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ソードアート・オンライン~隻腕の大剣使い~

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第19話大脱出、そして新たな愛剣

 
前書き
こんばんは、醤油ラーメンです。夜なので、落ち着いた感じで始めようと思います。
今回でリズベット編、終了の予定でございます。
それでは、ご覧ください。 

 

第55層・西の山ーーーのドラゴンの巣穴に落とされたライリュウとリズベット。彼らの帰還は夜行性であるこの巣穴の主が戻ってくる朝ということになった。彼らは翌日の帰還の前にここへ来日する際の目的を果たそうとーーー

「ライリュウ、そっちはどう?あった?」

「いんや、かれこれ二時間は穴掘ってるけどねぇぞ。ホントにあんのかよ《クリスタライト・インゴット》・・・」

地面の雪の掘っている。彼らが探しているのは、ライリュウの親友でありライバル、リズベットの想い人、《黒の剣士》キリトの白き(つるぎ)《ダークリパルサー》の元素材の鉱石、《クリスタライト・インゴット》である。彼らがそれを探し始めてもうじき二時間、一向に見つからない。

「そんなこと・・・あっ!」

「どうした!?・・・まさか?」

そんなことないーーーリズベットがそう言おうとした矢先、短く声をあげた。それに驚いたライリュウは彼女に視線を向ける。その彼女の手にはーーー薄い水色の鉱石が握られていた。

「見つけたー!《クリスタライト・インゴット》!」

「うおっっっしゃ~~~~!」

長年というほどではないが、探し求めていた《クリスタライト・インゴット》を遂に入手することに成功した。それだけで彼らのテンションは最高潮に達していた。

「ほら、コレはあんたが持ってなさい!」

「サンキュー!え~っとなになに?「クリスタルを食べる飛竜の・・・」!?」

リズベットに投げ渡された《クリスタライト・インゴット》をキャッチしたライリュウは鉱石をタップして詳細を確認していた。それを読み上げていくうちにーーー硬直した。その瞬間、この鉱石の生成の仕組みの謎を解明してしまった。その直後、ライリュウは壊れかけたブリキのように首をリズベットに向ける。だがそのリズベットはーーーななめ45°上を見上げて口笛を吹いていた。
《クリスタライト・インゴット》は、クリスタルをエサとして食らうドラゴンが体内で生成する金属である。体の中を通った栄養はいずれ外に出る。そうーーー

「○○○じゃねぇかーーーーーー!!」

「きゃあぁぁぁぁぁああ!」

排泄物として。それを知ったライリュウはこの最強の剣を作り出す排泄物を投げ渡した少女に投げつける。

「あんた何すんのよ!?危ないじゃない!」

「人に○○○投げ渡してきた奴に言われたかねぇよ!」

「そんなこと言わないでちょうだい!見てごらんなさい、ライリュウさん!こんな美しい鉱石ですよ!」

「どこの恐怖の帝王様だよ!?汚ぇよ!キレイだけど汚ぇよ!うわぁぁぁ!手ぇ洗いたいぃぃぃ!」

美しくもあり汚らわしい、そのような矛盾を抱えた《クリスタライト・インゴット》から生まれた言い争いはそれから約10分は続き、最後はライリュウの剣を作るということもあり、渋々ライリュウのアイテムストレージにしまわれることになった。





******




昼間の口喧嘩から三時間がたち、夜の9時。未だに帰ることのないこの巣穴の家主を薪に火をおこしながら待ち続けるライリュウとリズベット。

「ねぇライリュウ、あんた・・・どうして最前線で戦ってるの?」

「なんだよ?急に・・・」

突然口を開き質問をしたリズベット。彼女の唐突な質問に驚くライリュウ。

「あんた、他のプレイヤー達よりその・・・かなり不利じゃない?それなのになんで死と隣り合わせの最前線に立ってるのかなって・・・」

「不利?・・・確かにな」

不利ーーーライリュウの弱点、それすなわち、隻腕故に装備の幅が大きく限られていること。剣を持てても盾を持てない。本来なら隻腕の彼が《両手剣》を持つことすらあり得ないことであるのだろう。そんな彼が戦場に立つ理由ーーー

「理由はいくつかある、一つは・・・舐められたくないから、かな」

「どういうこと?」

「隻腕の・・・腕が一本しかない奴は攻撃の手数が足りない、弱い奴しかいない。そんなことないと思う。そう思ってる奴らに「隻腕の剣士舐めんな!」って言ってやるつもりだ」

