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作者:紡ぐ風
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第2部『計画打倒編』
  第17話『紅林姉弟の一日』

「ゴメン香月、待たせちゃって!」
サンシャインシティのバス停でバスから降りた遊月は双子の弟である香月の待っている場所に向かう。
「大丈夫だよ遊月。それに、僕達はこうでもしないと恋人同士で居られないし。」
そう、この姉弟は姉弟同士で恋人関係にある。世間では彼女達を否定する声しか無い。それは仕方の無い話である。何せ、神代の時代とかなら気にもならない話だが、この現代の日本において彼女達は禁忌であるのだから。
「遊月、まずはやっぱり定番なっちゃうけど、水族館から行こうか?」
「そうだね、香月。」
二人は行き先を決め、歩き出す。
雅がこの世界から去り、幾つもの出来事が変化した。るう子達の強化アイテムは、繭から譲り受けたことに変わった。他にも、マーベラス達との出会いが無くなり、ソーサラーの一度目の敗北は鎧武の活躍による結果に変わった。そして、ウリス達はあれから雲隠れをしてしまう。
「ところで遊月、ウリス達の事は大丈夫なの?」
「うん。あれからウリス達は現れないし、また現れるまでは私生活に戻ろうって決まったの。」
「それは良かった。遊月、信号が変わったよ。早く行こう!」
香月は遊月の手を引き、信号を渡る。
「ありがとう、香月。こうしていると、恋人同士になったって実感が湧くね。華代さんには感謝しないと。」
「よしてくれよ遊月。僕、あの頃は本当に華代さんの事を遊月と勘違いしていたんだから。」
「そういう意味じゃなくて、あの時願いを叶える為にセレクターバトルとして良かったって話。さあ、行こう香月。」
二人はサンシャイン水族館に入場する。
「早い段階で来て助かったね。まだ順番待ちが無いね。」
「当たり前だよ遊月。とりあえず、入ろうか。」
二人は入場料を払おうとする。
「いいよ遊月。今日は僕に払わせて。」
「いいの?」
「だって僕達恋人同士だろ?なら僕に払わせてよ。格好がつかないだろ。」
「ホント!?ゴメン香月!」
「いいよ、その方が遊月らしい。」
香月は大人料金の入場料を二人分支払い、二人で入場した。
「それにしても、こんな近くに水族館が出来て良かったね香月。」
「そうだね、遊月。あ、エレベーターが降りて来たみたい。行くよ。」
「うん。」
二人はエレベーターに乗り、移動する。
「着いたよ。」
「それじゃ、行くか。」
二人はエレベーターを降りて真っ直ぐ進む。
「あ!あの海月面白い!」
「遊月、遊月は女の子なんだからそういう変な方に興味を示さない!」
「変じゃ無いよ!海月ってフワフワしていて可愛いじゃん!」
「普通女の子は熱帯魚とかを見てそう言うよ。」
「何それ!そう言う香月にはこうだ!」
遊月は香月の髪をワシャワシャする。
「ほら!これで香月の髪も海月みたい!」
「ちょっと!ヒドいよ遊月ぃ!」
香月はそう言いながら櫛で髪を整える。
「そんな!せっかく面白くしたのにぃ!」
「残念でしたっと!」
二人は歩きながらこのやり取りをして笑った。
「さあ、そろそろ出口だよ。」
「うわっ!ホントだ!早かったね香月。今何時?」
「ええと、でもなんだかんだで12時28分だよ。」
「一時間半も居たんだ。それじゃ、そろそろ出るか。」
「そうだね。」
二人は土産物だけ見て出て行った。
「香月、次はどうしようか?」
「えっ!遊月考えていなかったの?」
「だって、こういうことって男の人が決めることじゃ無いの!?」
「どうしよう。そうだ!遊月、ここからゲーセン街道に入るから色々寄らない?」
「いいねそれ!賛成!」
二人は手当たり次第にゲームセンターに入って行く。
「しっかし、ゲーセンは何時でもえげつない設定をしているね。」
遊月は、言ってはいけないことをはっきり言う。
