ロックマンゼロ~救世主達~
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第49話 目指す未来
前書き
一方サイバー空間。
この作品でハチャメチャ女神様初降臨。
一方、サイバー空間ではバイルの居場所を探っていたエックスだが、時折意識が霞んでいくの感じていた。
「っ…」
とうとう限界が来たのか、サイバー空間で膝をつくエックス。
この場にファントムがいなくて良かったと思う。
因みにファントムは“彼ら”の様子を見守らせながらエックスとは別の場所を探らせてもらっている。
少し離れた場所でサイバー空間の闇に紛れている存在が今にも消えてしまいそうなエックスを見つめていた。
「ふむふむ…あれが“この世界”のエックス君か…“向こう”のルインちゃん達に構ってたから、まさかもうここまで“物語”が進んでたなんて思わなかったな…」
少しだけ苦笑しながらエックスの元にこっそりと忍び寄って、エックスの肩に触れた。
「え…?」
淡い光がエックスを包み込み、霞んでいた意識が覚醒し、エックスはサイバーエルフとしての力が元に戻っていくのを感じた。
「これで大丈夫。もうしばらくは無理をしていても大丈夫なはずだよ」
「あ、あなたは…」
意識がハッキリと戻ったエックスが後ろを振り返ると神々しいオーラを纏った女性がいた。
「に、人間…?いや、違う…?」
見た目からして人間の女性に見えるが、彼女が纏うオーラがそれを否定させた。
第一、人間がサイバー空間にいられるわけがないからだ。
「ピンポンピンポーン☆私はこの世界を含めた沢山の世界を見守る女神様なのだ~」
「は、はあ…?」
自分を女神と言い切る女性にエックスは少し引いてしまったが、同時納得もしていた。
普通なら人間がいられるはずもないサイバー空間にいられることや、サイバーエルフとして力を枯渇しかけていたエックスを救うなど生半可な存在に出来るはずがないからだ。
何よりも現在も“彼ら”の様子を見ながらバイルの居場所を別の場所で探っていてもエックスに意識を向けているであろうファントムが気付いていないことなど有り得ないのだ。
「あなたが、本当に神様なら…何故このサイバー空間に?」
「うおう?エックス君、普通に信じてくれた。“向こう”のゼロ君やレプリロイドになる前のルインちゃんは最初は信じてくれなかったのになぁ」
「“向こう”の…ゼロ…?それにレプリロイドになる前のルインって…どういうことですか?」
「まあ、簡単に説明すると。人間だったルインちゃんをレプリロイドに生まれ変わらせたのは私。“向こう”のゼロ君というのは、この世界とは違う未来を歩んでいるゼロ君なのだ。」
「つまり、あなたはルインの製作者…と言うことですか?」
「製作者って…言えるかな~?どちらかというと本来死ぬ運命じゃなかった人間時代のあの子を“ルイン”として生まれ変わらせただけだし。」
「は、はあ…」
女神の説明によれば、本来死ぬはずではなかった生命体は特別に別の存在として生まれ変わらせて新たな人生を送ることが出来るらしい。
それを聞いたエックスはまさか“ルイン”になる前の彼女がレプリロイドに生まれ変わった挙げ句、再び死ぬことになるとは夢にも思わなかっただろうなと思う。
「あの、女神様」
「ん~?何かなエックス君?この女神様は答えられる問題ならいくらでも答えるよ。あ、でもこの先の未来はどうなるのかなんて質問は抜きだけど」
「分かっています。未来は自分自身の力で掴み取る物ですから…。僕が聞きたいのは、“向こう”の世界…この世界とは違う未来を歩んでいる世界のことを教えてくれませんか?」
「ん~、普通ならパラレルワールドのことを教えるのはちょっとばかし問題あるんだけど…“向こう”の世界に構いすぎて、こっちのルインちゃん達のサポートを疎かにしちゃったから…謝罪も含めて教えてあげる。ちょっと失礼~」
女神の手がエックスの額のクリスタルに触れると、手から光が溢れ出し、パラレルワールドの情報がエックスの頭の中に入り込んでくる。
ルインがVAVAとの戦いで死んでから、ドップラー博士の反乱までは殆ど同じだ。
しかしレプリフォース大戦以前に女神が介入してから、エックスが知る未来から変わり始めた。
ルインの復活。
アイリスの生存。
全く見たことのないルナというレプリロイドの存在。
ディザイアの暴走。
ゼロのオリジナルボディの封印。
