転生とらぶる
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マブラヴ
1229話
「……反応炉がBETA?」
エルフ達が傭兵としての訓練を行うようになってから数日、その日の夕食が終わり、紅茶を飲んでいる時にレモンの口から出た言葉に思わず聞き返す。
そんな反応が戻ってくるというのは向こうとしても理解していたのだろう。艶然とした笑みを浮かべ、頷く。
「そ。まぁ、アクセルが反応炉を破壊してしまったから確定ではないけど、ほぼ間違いないと思うわ。マーズゼロの反応炉だけ、明らかに他のとは違ったでしょ?」
「確かにマーズゼロの反応炉は地球で何度も見てきた反応炉と違ったが……それにしても、反応炉がBETA? まぁ、指示を出しているというのを考えると、おかしくはないんだろうけど」
無数の触手をニーズヘッグへと向けて繰り出してきたのを思い出し、レモンの言葉に頷く。
そもそも、反応炉以外に司令を出していそうな存在がいなかったのだから、確かに反応炉をBETAと認識してもおかしくはない。
「じゃあ、これまで私達が反応炉と思ってきたのは何だったの?」
美砂がイチゴのタルトを口に運びながらレモンへと尋ねる。
「そうね。恐らくだけど、あの反応炉もBETAなのよ。ただ、マーズゼロの反応炉に比べると、簡易的な……こういう言い方はちょっと相応しくないのかもしれないけど、マーズゼロにあった反応炉がWナンバーズだとすれば、普通のハイヴにある反応炉は量産型Wといった感じかしら」
「つまり……反応炉はBETAであっても、マーズゼロ以外は単なる端末? あるいは人形? そんな感じなのか?」
「ええ。それと恐らくだけど、地球にあるハイヴでも喀什ハイヴはオリジナルハイヴである以上、マーズゼロと同じBETAになっている可能性は高いわ。ああ、それとそのオリジナルハイヴのBETAを重頭脳級、普通のハイヴにある反応炉を頭脳級という風に名付けたから。構わないでしょ?」
流し目をこっちに向けてくるレモンに対し、俺が出来るのはただ頷くだけだった。
いやまぁ、新種のBETAに名前をつける権利くらいなら幾らでも与えていいと思うし、問題ないけど。
「門級の方はどうなった?」
「そっちは調べてみたけど、BETAはBETAでも自分の意思とかで動くんじゃない生体組織のような感じかしら。簡単に言えば、生きている壁のようなものよ」
「生きている壁、か。便利なような、便利じゃないような」
レモンの説明に、スレイが不思議そうに首を傾げる。
まぁ、確かに生きている壁とか聞くと、微妙な感じになるよな。
特にその生きているという部分がBETAだったりするんだから。
「ともあれ、重頭脳級、頭脳級、門級に関しては、調査が一段落付いたらマブラヴ世界の方に情報を流す必要がある。その辺は忘れないでくれ」
「ええ、勿論忘れてないわ。夕呼を通して? それともオーストラリア?」
……一瞬悩んだが、オルタネイティヴ4の成果とするには少し厳しいだろう。
そもそも、火星の息吹作戦でメインを張ったのはあくまでも俺達シャドウミラーだ。
一応A-01部隊がいるにはいるが、それでもおまけ程度の扱いでしかない。
それに……
「オーストラリアにしてくれると、政治班としては嬉しいですわね。火星の息吹作戦で日本からの戦力だけを連れていった事により、オーストラリアの方で不満に思っている人が多いので」
あやかの言葉通り、今回の作戦では日本をちょっと贔屓し過ぎたというのもある。
勿論必要があったからこそ連れていったのは事実だが、オーストラリアにしてみればそれで納得しろってのは難しい。
「まぁ、それは任せる。後は……ああ、そうそう。各世界に対する報酬は?」
視線を千鶴の方へと向ける。
今回の作戦に他の世界から戦力が派遣されてきたのは、当然ボランティアという訳ではない。こちらが傭兵として雇った以上、報酬は譲渡されて然るべきだ。
「そちらに関しては、後日資源として引き渡す予定になってるわ。石油やレアアース、レアメタル、金といった具合よ。技術……という人達もいたけど、その辺は交渉で資源とさせて貰ったわ」
「そうか、それならいい。出来れば技術はあまり渡したくないし」