「あ、でもあれなら簡単に捕れそうだよ。」
香月が指を指した先には、三爪型のミニUFOに入った大量のシフトカーがあった。
「でも、あれホントに捕れるの?」
「まあ、見ていてよ遊月。」
香月がしゃがみ百円を投入する。この機種はボタン式では無く30秒のレバー式であり、香月は一番手前にあるシグナルチェイサーに狙いを定める。
「香月、ホントに大丈夫なの?」
「大丈夫、ほら。」
30秒経ちアームは落下。二つの爪は後ろに、残る爪は台を噛んだ。そして、後ろの爪が引きずるようにシグナルチェイサーとチェイサーコブラバイラルコアを引きずり落とした。
「はい。大丈夫って言っただろ?とりあえず、遊月にこれを。御守りみたいなものだと思って。」
香月は遊月にシグナルチェイサーを渡す。
「すごい!どうして上手く行ったの?」
「このタイプの場合、軽い方が持ち上げ難いんだ。シフトカーの重さなら、手前にある物を引きずり落とす方が捕りやすいんだ。それに、後ろの爪がしっかりフックしてくれるから途中で抜ける心配も無いんだよ。」
「ホントに?なら私もやってみたい!」
「いいよ遊月。はい。」
香月は百円を投入する。
「じゃ、頑張ってみるね!」
遊月は香月に言われた通りにレバーを動かし、計二百円で残る二種のチェイサーバイラルコアをゲットしゲームセンターから出た。
「それじゃあ遊月、そろそろお昼にしようか。」
「確かに!そろそろ結構な時間だしね!」
二人は近くのサイゼリヤに入る。
「遊月、何を頼もうか。」
「私も考えて無いよ。」
「それじゃあ簡単な物にするか。」
香月はインターホンを押す。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「カルボナーラが一つ、あとベーコンとほうれん草のピザを一つ。それにドリンクバーを二つお願いします。」
「もう一度確認させていただきます。カルボナーラがお一つ、ベーコンとほうれん草のピザがお一つ、ドリンクバーがお二つ。以上でよろしいでしょうか?」
「はい、大丈夫です。」
「かしこまりました。ドリンクバーはあちらの方に御座います。御自由にお持ち下さい。」
「はい、解りました。僕が取って来るよ。遊月は何がいい?」
「じゃあメロンソーダで。」
「オッケー。」
香月はメロンソーダを二つ持って席に戻る。
「はい遊月。」
「ありがとう。」
遊月は涙ぐみながら言った。
「どうしたの遊月?具合でも悪い?」
「そうじゃ無いの。香月と、こうやってデート出来るのが嬉しくて。」
遊月は心の中で抑えていた感情を吐き出す。
「遊月だけじゃ無い。僕もそうだよ。」
遊月の言葉で、香月も本音を話す。すると、
「あら?誰かと思ったら紅林さんの双子の変態姉弟だったのね。」
香月のクラスメートが現れる。
「また君達か。いい加減しつこいんだけど。僕が断ったのがそんなに気に喰わなかったの?」
「私は香月君の為に言ったのに、遊月さんの方を選んだのが気に入らなかったの。よりによって自分のお姉さんを選ぶなんて正気の沙汰じゃ無いわ!」
「そういう考えが、そもそも僕には理解出来ない。」
「何言っているの?遊月さんといい香月君といい頭可笑しいんじゃ無いの?」
香月のクラスメートがそう言うと辺りはざわつく。
「いい加減にしてくれ!前にも言ったと思うけど、僕はどう罵られても構わない。でも!今度遊月に言ってみろ!僕はもう君達を絶対に許さない!」
香月の言葉を聞き辺りのざわつきが治まる。
「信じられない!もう行こう!こんな変態に構っている暇なんて無いわ。」
「ならこっちに話しかけなければいいだけだろ。」
「言われなくてもそうするわ!」
香月のクラスメート達は会計を済ませて立ち去った。
「ゴメンね遊月、気分を悪くさせちゃって。」
「ううん、いいよ香月。でも、今の香月スッゴく格好良かった。ありがとう!」
「大丈夫だよ。」
二人が会話していると注文した品が来る。
「お待たせしました。カルボナーラをご注文のお客様。」
「はい。」
