真田十勇士
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巻ノ二十八 屋敷その一
巻ノ二十八 屋敷
十人の家臣達は幸村の屋敷に入った、幸村は彼等を己の屋敷に入れてから彼等にこうしたことを言った。
「どうじゃ、拙者の家は」
「我等十人が入りまして」
「丁度いい具合でしょうか」
「そうした広さですな」
十人はまずは屋敷の大きさから答えた。
「質素ですが汚れておらず」
「奇麗に掃除されていますな」
「屋敷の中も庭も」
「実にですな」
「うむ、従者達にいつも言っておる」
掃除をする様にというのだ。
「そう言っておるし拙者も常に掃除をしておる」
「ですか、殿もですか」
「御自ら屋敷を掃除されていますか」
「そうされているのですか」
「そうしておる」
自分自身でというのだ。
「人にせよと言って己がせぬのは好かぬ」
「ですな、殿ですなそのことも」
「まずご自身が動かれる」
「まさにですな」
「それでじゃ、この屋敷は暫く空けていたが」
それでもというのだ。
「この通りじゃ」
「奇麗なのですな」
「掃除が行き届き」
「塵一つ落ちていませぬか」
「御主達も毎朝起きたらな」
この屋敷に住む様になってというのっだ。
「まずは掃除をしてもらうぞ」
「殿と共に」
「毎朝ですな」
「そうじゃ、我等で飯も風呂も炊く」
どれもというのだ。
「我等全員でするぞ」
「畏まりました」
「ではこれより我等常に殿と共にいます」
「まさに寝食を共にして」
「死ぬ時も一緒ですな」
「そうじゃ、では共に暮らそうぞ」
幸村は微笑み十人に告げた。
「これからな」
「わかり申した」
皆幸村の言葉に笑顔で応えた、こうしてだった。
十人はそれぞれの部屋に入った、とはいっても部屋には限りがあるので何人かまとめてだった。それぞれ部屋に入り。
布団も与えられた、そのうえでだった。
幸村は彼等を屋敷の中を自ら案内して回った、風呂場に雪隠にだった。そして台所や飯を食う部屋もだ。全て案内してだった。
中の様々な仕掛けも説明した、ここでこう言うのだった。
「この屋敷は武家屋敷ではあるがな」
「それと共にですな」
「忍屋敷ですな」
「そうでもあるのですな」
「うむ」
その通りだというのだ。
「様々な仕掛けも見せた通りじゃ」
「天井に隠し部屋」
「地下にもですな」
「そして敵が来た時の仕掛け」
「逃げ道もありますし」
掛け軸に隠されていた、その道は。
「様々な仕掛けを用意して」
「そうして逃げられる様にしていますか」
「敵が来た時も」
「こうした造りにしておいた」
屋敷を建てるその時にというのだ。
「この様にな」
「ですか、まさに我等の屋敷ですな」
「忍でもある我等の」
「うむ、その通りじゃな」
幸村も彼等の言葉に頷く。そしてだった。
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