「あのね、アクセル君。他の世界に対して報酬の支払いをする為にも、出来れば早い内にBETAの死骸が入ったコンテナを持ってきて欲しいんだけど」
「あー……うん。分かった。明日にでもマブラヴ世界の火星に行ってコンテナを空間倉庫に入れて持ってくる」
なるほど、提供する資源の原材料はBETAか。
まぁ、元々キブツを使って資源を作る予定だったんだから、特に驚きはないが。
向こうにしたところで、何を原材料にしているのかというのは殆ど気にしてないだろうし。
……まぁ、さすがにBETAを原材料にした食料を渡されたりすれば、怒ってもしょうがないが。
「ふむ、日本を贔屓したという先程の話で思い出したのだが、日本の征夷大将軍や崇宰家の当主の件はどうなっているのか分かるか?」
「ああ、そちらならほぼ問題なく決まりそうだという事ですわね。何か余程の事があれば、話は別でしょうが」
コーネリアの質問にあやかが答える。
その言葉を聞いて安堵したのは、決して俺だけではないだろう。
何しろ、日本という国はマブラヴ世界で俺達にとって重要な国なのは間違いない。
重慶ハイヴを基地化して、BETAとの最前線にいるというのもある。
俺達がこの世界に来る前だが、独力で第3世代戦術機を完成させた技術力や、夕呼のように有能な人材もいる。
まぁ、エヴァのゴリ押しがあったというのも、微妙に関係しているんだろうが。
日本の風景を壊させる訳にはいかん、とかな。
火星の息吹作戦への参加は結構渋ったが、恐らく日本がBETAに攻められるような事になれば、自分から進んで防衛戦に参加しそうな気がする。
「日本の方に関しては特に問題はないらしいな。崇継と恭子がそれぞれ征夷大将軍と当主になるのは、いつくらいになりそうか分かるか?」
「……そうですわね、今回の功績は文句なしに大きいというのもありますし、恐らく3月……ずれ込んでも4月くらいになると思いますわ」
「そんなに遠くの話じゃない、か。だとすれば、何か祝いの品を用意しておく必要があるだろうな」
あやかの言葉に、祝いの品として相応しい物が何なのかを考える。
豪勢という意味では、それこそ征夷大将軍になるんだから他の奴等からも色々と貰うだろう。
だとすれば、友人として何か……いっそいつでも俺と繋がる通信機でも送ってやるか?
夕呼にやったのと同じ奴になるが、日本の征夷大将軍として活動するのであればありがたい代物だろう。
……うん?
「崇宰家の方は恭子が崇継に協力している、斉御司家は今現在の征夷大将軍。だとすれば、九條家と煌武院家の方はどうなっているか分かるか?」
「城内省は煌武院家を次期征夷大将軍にしようと画策しているようです」
「ちょっと待て」
千鶴の言葉に割って入ったのは、スレイ。
その表情には驚きと不審が浮かんでいる。
「煌武院家というのは、確か悠陽とかいう子供が次期当主の有力候補ではなかったか?」
「そうね。だからこそ城内省としては煌武院家を次期征夷大将軍に……と思ってるんでしょうし」
「傀儡か」
不愉快そうに呟くスレイ。
「そう心配しなくてもいいんじゃないか?」
俺の口から出たのは、特に気にしていないといった言葉だった。
実際、そこまで心配する事はないと思う。
何故なら……
「あの煌武院悠陽って子供は、何気に結構強かだぞ。城内省の奴が操り人形として操ろうとしても、恐らく糸を切って自分で動き出す」
会った回数自体はそれ程多くはないし、会話をした回数も少ない。
それでも、人間の器としての大きさはかなりのものだというのが理解出来た。
月詠が仕えているのも納得だな。
完全に俺の独断だが、恭子以上崇継以下……といった印象だった。
それ程の器を持つ者が、城内省の言いなりになるかと言われれば……
「なるほど。なら、一応こちらから接触してみるというのはどうかしら?」
俺の言葉を聞いて、レモンが呟く。
「その辺は少し難しいですわね。現在シャドウミラーが公式に接触しているのが、斑鳩家と崇宰家。幸いその両家は元々関係が悪くなかったこともあって、行動を共にしていますわ。ですが、煌武院家は私達とは接触せず独自に行動をしてきた家です。そう考えると、無闇に接触すると日本に混乱をもたらすかもしれません」
「うーん、あやかの言葉も分かるけど、その煌武院家が城内省に手を出されるかもしれないんでしょう? なら、その辺を考えると……」
