなっており、新しく注文しようにも空気がそうさせてくれない。
「もし、もし宜しければアストレア・ファミリアに…」
「へ?」
「……いえ、今日はありがとうございました」
そう言って席をたつリオンさん。
何かやっちゃった感じがして気まずい。
そして無言のまま店を出ていった。
「…何かやっちゃったかな?」
一人の越された席で、そう呟くしかなかった。
翌日。
「我が主がお呼びだ。着いてきて貰おう」
朝っぱらから俺のまえに厳ついおっさんが現れてそう言って来た。
「取り合えず、アンタ誰?」
「【猛者】オッタル…レベル7だ」
いや、名前言われても困るんだけど。
「で、着いてこいって話だけど…断るよ。
俺、これから忙しいんだ。ギルドに直談判しにいくんだ」
「お前の都合は関係ない。
俺はお前を連れていく。拒否権はない」
こんなガチムチな人に言われてもグッと来ない…。
つーか何でこんな連れていこうとすんの?俺、何もやってないんだけど。
「それでも断る。人の都合を考えない愚か者は顔洗って頭洗って心を綺麗にしてから出直してきてくれ」
「……仕方あるまい」
「わか―――」
直後、俺の目の前に俺の頭程の拳が止まっていた。
「―――ってくれないね?まぁ、引き下がるとは思わなかったけど」
「…障壁か」
「行きなり殴ることはないんじゃないかねぇ?」
オッタルが放った拳は俺が昨日から展開しているスピリットバリアが防いでいた。
俺自身がモンスターの役割を担っているため、常時展開中だ。
「まぁアンタから攻撃したんだ。悪く思うなよ」
「っ―――!」
「罠、強制脱出装置」
「何だこれは!?な、が、ぐおぉぉ………」
「おお、飛んでったな…」
オッタルはいきなり現れた椅子に固定され、ジェット噴射する椅子とともにでっかい塔へと飛んでいった。
「…さて、行くか」
こうして俺はギルドと呼ばれる場所へと歩いていくのだった。
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