隻腕の剣士ーーー剣士に限らず戦士達はフィクションの世界には沢山とは言えないが多くの隻腕の戦士が存在する。赤髪の大海賊しかり、巴模様の瞳を持つ忍びしかり、創作物の世界には腕を失っても尚、戦い続ける戦士が存在する。そんな戦士達とほぼ同じ特徴を持つこの少年、ライリュウもこの仮想世界(デスゲーム)の中ならばそんな戦士になれるのかもしれない。

「他には?」

「他には、《はじまりの街》で縮こまって腐ってくよりは・・・戦って、命尽きるまで戦って、この世界で生きた爪跡を残して死ぬ。何も出来ないよりは何かして死んだ方がずっと良い」

このSAO(デスゲーム)ではHP(ヒットポイント)が0になれば本当に死ぬ。そんな世界で何も出来ないまま死ぬことは、命は生きても心が朽ちる。それは生きている限り永遠の苦しみを己に与える。そんなものに堪えられる者はいないだろう。

「最後に・・・約束したから」

「約束・・・?」

「必ずこの世界を終わらせて現実に帰すって約束したんだ・・・《リトルギカント》に」

「!!」

《リトルギカント》ーーーこの世界で命を落としたライリュウのーーー今は亡き現実の親友達。彼らに再会した日に交わしたーーー今はもう叶わぬ約束。だがーーー

「あいつらはもういないけど・・・生きて現実に帰す約束はもうミラにしか果たせないけど・・・この世界を終わらせる。その約束だけは続いてる、まだ終わってない、終わらせない・・・!!」

この瞬間、彼の瞳は信念の炎を宿していた。その彼の目を見たリズベットはーーー何故か安心感に包まれていた。

「ありがとう、教えてくれて。・・・さて!明日に備えて早く寝ましょう!」

「ああ、おやすみ・・・」

それだけ言葉を交わし、二人の少年少女は眠りについた。





******





2024年6月30日、第55層・西の山・竜の巣穴

「ライリュウ、そろそろよ!」

「ああ、やっとお帰りなすったぜ」

竜の巣穴で一夜を明かしたライリュウとリズベット。彼らは鞘から剣を抜きずっと待っていたーーーこの巣穴の家主(ドラゴン)の帰還を。

「しっかり掴まってろ!」

「ええ!ドンといっちゃって!」

昨日邪魔だからといって脱ぎ捨てた黒いマントを装備し、そのマントにリズベットが手をかけることを確認したライリュウ。彼は《無音の飛竜》の名を誇る剣を手に壁を足場にして思いきって跳躍しーーー

「悪いが帰りのフライトよろしくな!」

巣穴の地面に降り立った家主の装甲に突き刺した。その装甲に走った衝撃がダイレクトに効いたのか家主は高く、高く飛び立った。

「そろそろ出口よ!」

「う、うん・・・わかった」

出口を認識したリズベットの呼び掛けにライリュウは力なく応える。ライリュウは残された力を絞り出し剣を家主から抜き取り別れを告げる。
リズベットは周りの、二度目の空からの日の出を拝んでいた。

「ライリュウ!ほら、すごいでしょ!?空からの日の出!」

「・・・」

ライリュウに空からの日の出の感想を要求するリズベット。だがライリュウは無言でいる。あれほど元気溌剌にツッコミを決めていた彼があの巣穴の家主のドラゴンに乗ってからほとんど喋っていないことに疑問と違和感を覚えた。

「どうしたのよあんた、さっきからやけに無口じゃ・・・え"っ"」

いい加減気になってライリュウに質問しようと顔を向けたら理解した。ーーー青白くなったライリュウの顔を見て。

「気持ぢ悪い"・・・うぷ」

「酔ってる~~~~!?」

乗り物酔いーーー彼は乗り物に乗ると酷いと呼べるレベルの乗り物酔い患者である。ライリュウはSAOでの一年半とSAOに入る前の引きこもり生活の間、まったく乗り物に乗っていなかった。そのため自分の乗り物酔いは完全に記憶の中から消え去っていた。先程のライリュウとリズベットを乗せたドラゴン、「乗せた」という時点で完全に乗り物である。そのあと二人は使用可能となった《転移結晶》を使用して、第48層の《リンダース》の街に建つ《リズベット武具店》に帰還することになった。