ナイトメアウィルス事件の首謀者であるゲイトの生存。
そこからはエックスが全く知らない未来が広がっていた。
恐らくは今と同じ時間軸であるはずの“向こう”の世界では妖精戦争は起きておらず、ルインもゼロもいる。
他にも生きているかつての仲間達が自身と共に穏やかに笑っている。
短い時間で自分の中に流れ込んだ大量の情報に眩暈を感じ、エックスはよろめいた。
「おっと、大丈夫?エックス君?」
よろめいたエックスの体を女神が支えた。
「あ、はい…少し…混乱してます…」
こちらと“向こう”の世界の未来の違いに一瞬だけ羨ましいと感じたが、こちらの世界での戦いを経て、今の自分があるのだということを思い出し、エックスは再び女神に視線を遣る。
「“向こう”の世界のエックス君が羨ましい?」
「羨ましくないと言えば嘘になります…。」
こちらと“向こう”のあまりにも違いすぎる未来に“向こう”の世界を羨ましいと思ってしまうのは無理もないだろう。
「でも…ああいう明るい未来も創れたんだと分かって嬉しかったです。」
「そっかそっか」
「同時に目標も出来ました。“向こう”の世界と同じくらい…いえ、それ以上の未来を創りたいと思います」
「うんうん、そういうプラス思考は私も大好きだよ~。でも、エックス君。確かに私は君の力を復活させたけど、ボディがない今の状態では遠からず消えてしまう。バイルがネオ・アルカディアを支配したことでエックス君の新しいボディを造られる可能性は皆無に等しい」
「そ、それは…」
女神の言うことは正しい。
本来オリジナルボディの代わりであったコピーエックスのボディを造ったネオ・アルカディアの設備が無ければ新たなボディなど夢のまた夢だろう。
「サイバー空間を出ずに外の世界に干渉しないでいれば君は長生き出来る。でも、君の性格上、それは出来ないよね?」
「………」
「エックス君、君はどういう未来を創りたいのか教えて?」
「僕は…人間とレプリロイドが平等に手を繋ぎ合わせられる未来を…ルインとゼロと一緒に創りたい…。ルインと一緒に…生きていたい」
「そう…合格だよ☆エックス君。」
「え?」
満面の笑みを浮かべる女神にエックスは目を見開く。
「もし、自分を犠牲にしてでも~なんてほざいたらひっ叩いてたとこだよ。よし、この女神様に任せなさい」
「え?」
「ようするにボディが無いからエックス君が消えそうになってるわけだから、新しいボディを用意してエックス君のサイバーエルフをそれにぶち込んじゃえばいいの♪」
「新しいボディ…!?そ、そんなこと…出来るんですか!?」
女神の言葉にエックスは思わず彼女に詰め寄ってしまった。
エックスの表情を見た女神は悪戯が成功した子供のような笑顔を浮かべた。
「勿論♪私を誰だと思ってるの?ある時は完全無欠の至高の女神様にして、“向こう”では稀代の超天才科学者、アリア・グランスと恐れられた存在だよ。」
パチンと指を鳴らすと、何もない空間からレプリロイドのボディが出現した。
蒼いレプリロイド…蒼いボディに、紅いクリスタルが反射するヘッドパーツ。
そして目を閉ざした顔は、コピーエックスのボディとは違い、かつてエルピスに破壊されたオリジナルエックスのボディそのものであった。
「っ…」
思わず息を飲んでしまった。
失われたボディの代用品が目の前にあることを信じられず、これから自分のボディとなる物をジッと見つめた。
見た目はかつてのボディと同じだが、少し触れるとすぐに分かる。
「中身は…まだ、未完成ですね…」
「わおっ、流石エックス君。鋭いねえ!!うん、エックス君の内部構造は凄い複雑でね。ライト博士の技術が神の領域なもんだから最初から完全再現は出来ないんだ。だから、完全再現まで時間がかかるけど、いいかな?長くてもエックス君が消えないうちには完成するからさ」
「構いません!是非、お願いします!!」
喜色を浮かべながらエックスは女神の手を取りながら言う。
「わおっ、エックス君ったら大胆だね~」
「え?あ…す、すいません」
「ふふ…いいよいいよ。エックス君…新しいボディが完成するまで、頑張ってね」
「…はい」
女神から与えられることになった新しいボディに、エックスの目に希望が戻るのであった。
後書き
オリジナルエックスには4にも出てもらいたかった作者です
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