戦国異伝
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第二百四十話 果心居士その十一
「しかしじゃ」
「そこからもでしたな」
「あ奴はすぐに自ら死にました」
「信貴山城の天守に籠り」
「自ら茶器に火薬を入れて爆死しました」
「無駄に派手に死にました」
「あそこで粘る様に言ったがな」
松永にだ、籠城したうえで。
「そして我等は後ろから兵を挙げるつもりだったが」
「それよりも前にあ奴はああしたので」
「我等は機会を逸しました」
「兵を挙げ日の本の軍勢を後ろから討つ」
「その機会も」
「そのあ奴は確かにおらぬ様になった」
その時に爆死してだ、それでだ。
「しかしじゃ」
「それでもですな」
「これまでの機会を逸したのを挽回する意味でも」
「我等は妖術を使い」
「そして勝ちましょうぞ」
「わしも使う」
その妖術をというのだ。
「よいな」
「はい、では」
「これより」
「用意が整い次第」
「攻めましょうぞ」
周りの者達も応えてだった、そしてだった。
闇の者達は闇の中で策を練りつつ次の戦に考えを向けていた。彼等もまた次の戦いに向けて動いていた。
老人は闇の海の中を船で進みつつだ、異国の船達を見ていた。
「来たな」
「あれは南蛮の船ですな」
「スペインやポルトガルの」
周りの者達が老人に応えた。
「そしてあちらはです」
「明の船ですな」
「鄭和の船程ではないにしても大きいです」
「あの船もあります」
「あちらはシャムの船ですぞ」
「呂宋の船もあります」
「朝鮮の船も」
まさにあらゆる国の船達がいた。
「流石に南蛮の船はスペイン、ポルトガルだけですが」
「この二国だけです」
「他の国の船はありませぬな」
「まだ国はあるそうですが」
「そうじゃな」
老人も彼等に応えて言う。
「南蛮も国が多い」
「文献によれば」
「何でも神聖ローマ帝国という国があり」
「スペインはその一族」
「ポルトガルはそのスペインのすぐ隣の国」
「そして教皇という存在がいて」
「大層腐っているとか」
その教皇が、というのだ。
「神聖ローマと仲の悪いフランスという国もあり」
「イングランドという国もある」
「ネーデルランドは物騒な有様だとか」
「そうありましたな」
「そうじゃな、南蛮の国々も集まればよかったが」
そうした国々のならず者達もというのだ。
「しかし来られぬならな」
「仕方ありませぬな」
「諦めるしかありませぬ」
「まだこの辺りにおらぬなら」
「それなら」
「そうじゃ、なら仕方ない」
老人もこう言うしかなかった、今は。
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