******




ライリュウside

第48層・《リンダース》・《リズベット武具店》

「始めるわよ?」

「よろしく頼む」

あの巣穴から脱出し、自分でも完全に忘れていた乗り物酔いを発症してしまい《転移結晶》を使って帰ってきた《リズベット武具店》。今からーーーオレの新たな愛剣が生まれる。
リズさんがあの巣穴で採取した《クリスタライト・インゴット(ドラゴンの○○○)》を炉に入れて熱して取り出す。その熱した金属を金床に置き、鍛冶用のハンマーを叩き込む。カーンカーンと金属音が《リズベット武具店》の工房に響き渡りーーー光を帯びて両刃の大きな白い(つるぎ)となる。リズさんはその(つるぎ)の鑑定を始めた。

「《両手剣》《ダークスレイヤー》、攻撃力も筋力要求値も《ドラゴンスレイヤー》を遥かに越えてるわ。《破滅の竜角》で強化する前に少し振り回してみて」

「ああ、わかった」

《ダークスレイヤー》ーーーこいつがオレの新しい愛剣。リズさんの言う通りに素振りを始める。まずはーーー《アバランシュ》!

「ふっ!・・・・・・これは」

すごいーーー丁度良い重さだ。すでに手に馴染むくらいだ!
その後も《サイクロン》、《スコッピード》、そして《両手剣》ソードスキル最強クラスの技《カラミティ・ディザスター》なども試してみた。これはーーー

「すごい!すでに手に馴染んできたぜ!流石《鍛冶スキル完全習得(コンプリート)》のマスタースミス!」

「そうでしょ?でも、これで終わりじゃないわよ」

そうだ、もうひとつ仕事がある。ーーー《破滅の竜角》、これを使いさらに《ダークスレイヤー》を強くする。リズさんに《ダークスレイヤー》と《破滅の竜角》を預けて数分後、完了した。それで、強化番《ダークスレイヤー》を見せてもらったのだがーーー

「リズさん・・・形、変わってない?」

「うん・・・こんなこと普通はないのに」

原型がまったくないと言っていいほど変わってる。剣の(つば)の部分が十字架のような形状だったのがまるでドラゴンの横顔のようになっていたり、刀身が分厚い大きな板のような刃がまるで海賊の刀のようになっている。

「これ・・・《刀》じゃないよな?」

「うん、《両手剣》よ。刀身の形状は海賊の刀みたいだけど・・・刀身の背もしっかり刃になってるわ」

言われてみればーーー確かに両方刃になってるな。《刀》だったら刃は片方だけだから確かにこれは《両手剣》だな。そういえばーーー名前聞いてなかった。

「この剣、名前なんていうんだ?」

「《ドラゴンビート》・・・《竜の翼》よ」

竜の翼(ドラゴンビート)》ーーーか。翼、あいつと同じーーー少し素振りしてみよう。

「ふ~・・・・・・せいやぁ!はぁ!・・・フッ」

すげぇーーーさらに重く、強く、これならまだまだ先へいける気がする!

「最高だ・・・!ありがとう!」

「ようやく依頼完了ね!あんたもお疲れさま!」

リズさんにお礼を言って、オレの依頼はーーーあ、まだ終わってない。

「リズさん、お代・・・」

「ああ、お代はいいわ、サービスしてあげる」

「マジでか!?」

お代は結構ってーーーすごい太っ腹じゃん!未来の奴が「結構ぼったくってる」って言ってたからちょっと不安もあったけどよかった~~~。

「その代わり、あんたが折ったあたしの最高傑作、あれは払ってよね?」

「あ~そうでした・・・」

色々あって忘れてたけどこの人の剣折っちゃったんだっけ。それは払わないといけない。それで提示された金額がーーー

「リズさん・・・あの剣、こんな高いの?」

25万コルーーーごっつ高い!

「ああ、それキリトが折ったやつの値段も込みでよ。あいつが払わなかったからあんたが代わりに払ってちょうだい」

「はあ!?」

何でオレがキリトの分も弁償しなくちゃいけないんだよ!?
その後も口論は続き最終的にオレが押し負け、結局払わされた。オレは店を出て叫びながらあいつを探すために走り出したーーー

「キリトーーーーーー!!」

怒りのままに叫びながら。
 
 

 
後書き
ラ「キ~リ~トく~ん」

キ「はい・・・」

ラ「オレが何を言いたいかわかるか?え?」

キ「・・・これぐらいで、いいでしょうか?」

チャリーン¥

ラ「まいどあり~♪作者、もう締めようぜ?」

醤油「早いなおい!ゴホン・・・えーっと、いつにもまして短い茶番劇ですが、ここで締めといきたいと思います。次回は・・・ライリュウ、宿命の対決です」

ラ「とうとう来ちまったか・・・絶対に乗り越えてみせる!」

醤油&ラ&キ『ご観覧ありがとうございました!次回もお楽しみに!』
 
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