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白夜

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第四章

「それを見まして」
「それでなんだ」
「描きました」
「成程ね」
「遊んでいた時間はお昼でしたけれど」
「うん、ここだとね」
 まだ白夜の時だ、それでだ。
「夜と変わらないからね」
「それで描きました」
「そうなんだね、何かね」
「何か?」
「この二人はカップルというよりか」
 先生は考える顔でその絵を見つつ話した。
「妖精みたいだね」
「妖精ですか」
「両隣にもそうした話が多いけれどね」 
 先生は笑ってこうしたことも言った、スウェーデンの両隣といえばノルウェーとフィンランドだ。どちらもお付き合いの長い同じ北欧同士だ。
「うちにもあるからね」
「その妖精ですか」
「そう思ったよ」
「確かに。言われてみれば」
 ここでアルノルトも頷いた、先生の言葉に。
「そうした感じですね」
「妖精だね」
「僕は見たものを描いただけですけれど」
 実際にその目で、というのだ。
「それが、なんですね」
「うん、幻想的な絵になっているね」
「現実を描いたのに」
「いやいや、君が白夜を描いたのも」
 このこと自体からだ、先生はアルノルトにあらためて話した。
「僕も今気付いたけれど」
「インスピレーションを得たのは」
「そう、幻想的なものを感じたからだね」
「はい、言われてみれば」 
 アルノルトもだ、先生に言われて答えた。
「何かこの世のものじゃない、不思議な感じがしたので」
「それで描いたね」
「幻想的だから」
「それでだよ」
 まさにというのだ。
「君は描いたんだよ」
「そういうことなんですね」
「うん、幻想だね」
「この世にある幻想ですね」
「君は白夜にそれを見たんだよ」
 まさにというのだ。
「だから描いたんだよ」
「そういうことですか」
「うん、この世は現実の世界だけれど」
「その現実の中にですね」
「幻想もあるんだよ」
 若しくはそれを感じられるものがというのだ。
「この世のものとは感じられない、不思議でかつ奇麗なものがね」
「僕はそれを白夜に見て」
「描いて、この絵もね」
「それを見たからですね」
「描いたんだよ」
 白夜だけでなくだ、その中で遊ぶ妖精の様なカップルをというのだ。
「そうしたんだよ」
「そうだったんですね」
「そうだよ、それでね」
「それで?」
「君はこれからも描いたらどうかな」
 先生はここでこう提案した、アルノルトに。
「こうした絵をね」
「幻想的な絵を」
「この世にある幻想を」
「そうしたらどうかな」
「僕がインスピレーションを受ければ」
「そう、その時はね」 
 まさにというのだ。 
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