遊月は受け取る。
「ベーコンとほうれん草のピザをご注文のお客様。」
「はい。」
「以上でご注文の品はお揃いでしょうか。」
「大丈夫です。」
「それでは、ごゆっくりどうぞ。」
ウェイトレスは下がる。
「遊月、早く食べて早く動くか。」
「そうだね香月。あっ!香月。」
「ん、どうしたの遊月?」
香月が尋ねると遊月は自分のパスタを一口取り、
「はい、香月。あーん。」
「あっ!ありがとう、遊月!」
香月に食べさせた。
「やっぱり、こうやっているとホントに幸せだな。」
「そうだね遊月。」
そのまま二人は最近のライダー同士の戦いについて話していた。
「さて、食べ終わったことだし、そろそろ動こう。」
「そうだね!」
香月は会計を済ませて出て行った。
「香月、今時間は?」
「大体5時位かな。」
「ありがとう。次はどうしようか。」
「それなら、行こうと思っていた場所があったんだ!遊月、来て。」
「うん!」
二人はサンシャイン60の展望台に向かった。
「香月が言っていたのってここ?」
「そうだよ。最後に、この景色を観てから帰ろうと思っていたんだ。」
「ありがとう、香月。」
「そんな。かしこまらなくていいのに。」
「そうじゃ無くて、今日1日の香月、スッゴく格好良かった。私、正直嬉しかったよ。」
「遊月にそう言って貰えて、僕の方こそ嬉しいよ。」
二人は手を繋いで、既に暗くなってきている景色を観ている。すると、
「あら?誰かと思ったら仮面ライダーマッハね。」
「ウリス、言ったじゃないですか。ここにくれば良き出逢いがあると。」
ウリスとリメンバが現れる。
「あんた達は!リメンバにウリス!」
《シグナルバイクシフトカー!》
遊月はマッハドライバー炎を装着する。
「丁度いいわ。マッハ一人でも倒しておいて損は無いわ。行くわよ、リメンバ。変身!」
<チェンジ!ナウ!>
「そうですね。行きましょう蛮野さん。変身!」
「ああ。」
ウリスはソーサラーに、リメンバと蛮野はゴルドドライブに変身する。
「香月、下がっていて。変身!」
《ライダァー デェッドヒィート!》
遊月はデッドヒートマッハに変身。ゼンリンシューターを持って向かって行く。
「懲りないわね。」
<コネクト!ナウ!>
ソーサラーはディースハルバードを取り出し、薙払う。
「このぉ!」
《シューター!》
デッドヒートマッハはゼンリンシューターの銃で攻撃する。
「効かないわ!」
<バリア!ナウ!> 
しかし、攻撃はソーサラーのバリアで弾かれてしまう。更に、
「ここは私に任せたまえ。」
「はい、蛮野さん。」
ゴルドドライブはイグニッションキーを捻りゼンリンシューターを奪い取る。
「ヤバッ!こうなったら!」
《バースト!キュウニ!デェッドヒィート!》
デッドヒートマッハはデッドヒートタイヤをバーストさせパワーを上げる。
「その程度で勝てるもの思っているのかしら?」
<イエェス!バニッシュストゥラィイィク!アンダースタン?>
「そろそろ終わらせましょう。」
《ヒッサツ!フルスロットル!》
ソーサラーとゴルドドライブは必殺技を発動。ゴルドドライブがゼンリンシューターで弾幕をばら撒き、ソーサラーの魔力弾がデッドヒートマッハを攻撃。変身が解除させられてしまう。
「くっ!そんな!」
「さて、来て貰うわよ。」
<チェーン!ナウ!>
ソーサラーは香月の動きを抑え、捕まえる。
「ウリス!香月を離せ!」
「そうも行かないわ。彼には計画の為の生贄になってもらうの。 」
「なんだって!」
「計画は次の段階、タナトスの塔へ移行したのよ。それじゃあ、さようなら。負け犬のくそったれさん!」
<ワープ!ナウ!>
「待ちなさい!」
ソーサラーとゴルドドライブは香月と連れ去り消えて行った。
to be continued
次回予告
動き出すウリスの新たな計画。そして、ついにあいつが帰って来る。次回『復活♯ゼロからのスタート』 
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