「……分かりました。さすがにその辺は私だけでは判断出来ませんので、明日にでもエザリアさんに話を通しておきます」
日本についての話はこれで終わり……
「さて、今回の火星の息吹作戦において、最後にして最大の話になる訳だが」
話題は今回の話のメインへと移る。
「レモン、今回攻略したマーズゼロとその周辺にあるフェイズ8のハイヴ2つ、それぞれからG元素を大量に入手したと思う。率直に聞くが、ホワイトスターと時の指輪の融合、完全になるか?」
現在時の指輪とホワイトスターは融合されており、ホワイトスターにいる者で特定の受信機を持っている者に限って年齢の増加は遅くなっている。
本来であれば不老になる筈だったのだが、残念ながらG元素が足りなくて完全なる不老という訳にはいかない。
そもそも、今回の火星の息吹作戦において最大の目標はG元素の奪取にあり、続いて他のハイヴからG元素を奪いつつ、ハイヴを攻略しない事によりG元素の養殖を行う為の足掛かりにするというのがあった。
だからこそ、G元素に関しては妥協する事が出来ない。
シャドウミラーのメンバーは基本的に全員が有能であり、人材もこの規模の組織としては信じられない程に揃っている。
だが、それは今だからこそとも言える訳で、いずれシャドウミラーのメンバーが年齢を重ねていって、引退するような事になってしまうかもしれない。
それを防ぐ為には当然後進のメンバーを育てるというのもあるが、シャドウミラーに限って言えばそれ以外の手段を取る事が可能だった。
即ち、時の指輪による不老。
不老不死ではないので、大きな怪我によって命を失うという事はある。
また、効果があるのはあくまでもホワイトスター内にいる時だけであり、他の世界に出向ければその効果は得られない。
だが、それでも不老というのは大きい。
その場にいる者達全員の視線を向けられ、レモンは口を開く。
「ええ。十分に間に合うから安心してちょうだい。近いうちにG元素を触媒にした、ホワイトスターと時の指輪の融合を完了させる予定よ」
ふぅ、と。
レモンの言葉に部屋の中が安堵で満たされる。
今までマブラヴ世界でG元素を集めるのに四苦八苦していたのだが、それが一気に解決した形だ。
こう言ってはなんだが、大量のG元素も含めてマブラヴ世界で得られる最低限の物は入手したと言ってもいい。
勿論マブラヴ世界から撤退する気はないが、もし何らかの不慮の事態が起きても納得する事は出来る……と思ってもいいだろう。
「そうか。助かる」
呟く俺の言葉が、部屋の中に響く。
「ふふっ、アクセル。少しは喜んでもいいんじゃない?」
「シェリル」
笑みを浮かべながらそう告げてくるシェリルに、思わず笑みを浮かべる。
確かに喜ばしい事なんだが、何だか実感が湧かないんだよな。
「私達も、シャドウミラーのメンバーがいなくならないってのは嬉しい事だしね」
「時の指輪の効果というのは、素晴らしいと言ってもいいわね。けど、これだけでは終わらないわよ? 今はホワイトスターの中だけしか効果がないけど、いずれはゲートの設置してある世界でならどこででも時の指輪の効果を得られるようにしたいもの」
「さすがはレモン。貪欲だな」
レモンの言葉にスレイが感心したように呟く。
実際、ホワイトスターの中だけということになれば、他の世界で活動していると時の指輪の効果は得られないという問題もある。
ただ、それが出来るかどうかは……正直、微妙だと思ってしまう。
それでも出来ないと言い切れないのは、レモンの能力をこれ以上ない程に俺は知っているからだろう。
これまで、幾つもの技術を開発してきたレモンだ。
更に、他の世界の技術をシャドウミラーに取り込んできたという実績もある。
その辺を考えれば、難しくてもレモンなら……と思ってしまう。
シャドウミラーの武の象徴が俺なら、知の象徴がレモンだと言ってもいい。
「頼む」
「ふふっ、任せておいて。恋人のアクセルの頼みだもの。しっかりと行動はさせて貰うわよ」
艶然と笑うレモンの笑みに思わず見惚れ……この夜はいつもより熱い一夜を過ごす事になる。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1188
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